ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

牛タンとミンククジラ

2012-08-26 17:41:27 | Weblog
いつだってそうなんだ。初めてのライブハウスでも、知らない人達とのイベントでも、唄なんて聞いてみなきゃ分からないんだ。
歌った前と後で、人の態度が変わったら・・・オレの勝ちだ。

スマイルを歌い終わって、拍手喝采の中、満面の笑顔でお辞儀をして、客席に大きく手を振って、ステージを降りた。

アウェーな感じはあったものの、たくさんの人の前で歌えたから、楽しかった。

帰り際、役員のテントに挨拶に行った。
全員が立ち上がって僕にお辞儀をしてくれた。
最高だったよ、と言ってくれた。
また来年もよろしくね、と言ってくれた。

嬉しかったなぁ。。。


大工のあんちゃんの家に行って、晩御飯をご馳走になった。
牛タンとミンククジラのお刺身を食べた。

美味しかったぁ。。。


大工のあんちゃんはステージを観ながらこんな事をつぶやいていたらしい。
「まさかホントに歌うとはなぁ・・・」
「こんなに多勢の前で普通に歌えるなんて・・・さすがだよなぁ・・・もっとビビるかと想ったのになぁ」
「オレには絶対出来ないなぁ」

僕が役員の人達に褒められて、必然的に飛び入りをぶち込んだ彼の株も上がったことになる。
祭りを盛り上げてくれてありがとな・・・と言う事だ。

でも、いいんだよ。牛タンとミンククジラと、500人の観客と、オレはまだまだだなぁといっぱい想わせてくれたから、多少の意地悪は、許してあげるよ。

そして、今回は・・・オレの勝ちだ。
オレってば・・・優しいなぁ。

おしまい。

友達になってください。

2012-08-26 17:16:11 | Weblog
「スマイル」

石巻っていう街は、かの大震災で3000人もの人が亡くなったわけで・・・
宮城県第二の都市と言うだけあって、復興のスピードは速い。
三陸沿岸の小さな町のように、住宅地のほとんどが壊滅した場所のような悲壮感は少ないように想う。

この街に来るようになって一年。もう十回くらいは来てる。

一見、普通に戻ったような街がここにはある。みんな普通に暮らしている。普通過ぎて驚くほどだ。

でも、やはり、かの大震災はこの街をズタズタに引き裂いたのだと実感する。

知り合う人のほとんどが、何かを失っている。家族、親戚、友達、家、仕事・・・。
まるで、戦争から帰ってきた人が、戦争については何も語らないのと同じように、彼らは震災については多くを語らない。
忘れたいのだろうな・・・と、強く感じる。

石巻に通い始めてもう一年が経つのに友達がいないので、みなさん僕の友達になってください・・・と言ったらウケた。

屋根の上に上がってる僕を見たら、手を振って声を掛けてください・・・と言ったら、またウケた。

笑顔を大事にして、毎日を過ごしてください・・・そう言って、僕は歌い始めた。

愛と夢と憧れに充ちた・・・時の欠片繋ぎ合わせて・・・I've got flower for you・・・心からsmile for you・・・今日の笑顔が明日への糧だ・・・♫

リズムに合わせて、ペンライトを左右に振ってくれる人が一人二人と増えて、歌い終わる頃には、たくさんの灯りが客席で揺れていた。ほんの少し、アウェーな感じが消えていた。

アウェーの洗礼

2012-08-26 16:52:32 | Weblog
「空森海川風に背かず」

よくよく考えてみると・・・この唄のテーマはミッシングユーと同じだ。
いや、テーマは違うが、歌詞を読むと、同じ事を歌っている。

いつもそばにいた大切な人が、今はそばには居ず、時の流れに身を任せながら想いを馳せる。・・・そんな感じか。

ミッシングユーと空森、どちらか一曲・・・空森を選んだのは、客席に年配の人が多かったからだ。

にこやかに挨拶をし、しんみりと歌い始めた。

あなたを愛した私のことを・・・あなたは忘れることはないでしょう・・・流れる隙間に千切れた雲の・・・微かな願いと散る花びらと・・・

しんみりと歌っていると・・・まさにこの箇所である。

ステージの下へと大きな太鼓が続々と運ばれて来た。

えっ?ここで?えっ?ここでなの?ホントに?なんで?ここ?・・・アウェーの洗礼である。まるで、サッカー日本代表が中東で試合をやっているような感じである。

太鼓を運びながら、何やら叫んでもいる。そりゃあそうだ。オレが歌っていて声が聞こえないから大声にもなるのだろう。バラードを歌っている最中に、目の前で人が叫んでいる。もう・・・自然と笑顔にもなるさ。

