「高年齢者雇用安定法」のシリーズ全5回のうち、第3回目は、定年退職の直前・直後に自身がやらなければならない実務的な手続きについてお話します。
定年退職日が近づくと、会社の担当者は定年退職該当者に退職説明会を開催し、公共職業安定所(ハローワーク)に対しての退職手続きを行います。
これは、「雇用保険の被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に届出すること」と法令に定められているからです。〔雇用保険法(昭和49年法律第116号)第7条、雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号第7条)〕
担当者は、
①雇用保険被保険者資格喪失届
②-1雇用保険被保険者離職証明書(事業主控)
②-2雇用保険被保険者離職証明書(安定所提出用)
②-3雇用保険被保険者離職票‐2
を作成します。
雇用保険被保険者資格喪失届
雇用保険被保険者離職証明書(安定所提出用)
退職者本人は、
(1) 「②-2雇用保険被保険者離職証明書(安定所提出用)」の 『⑮(離職者氏名)』欄に署名、押印
(2) 同証明書の右下の『⑯離職者本人の判断』欄で「無し」を○で 囲み、署名、押印
(3) 「②-3雇用保険被保険者離職票‐2」の右下の『⑯離職者本人の判断』欄で「無し」を○で囲み、署名、押印。『⑰⑦欄の...』 欄に署名、押印します。
会社の担当者は、これらの書類のほか、労働者名簿、賃金台帳(1年分)、退職理由の確認できる書類(社内規程など)を持参・提示します。
この手続きが完了すると、ハローワークから以下の書類が交付されます。
①雇用保険被保険者離職票‐1、資格喪失確認通知書(被保険者通知用)
②雇用保険被保険者離職票‐2
③雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(事業主通知用)
会社の担当者から
①雇用保険被保険者離職票‐1、資格喪失確認通知書(被保険者通知用)
②雇用保険被保険者離職票‐2のほか、「雇用保険被保険者証」
が渡されますので、大事に保管しておきます。
雇用保険被保険者離職票‐1
「雇用保険被保険者離職票‐1、資格喪失確認通知書(被保険者通知用)」は、1年以内に再就職先をやめた時、再就職先の離職票と合わせてハローワークに提出しなければならない書類です。
退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書
また、「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」を作成し、税務署に提出します。
この書類の「あなたの」欄に現住所を記入、署名、押印します。
これは、退職金に係る税金の源泉徴収に関する手続きです。
退職金への課税は、所得税法第四編第三章「退職所得に係る源泉徴収(第百九十九条―第二百三条)」、所得税法施行令第四編第一章の二「退職所得に係る源泉徴収(第三百十九条の三・第三百十九条の四)」に定められています。
別表第六「源泉徴収のための退職所得控除額の表
別表第六「源泉徴収のための退職所得控除額の表」で、勤続年数による控除額が定められており、この額を超える部分が課税対象となります。
<シリーズ・インデックス>
・高年齢者雇用安定法(その1):概要の確認
・高年齢者雇用安定法(その2):定年退職職前60歳到達時
・高年齢者雇用安定法(その3):定年退職の直前・直後(当記事)
・高年齢者雇用安定法(その4):年間報酬低下に伴う可処分所得の試算
・高年齢者雇用安定法(最終回):再就職直後
<関連記事>
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