他人と同じじゃ嫌だ。とか、他人と違うことをしたい。とか、そんなことを思っていた時代もある。きっと、若かりし頃の話だ。
今は別に思わない。
どちらかというと・・・他人と同じだろうと違おうと、そんなことはどうでもいい、自分のやりたいと思うことをやる。といった具合だろうか。
そういう意味では、僕は若かりし頃を抜けた。
畑の話。
畑においては、他人と違うことをやっていてはダメなのである。絶対に。これは、経験則。
農作物の種には、蒔き時というものがある。
苗には、植え時というものがある。
肥料をやる時期ってのもある。
そしてもちろん、収穫をする時期。
この時期ってやつを守らねば、農作物というのは育たない。大げさに言うならば、時期を守らねば農作物は決して育ちはしない。
僕の話。
他人と同じことをするのは嫌だとは微塵も思っていない。畑に関しては、みんなと同じことをして、立派な野菜を育てたい。
なのに。なのにである。なのになのである。
僕の畑は、みんなの畑と様相が違う。だいたい違う。
なぜか。なぜなのか。
それはね、僕が種の蒔き時をいつも逃してしまうからだよ。
それはね、種の蒔き時を逃したら「今年は見送り」となるところを、散々時期を逃した時期に無理矢理種を蒔くからなんだよ。
つくづく想う。僕は農家にはなれない。向いてない。だって・・・種の蒔き時を守れた試しがない。
「あぁ、そろそろ蒔き時だなぁ」と想いながら、ゆうにひと月は過ごす。へたをしたら二カ月を過ごす。そして、「あっ、蒔き時!過ぎた!」と叫び、種を蒔く。
「こんな時期に蒔いて、芽なんかでねぇよ!」と、みんながひどい罵声を浴びせながら通り過ぎていく。
そして、蒔き時を逃して種を蒔いた僕は考えるのである。
「保温や!保温するんや!」
実際、散財である。蒔き時を逃したがための散財である。
保温のために地面を覆う穴あき黒マルチ。
種や小さな苗を守る不織布。
マイナス10度の外気から小さな苗を守るためのビニールトンネルと支柱。
一生懸命にビニールトンネルを被せながらつぶやく。
「向いてねぇなぁ・・・」
先日、ダイコンとほうれん草を混植した畝のトンネルをめくってみた。
「あれ、大きくなってるじゃん」
普通の三倍ほどの時間をかけて、ダイコンとほうれん草の苗が成長していた。
毎年毎年、今年は蒔き時を守る!というのが目標なのである。そして、毎年毎年「向いてねぇなぁ」とつぶやくのであるから、本当に向いてないのだと想う。
それはさておき、トウモロコシの種を蒔くのは四月なのだけどね、へへへ、僕はね、一月に種を蒔いたのさ。
でも、ちょっと早過ぎたみたいで、50本中8本しか芽が出ていない。やはり、寒すぎるようだ。
一月は早すぎる・・・と。メモメモ。
で、さっき、トウモロコシの種を濡れ布巾で包んで、電気毛布で包んで、空の衣装ケースに入れてスィッチオンした。ふふふ。
これがうまくいけば、二月中に畑に植えられる。メモメモ。
他人と違うことをしたいというわけではないのだけれど、ワクワクするような、楽しいことをしていたいのです。僕はね。・・・向いてないけどね。