ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

ちょっと・・・ちょっとちょっと。2

2016-11-17 01:16:16 | Weblog


サツマイモの出来はどうだ?とキョーコさんに聞かれたから、「よくないね。この畑はサツマイモには向いてないよ」と答える。すると、キョーコさんは言う。
「草生やしっぱなしじゃぁ、サツマイモだって負けるわ」

はい、おっしゃる通りでございます。

キョーコさんが、サツマイモ畑を越えて、隣の畑も越えて歩いていく。

キョーコさんが歩いていく先には、たわわに実るみかんの木が。

「おっと、これはいいことがありそうじゃないか」

僕は慌ててキョーコさんを追いかける。

みかんをもぐキョーコさん。僕に一つ実を渡す。
僕は渡されたみかんの皮を剥きながら尋ねる。

「へぇ、このミカンの木もキョーコさん家のなんだぁ」

キョーコさんがみかんを次々ともぎながら言う。

「違うよ。他所んちのだよ」

ガーン・・・。ガーン・・・。みかんドロボウ。みかんドロボウとその手下。みかんドロボウ一味。ガーン。

まぁ、いいか。

みかんを食べる。甘くて美味しい。でも、ちょっと皮が硬い。

うまいか?と聞かれたから、うまいよと答える。

キョーコさんもみかんを食べる。
キョーコさんは言う。

「皮がコワイな」

コワイってのは、硬いという意味だね。

皮がコワイなと言ったキョーコさんが驚くべき行動に出る。

両手いっぱいに持っていたみかんを、僕のズボンのポケットに入れ始めた。入らない分は、僕の手に持たせる。

そして言う。

「ほれ、なんか言われたら、もらったって言えな」

そして、キョーコさんは去った。

ドロボウした美味しくないみかんを親分に全部持押し付けられて、現場に一人取り残されたドロボウの子分である。

なるほどなるほど。勉強になるなぁ。

こうやって、親分は助かって子分は捕まる仕組みってわけなんだな。なるほどなるほど。勉強になるなぁ。

ちょっと硬い皮を「ベッ」と吐き出しながらみかんをもぐもぐ。哀愁のドロボウの背中を夕陽が照らす。

ドロボウの子分が一言。

「今日もいい一日だったなぁ」

おわり。

写真は、川越の「時の鐘」の上からみた川越の屋根景色。普段は絶対に観られないんだよ。

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