クリスマス・年賀状・大掃除に買い出しと、人々が慌ただしく動き回る12月。
「師走(しわす)だからネ!」
と言い訳的な声を聴きます。
「師走(しわす)」とは何なんでしょう?
日本では古くから年末は各家庭で僧侶を呼んでお経を唱えるという習慣がありました。
毎日忙しく走りまわっているお坊さんの姿から、師走という言葉が出来たという説です。
昔から12月の事を「しわす(今年最後の仕事が終わり、1年が終わる事)」と呼んでいて、それが当て字で師走になったという説もあります。
「大言海」は、「歳極(トシハツ)ノ略轉カト云フ、或ハ、萬事爲果(シハ)月ノ意、又、農事終ハル意カ」と言い、また「十二箇月ノ名ハ、スベテ稻禾生熟ノ次第ヲ逐ヒテ、名ヅケシナリ」と言っている。 なお、僧侶(師)が仏事で走り回る忙しさから、という平安時代からの説(色葉字類抄)があるが、これは俗解による宛て字であり、平安時代にはすでに、「しはす」の語源は分からなくなっていたとのことです。
「大言海」は「言海」の改訂増補版です。
晩年の大槻文彦氏自身が、改訂作業に務めたが、事半ばにして1928年(昭和3年)に没したため、兄の大槻如電氏らが引き継ぎました。如電氏没後の1932年(昭和7年)より冨山房で刊行されました。<1937年(昭和12年)に全4巻(索引を含め)で完結>
「言海」は、1875年(明治8年)に着手、1882年(明治15年)に初稿成立、校閲を経て1886年(明治19年)に完成したが、国の予算が無いために1889年(明治22年)から1891年(明治24年)にかけて大槻文彦氏が自費出版することになったとのことです。
日本国語大辞典は、語源について記述していません。末尾に次の9説を列挙するだけです。
・経をあげるために師僧が東西を馳せ走る月であるところから、シハセ(師馳)の義〔奥義抄・名語記・壒嚢鈔〕。
・四季の果てる月であるところから、シハツ(四極)月の意〔志不可起・和爾雅・日本釈名〕。
・トシハツル(歳極・年果・歳終)の義〔東雅・語意考・類聚名物考・和語私臆鈔・黄昏随筆・古今要覧稿・和訓
栞〕。
・ナシハツルツキ(成終月)の略転〔紫門和語類集〕。
・農事が終わり、調貢の新穀をシネハツル(歛果)月であるところから〔兎園小説外集〕。
・稲のない田のさまをいうシヒアスの約。シは発声の助語。ヒアスは干令残の義〔嚶々筆語〕。
・シヲヘオサメヅキ(為竟収月)の義〔日本語原学=林甕臣〕。
・セハシの義〔万葉代匠記〕。
・シバシ(暫)の月の義〔遠碧軒記〕。
元々は旧暦(太陰暦)の12月の事を意味しています。現在の新暦(太陽暦)でも12月の事を表す言葉として使われています。
兎にも角にも12月は何故か忙しい。そんな気がします。
わたし的には『学校の先生も組織人として3月まで残すところ数ヶ月となり、保身や立身出世のためにあちこちと動き回る時期になった』という方が面白い。
大晦日の12月31日、翌日には新年の1月1日が嫌でもやってきます。それでも12月であればその年の内に遣っておくことや新年の準備で走り回っているのが人情です。
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