働き蜂は働く。生まれてから死ぬまで、ずっと働く。なぜならば、名前が働き蜂だから。
しんぐくんはほぼほぼ働かない。産まれてから死ぬまで、ほぼほぼ働かない。なぜならば、名前が働きしんぐくんではないから。働きしんぐくんじゃなくて良かった。by しんぐくん。
ニホンミツバチの話。
働き蜂の寿命は短い。春から秋の蜜集めの時期でたったの30日。越冬の時期で三ヶ月ほどらしい。産まれて、一ヶ月で、蜜を集めまくって、ポロリンと死んでしまう。
それでも、その30日の間に色々とやることがある。その30日の天寿の中に、実に様々なドラマがある。
ちなみに、働き蜂はすべてメスの蜂である。
羽化したばかりの幼い働き蜂は、まず巣の掃除係になる。
巣の掃除係・・・羽化したばかりなのに・・・もう掃除。
巣の掃除係を卒業したら、次は育児です。育児係です。ベビーシッターです。卵や幼虫の世話をします。
女王蜂は1日に千個も卵を産むので、おそらく、掃除や育児の仕事量ったらないのかもしれない。うへぇ!また千個産まれてんじゃーん!って感じなのかもしれない。育児ってのは大変です。したことないけど。
育児の仕事を後輩に譲ったら、次は巣作りのお仕事です。大工さんみたいなものです。職人です。例の六角形の巣房を作ったりするわけです。巣作り職人たちがいて、絶えず巣房を増やしていくから、巣がどんどん大きくなっていくわけです。
女王蜂がどんどん卵を産んで、どんどん後輩たちが増えていくので、巣作り職人もすぐに卒業、次に待っているのは、ハチミツ製造の仕事です。
先輩、つまりパイセンたちが集めて来た花の蜜をハチミツにするのです。ありがとう働き蜂ちゃん。
働き蜂は、羽でハチミツを扇ぎます。扇ぎ続けます。ただひたすら。ただただひたすら。なぜか?
出来上がったばかりのハチミツには水分が含まれます。その水分を抜くために、羽で扇ぐのです。水分が抜けると、完熟のハチミツの出来上がり。六角形の巣房に蓋が付きます。
去年の秋に採蜜をした時に、蜜の入った蓋のない巣房が多く見受けられた。つまり、まだ完熟のハチミツではなかったということ。
完熟していないハチミツは、水分を含むため保存している間に発酵する。プクプクと泡が出てくる。少し酸味が出る。食べられないわけではないが、完熟のハチミツの方が断然美味しい。と僕は思う。
そこで、僕は、衣装箱の中に蓋を開けたハチミツの瓶を入れ、その隣に除湿剤を入れてしばらくの間放置した。ひと月くらい。除湿剤がほんのりと湿るか湿らないかくらいの水分が、ハチミツから飛んだ。僕は、完熟のハチミツを手に入れた。世界で一番美味しいハチミツ。
つまり、小さな働き蜂が、小さな羽を震わせて、巣の中で、完熟のハチミツを作っているというわけです。
そんなこんなで、様々な仕事をこなしているうちに、働き蜂の寿命は少なくなって来るのです。なにせ、たったの30日しかない。
「私たちも、そろそろ行きますか」と1000匹の仲間たちと声を掛け合うのかもしれない。
いよいよ外の世界へと出かけるのです。花の蜜を集めに。
外の世界には、外敵もいたりして、とても危険です。様々な仕事をこなし、もうベテランになった働き蜂たちは、「いざ!」と旅立ちます。わずか1センチちょっとのミツバチが2キロも先の世界へ蜜を集めに飛んで行きます。それはまるで、東京大阪間をノンストップで往復するトラックドライバーのようなもので、その間に敵がたくさん待ち構えたりしているわけで・・・そりゃあもう、危険だらけで・・・。
蜜集めの最中、多くの働き蜂が命を落としてしまいます。だから、寿命が短くなった働き蜂がその役を担うというわけです。
1000匹の同胞の蜂たちは、8の字ダンスで仲間に情報を伝えます。太陽の方角を基準として、カラダを振って進む方向を示し、カラダを振る時間で距離を示す。そうやってみんなで力を合わせて、少しずつ少しずつ花の蜜を集めていくのです。
時々巣箱の掃除をしてあげます。時々、働き続けて天寿を全うした蜂の死骸がポロリンと転がっているのを目にします。
蜂のドラマと、蜂のコロニーのスゴさを実感するというわけです。
ちなみに、蜂の生態やコロニーの仕組みなどは、まだ全然解明されていないわけで、きっと、今後も解明などされないし出来るわけもないと思ったりするわけでありまして・・・つまり、今書いたことは、誰かの想像の産物だったりするわけだったりするわけで、さらに僕の想像も加えてあったりするわけで。
そこんとこよろしくって感じなのであります。
あぁ、もう完全に朝じゃないか。って、感じなのであります。
ではまた。