花蓮という街にいる。
ファーリェンという読み方をするらしいが、カレンと読んでいる。
宿の主人に、僕は言う。
あのさ、モーターバイクを借りたいんだけどさ、日本人だと貸してくれないんだよね。まぁ、貸してくれるところはあるんだけどさ、高いんだよね。ぼったくるわけ。まぁ、ほかに貸してくれるところがないから仕方ないんだけどさ。
宿の主人が知り合いのレンタルバイク屋に電話をかけてくれる。
中国語の電話の会話をしばし聴いている。
電話を切り、宿の主人が言う。
「ドイツ人がな、この前な、バイクを借りてスピード違反をしてな、そなまま帰国しちまったからな、その罰金をレンタルバイク屋が払わなければならなくなったんだってよ。だからな、外国人には貸せないってよ」
まぁな、そういうことなんだよな。
オッケー。
想定内。
そんなわけで、法外な値段で、法外というのは相場の二倍の値段で外国人にバイクを貸すレンタルバイク屋へと僕は出かける。
ぼろーいバイクを相場の二倍の値段で借りに出かける。
まぁ、考え方によっては、それが相場だということになる。外国人は二倍払うという相場。
そんなわけで、125ccだか150ccだかはわからぬが、台湾では極々一般的なスクーターというモーターバイクを、僕は手に入れたというわけだ。
台湾は、日本と逆の右側通行。
これ、思ったよりきつい。
ふと気がつくと、左側を走っている自分がいる。
死んでまうがな。逆を走ってたら死んでまうで。
交差点を曲がった後が一番危ない。一番逆走してしまいがち。習慣というのは恐ろしい。
日本にて、二段階右折というものをしたことがない。
台湾のスクーターのルール。二段階左折。これがけっこう多い。左折、すごく面倒くさい。そして、僕は慣れない。すごく危ない。わかりにくい。
こちらのスクーターはウインカーをほぼほぼ出さない。車も出さない。歩行者は車やスクーターを無視する。車もスクーターも歩行者を無視する。行ったもん勝ちの世界。
だいたい、一時停止がほとんどない。停止なんかしない。行く。ただ行く。おまえが止まれや!の精神が強すぎる。
怖いのなんのって。ははは。
二段階左折が嫌だから、なるべく右折だけで目的地へ・・・と、運転初心者のようなことを初めて思う自分に失笑。
でも、まぁ、面白い。肝心なのは・・・勇気。
いつだって、肝心なのは勇気と思い切り。
クラクションをならされても、「うるせぇ!おれは外国人や!」の精神で、今日は100キロくらい走ったかな。