ジェラート屋のおばちゃんがこの場所に建物を建てた時、きのこ王国はまだなかった。
目の前には原生林があり、そこに店舗兼住宅の大きなログハウスを建て、軽食とカフェ用に小さなログハウスを建て、ログハウスを作る時に使用した作業小屋にはライダーやチャリダーを泊まらせてあげ、アルバイトを数人雇い・・・忙しい日々を送っていた。
現在のきのこ王国の隣には道の駅があり、そこにはいくつかの店舗がテナントとして入り、実は、きのこ王国もその店舗の中の一つでしかなかった。
おばちゃんの家の前の原生林。「きのこさんにだけは売らない」という約束だったらしい。
その当時から、きのこさんの勢いは凄まじかったのだろうか?きのこさんにだけは売ってくれるな。
原生林の持ち主は、約束通り、きのこさんには土地を売らなかった。他の人に売った。その他の人は、きのこさんに売った。おばちゃん、がびーん。おばちゃんだけではない。みんな、がびーん。「きのこ、土地、買ってんじゃん」。
かくして、きのこ王国本店が出来上がった。
きのこ王国は繁盛する。いつも人と車でいっぱいだ。観光バスもたくさん来る。
道の駅は潰れた。入居するテナントがいなくなって、村と共同で運営する第三セクターの会社も手を引き、潰れた。きのこさんがお客さんを全部持って行ってしまった。だから潰れた。行政のホームページでは、数年後に復活するとたるが、建物はひどく老朽化し、実際のところ、復活は難しいらしい。
きのこさんの独り勝ち。王国は、こうして出来上がる。資本主義と競争社会の権化「きのこ王国」。
今日も、きのこときのこ汁を売りまくり、みんな買いまくり、食べまくる。
まぁ、ザッと、そんなことを、おばちゃんは、言っていたよ。
みんな大好き「きのこ王国」をこれからもよろしくね。
おばちゃんのジェラート屋もね。