この本は、今風に言えば“ラノベ”に分類されるものだと思います。
今年2017年3月4日付UPの「ビブリア古書堂の事件手帖」完結・最新刊発売」でお話したように、3月10日に発行されました。
しかし、「ビブリア古書堂の事件手帖」のスピンオフという振れ込みが利いたのか、3月10日になっても、更に一か月半を過ぎても近所の書店の店頭に陳列されることは一向にありませんでした。
仕方なく、ネット検索をかけてみると、AmazonやWeb販売店には出ていました。いくら待っても近所の書店に陳列されることがないので、紀伊国屋書店のWeb会員登録をして、Web書店に注文をし、入手しました。本当の気持ちは、実物をこの手に取って購入したかったのですが……
ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ
書名:こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌〔A6判;文庫本〕
著者:峰守ひろかず
発行所:株式会社 KADOKAWA
初版発行日:2017年3月10日
本の『内容紹介』では、以下のようなことが記されています。
鎌倉のとある高校に、豊富な蔵書を持ちながら、利用者が少なく廃止寸前の旧図書室があった。図書部に在籍する、読書すると作品世界に没頭しちゃう小動物系な卯城野こぐち。彼女はその体質から、落ち着いて読書できるのが旧図書室だけだった。そんな旧図書室とこぐちを助けるため、秘密の趣味は朗読配信と中二病な小説執筆の前河響平が立ち上がる。生徒会長に掛け合うと、旧図書室維持のため、生徒同士で書評バトルを行う「ビブリアファイト」に挑むことになり―。お勧めの本をプレゼンするビブリアファイトでは、実在の名作を多数紹介。原作小説の栞子さんも登場する、本好き少女と恋する少年を描く。
この作品を読んでいて、理由なく嬉しく思った点がいくつかあります。
そのひとつが、物語が始まって直ぐ、19ページの中ほど、「・・・布張りの重厚なハードカバー。赤黒い表紙には、二匹の蛇が円形に絡み合った文様が浮き上がっていた。」は、明らかに岩波書店から発行された『はてしない物語』の本の装丁に関するビジュアル表現です。
書名:はてしない物語 〔菊判;単行本〕
著者:ミヒャエル・エンデ
訳者:上田真而子 佐藤真理子
発行所:株式会社 岩波書店
初版発行日:1982年6月7日
記載されている書籍は、タイトル程度の少し触れたものなら沢山記述されており、主人公達がビブリアファイトの対象としてチョイスしたものは6作品。
タイトルだけ記載された作品で、本書の最初、29ページに紹介されたものに『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』があります。これも理由なく嬉しく思いました。
この作品は、わが国ではペーパーバックの単行本として、上巻が1975年1月に、下巻が同年4月に初版発行されました。児童文学ですが、私が26歳のときに購読し、感銘を受けた作品です。
(内容概略)イギリス南部田園地帯に住むウサギたちが、理想の大地“ウォーターシップ・ダウン”を探す旅に出る物語を描いた児童文学。
書名:ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち(上・下)〔四六判;単行本〕
著者:リチャード・アダムス
訳:神宮輝夫
発行所:株式会社 評論社
初版発行日:(上)1975年1月15日 (下)1975年4月4月17日
ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」もそうですが、児童図書は以前から結構好きです。
≪ビブリオファイト≫
「ビブリオファイト」とは、この作品の登場人物である生徒会長の旭山扉が「ビブリオバトル」を基に考案したと設定されている書評ゲーム。
≪ビブリオバトル≫
「ビブリオバトル(Bibliobattle)」は、2007年に京都大学情報学研究科共生システム論研究室から広まった輪読会・読書会、または勉強会の形式で「知的書評合戦」とも呼ばれている。2010年に「ビブリオバトル普及委員会」が発足し、大学生・大学院生を対象にした全国大学ビブリオバトルが開催されている。
≪中二病(ちゅうにびょう)≫
中二病とは、丁度中学校二年生の頃、つまり13歳頃の思春期にありがちな自己愛に満ちた空想や嗜好などを揶揄したネットスラング。治療が必要とされる医学的な意味での病気、精神疾患ではない。
≪ラノベ≫
ラノベとは「ライトノベル」の略。ライトノベル(和製英語:light novel)とは、「軽小説」を原義とした小説の分類名。明確に定義付けられてはいないが、若者(ティーンエージャー)向け、読みやすい文体、外見的にはアニメ絵の表紙、ジャケットの物、キャラクター小説などがそう呼ばれる傾向にある。
1990年代初め、SFやファンタジー小説ファンが集ったパソコン通信の電子会議室で生まれた小説のジャンル名。名付け親は、同会議室のシステムオペレーター(管理人)を務めた神北恵太さん(1965年生まれ)。「70年代に創刊されたコバルト文庫やソノラマ文庫の少年少女向け小説について、ひとくくりにできる新しい名前が必要だと考えた」とのこと。
【関係サイト】
○ 株式会社KADOKAWA
○ メディアワークス文庫
○ 電撃文庫
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