こういうことってね、今までにもたくさんあった。色々な場所で路上ライブをやって来た。だから・・・ちょっとやそっとのことでは揺るがないのだよ。
目の前を太鼓を持った青年が叫びながら通り過ぎたって・・・揺らいだりはしないのだよ。

実はちょっと揺らいだ。次のフレーズの「無邪気な・・・の歌詞がが出て来なくて・・・数秒のタメになった。まだまだだな・・・オレ。

太鼓の搬入が終わって、二番のサビが終わって、間奏・・・ここで大きな拍手が入る。たぶん、終わったと思ったんだろうな。一つの拍手が拍手を呼び、会場全体が拍手に包まれる。・・・これはやりにくいよ。。。まだ終わっていないのだから。そこから二回もサビを繰り返さなければならない。
拍手を笑顔であしらいながら、最後まで歌い切った。拍手攻撃に一瞬戸惑ってしまったオレ・・・まだまだだな。

こんばんは、シングと言います。どうぞよろしく。

2012-08-26 16:22:09 | Weblog
大体からにして・・・よくよく考えてみると・・・嵌められた感が多々ある。

大体からにして、大工のあんちゃんはオレのことをあまり良く想っていない風な所がある。
多分、都会から来た風のスカした奴・・・的な感じだろう。

仕事以外は意外と何でも出来ちゃうし、人のやらない事ばかりしているし、意外と物知りだし、色んな所に行ったことがあるし、ちょっと英語も喋れちゃうし・・・都会でROCKをやっちゃってるし。
合ってること合ってないこと、全部引っ括めて、ちょっと鼻についているんだと思う。

そこで、チャンス到来、祭りのステージで恥をかけ!という訳である。・・・これは、後日談で分かった事なので、本当。

まったくひどい話ではあるのだが、歌うと決まったからには本気で歌うに決まってる。

おじいさま、おばあさま達にも通ずる唄を歌いたい。

楽屋に入って出番を待っていると、主催の人から呼ばれた。
「あなたが歌っている間に、次の太鼓の準備をするので、二曲くらい歌って繋いでください」

さて、何を歌おう。


出番を次に控えて、ステージ袖から客席を見ると・・・すごい人だ。400~500人はいる。
ほとんどが年配の人、そして全て地元の人。・・・アウェーにもほどがある。

大工のあんちゃんがニヤニヤしながら聞いてくる。
「緊張してる?」
全然してない。
「さすがだねぇ」

本当に緊張はしてない。ただ、どうやって魅了してやろうか・・・そればかりを考えていた。

賑やかなヨサコイが終わった。さぁ、出番だ。

こんばんは、シングと言います。どうぞよろしく。

弾き語り・・・by ヨソモノ

2012-08-26 15:59:59 | Weblog
昨日の祭りの話。

世話になってる大工のあんちゃんの一言から始まった。
「シングさん、飛び入りで一曲歌う?」
歌わないよ。
「歌えばいいじゃん?」
いやだね。
「歌いなよ」
嫌だって。
「お願いだから歌ってよ」
まぢで言ってんの?
「まぢまぢ」

お願いまでされて断るのは男が廃る。

そんなわけで、祭り会場の役員達が連なる場所へと、その旨を伝えに行った。

大工のあんちゃんと役員の会話。
「今日の祭りに飛び入りで歌ってくれる人を連れて来たんだけど」
はぁ?今日?
「わざわざ東京から来てくれたんだよね」
急に今日って言われてもなぁ
「どうにかなんないかな?」
どうにかって言われてもねぇ

そんな会話を、あんちゃんの後ろで聞いているオレ。
ちょっと待て・・・と。
この流れ、オレがどうしても歌いたい、歌わせてください・・・的な流れになってはいたいだろうか?
おいおい、ちょっと待て・・・と。
出来ればオレは、無関係な地元の祭りでなんか歌いたくはない・・・と。出来れば、キャンプ場へ帰って、のんびりと夕食の準備なんかをしていたい・・・と。

結局、あんちゃんのゴリ押しに負けて、役員は飛び入り参加を渋々了承。ヨサコイと太鼓の繋ぎという大役を頂いた。・・・迷惑だよ、オレに。

祭りステージの参加者は、平均年齢75歳くらいか?
民謡、演歌、太鼓、尺八、長唄、ヨサコイ・・・そこにアコギの弾き語り。飛び入りの弾き語り by よそ者。

出演交渉を終えての帰り道、大工のあんちゃんは言う。
「本当によそ者には冷たいよねぇ。ビックリしたでしょ?」

・・・全部おまえのせいだ。