なんかさ。還元はすごく楽しいってみんなが言うからさ、6時間もかけて釉薬掛けをしたんだよね。実験的な意味も兼ねて。色々な釉薬を。何種類もの釉薬を。
会長さんが僕に聞く。
会長さんが僕に聞く。
「これはなにを掛けたの?」
辰砂です。たぶん。と僕は答える。
会長さんは言う。
「辰砂?辰砂じゃないでしょ?還元だと辰砂は赤くなるんだよ」
だーかーらー、どれもこれも赤くなってないっつーの!
還元焼成の楽しみを僕に説いた人たちがいる。
「還元はいいわよぉ〜」と僕に説いた諸先輩方である。
諸先輩方の作品を見てみる。どれもこれも赤くない。心なしか、みんな表情がションボリしているように見える。
ふふふ。ションボリしているのは僕だけじゃない。みんな仲間だ。こうやって、陶芸クラブの絆は深まっていくのだ。きっと。たぶん。きっと。