ライブの日、エムケイが我が家まで迎えに来てくれるというのが、この何年かの通例。有難いことである。僕は、エムケイの横に乗って、車に揺られていれば下北沢まで着いてしまう。すごく有難いことである。
エムケイが言う。
「なんか作った?」
何か作った?の何かとは、ライブに来てくれたお客さんに「売る」もののことである。
僕は答える。
「うん、作ったよ。今日もよろしく。全部売っちゃってくれ」
ライブをやるのはミュージシャンであり、ミュージシャンは演奏して歌う。歌うのは唄であり、唄は音楽である。音楽を形にするとCDになる。つまり、ミュージシャンがライブで売るのはCDということになる。うん、まぁ、当たり前の話。
エムケイが言う。
「忘れ物、ない?」
僕はバッグの中身を確認して・・・言う。
「あっ、CD、忘れた。・・・CD、いる?」
エムケイが持って行けと言うので、棚からCDを掴み、バッグの中に入れる。
「一応ね。持って行くかね」
ミュージシャンがライブをやるのに、CDを「一応持っていく」・・・。そういうの、どうかと思うね。
下北沢のライブハウスに着く。リハーサルが終わり、開場の時間を待つ。
エムケイがバッグの中から品物を取り出して、値段を付けて、テーブルの上に並べている。
つまり、こういうことである。
下北沢lown陶器市の始まりなのである。
ライブ?
陶器市?
エムケイの気合い的には・・・たぶん、陶器市。たぶんね。