広尾市豊似、「夢乃館」。
新ひだかを出た僕は、天馬街道を東へ走る。
二年前、天馬街道を西へ走りながら、「嬉しいなぁ」と泣きながらつぶやいたという話を書いた気がする。
結論から言うと、国道236号を北上しながら、「嬉しいなぁ」とつぶやきながら僕は泣いた。
夢乃館、先客が二組、
世は三連休。そういえば、三連休。
バイクを停めて入り口へ向かうと、おとうさんが一組の夫婦の見送りをしていた。
夫婦と入れ違って、おとうさんから見える場所へ行き、手を振ってみる。
「おぉぉ、見たことのある顔だなぁ。今年もバイクで来たのかぁ。おぉぉ、さぁ、入りなさい入りなさい」
お店の中におかあさんが見えた。僕はペコリと頭を下げる。
おかあさんは、僕のフルネームに「君」を付けて呼んでくれた。
「さぁ、座って座って、珈琲をご馳走するわ」
おとうさんとおかあさんと、豊頃から来た夫婦と
、僕。
おかあさんは、しきりに僕のポストカードのことを豊頃夫妻に話している。
おかあさんがあんまりポストカードを褒めるもんだから、豊頃夫妻の妻が、「そのポストカードは売ってないの?」と僕に聞いて来たりして。「見てみたいわ」とか言い出したりして。「売ってません」「ありません」と珈琲をすすりながら答えたりして。「はははは」と笑ったりして。
夢乃館、明日はお休みするらしい。
つまり明日ここに来てたら、おとうさんとおかあさんには会えなかったということだ。もしも会えなかったら、今年は会えないということになって、次にあえるのは、来年から再来年になっていたのかもしれない。そう思うと、会えたことが無性に嬉しくなる。
「ちょっと散歩をして来ます」と言って、僕は席を立った。
「草原の丘」が見たい。