陶芸の話。どこまで書いたか・・・。
まぁまぁ上手くなったというところまで書いたか。上手くなったというよりも、少し出来るようななった、というのが正しい。
素焼きの日まで残すところ数日。
のってきた。非常にのってきた。陶芸、楽しい。電動ろくろ、楽しい。うひゃひゃひゃという状態。このまま陶芸のプロになっちゃうっかなぁという状態。
誰しもそうだが、出来る様になると楽しい。少しでも進歩すると楽しい。その先が見たくなる。自分はどこまでいけるのか、いう状態。
陶芸ってのはね、ろくろで挽いて成形した後にやることが山ほどある。
まずは、少し乾かして、手で持ってもグニャっとならない状態になったら、ひっくり返して裏側を削る。高台削りっていうのかな?たぶん。これ、結構面倒くさい。でもたぶん、一番大事。
それから完全に乾かしてから素焼きをする。
素焼きが終わったら、釉薬を掛けて本焼きをする。
さて、のりにのってきた僕はさ、高台を削るわけだ。まぁまぁ上手に出来た作品をひっくり返して、かきべらといえ道具を片手にガリガリと削る。もちろん電動ろくろで。スイッチを入れると勝手に回ってくれるので楽チン。ガリガリと削る。削りまくる。
そしたらさ、電動ろくろがさ、ピタっと止まった。
わかる?
スイッチを切ってないのに、ピタっと止まってしまった。
わかる?
どういうことか、わかる?
スイッチをいじってないのに止まったということは、僕が知る限り・・・壊れた・・・ということになる。
「嘘だろぉ!」と、真夜中のアトリエで叫ぶ、というわけである。
買ってから10時間しか使ってないのに。
いや、 粘土を捏ねたりしている時間を差し引いたら、電動ろくろを動かしていた時間は5時間くらいしかないはずだ。
もう一回叫ぶ。
「嘘だろぉ!5時間しか使ってないのにぃ!」
のりにのっていた僕は、完全にやる気をなくした。だって、電動ろくろが壊れちったから。
僕は5時間しか使っていないが、前の持ち主は百万時間使ったのかもしれない。壊れる前に売ってしまおう!と売りに出したのかもしれない。中古品というのはそういうものだ。当たりもあれば外れもある。
「嘘だろぉ!ハズレを引くなんて!」
もう嫌になっちった。やめたい。もう、やめてしまいたい。なにもかも。
でも、やめるわけにはいかない。なぜならば、素焼きの日まであと数日なのだ。
僕は作業台の上に手ろくろを置く。その上に作品をひっくり返して載せる。
クルクルクルー。ガリガリガリ。
クルクルクルー。ガリガリガリ。
なんで、ろくろを手で回さないといけないんだ。そうつぶやきながら。
うへぇ、めっちゃ大変じゃーん!
ガリガリガリ。クルクルクルー。
ガリガリガリ。クルクルクルー。
人生っつうのは、往々にして、こういうものである。
クルクルクルー。
つづく。