2017年10月23日に開催された全国図書館大会において
「文庫本の売り上げ減は図書館が文庫本を置いているからだ。」といった趣旨で、
文芸春秋社の松井清人社長が文庫本貸出中止を訴えたそうです。
知識人として知られる文芸春秋社社長の言葉だとは俄かには信じられませんでした。
図書館に対するこの抗議はお門違いだと思います。
西野さんの考えも一理あります。現象に対して原因がなんであるかとの考えにはいろいろあろうかと思います。
書店あっての図書館。書店が無くなれば、図書館も存在できないはず!
私は次のように考えています。
・図書館で文庫本を借りるのは、そうせざるを得ない社会状況にあるからだと思います。
社会状況とは、
・今の日本は、戦後築いてきた弱者を擁護・支援する社会構造を、バブル経済以降、『自己責任』というアメリカ流の責任感に基づいた政府の処置(雇用者や税制改正・社会保障制度)によって崩壊させてきました。(日本流は『インカムゲイン』、アメリカ流は『キャピタルゲイン』だと思います。)
・雇用も、そんなアメリカ自体が「素晴らしい」と評価する日本の従来の『終身雇用』について、とんでもない仕組みであって、個人の自由を奪い、拘束する雇用形態であり、今後の新しい社会では、自由な働き方ができる『ヘッドハンティング』、『契約社員』や『パートタイマー』の方がさもいいかのようなイメージを社会全体に植え付けるようなことを政府・与党及び経済界は行ってきました。
・これにより、年金額も大幅に減少され、他の社会保障も対象が圧縮されるなどするほか、現役世代の可処分所得も大きく減少させることを許容してきたため、高齢者は書店で文庫本でさえも購入することができなくなり、子供達も小遣いが貰えずに町の本屋で本を購入して読むということすらままならない状況にあります。
責めるべきは政府及び与党ならびに経済界(経団連や経済同友会=大手企業の経営者)だと思います。そんなことが分からない社長だとは思えないのですが・・・