受入出向者で出向先会社の役員になっている人について、労災保険と雇用保険に出向先会社で加入手続きするよう出向元会社から依頼があった。役員は労災保険の対象にならないと思うが、対象にすることができるのか。と質問されました。
親会社で一般の労働者である者が、出向先で役員となった場合の労災保険・雇用保険の取扱いについて確認してみましょう。
1.出向とは
始めに出向とは何かを確認しておきましょう。
出向とは、出向元である自己の事業所に在籍したまま、出向先となる他の事業所で業務に従事することを指します。したがって、労働者は出向元と出向先の双方で雇用関係が成立し、出向元と出向先の協定等によってそれぞれの責任の内容が決定されます。
この前提を押さえた上で、親会社に在籍して給与が支給されている労働者が、子会社に役員として出向した場合の労災保険・雇用保険の取扱いについて考えてみましょう。
2.労災保険
通常、出向労働者は出向先の指揮命令下で業務に従事しているため、出向先の労災保険の被保険者となります。
しかし、出向先で役員となっているため、被保険者になることができません。
ただし、このような場合であっても出向先が中小企業に該当すれば、特別加入をすることにより保険給付を受けることができます。
この際の保険料は、一般の労働者とは異なり、保険料算定基礎額に出向先事業所の業種に応じた保険料率を乗じて計算します。
なお、この保険料算定基礎額は、特別加入申請をする際の給付基礎日額(3,500円~20,000円)に基づき決定されます。
3.雇用保険
出向労働者は、その者が生計を維持するために必要な主たる賃金を受ける事業所で雇用保険の被保険者となります。
したがって、出向元で主たる賃金を受けているため、出向元の被保険者資格が継続されることになります。
仮に出向先で主たる賃金を受けている場合には、役員として出向しているため、被保険者資格を継続することはできず、喪失手続きを行わなくてはなりません。
特に注意すべきなのは、出向先事業所の規模や賃金の支払われ方により、被保険者資格の有無が変わる可能性があることです。
このような事実が生じる場合には、出向労働者に対して事前に説明を行うなどの対応が求められます。
参考までに昭和35年11月2日の労働局長の通達を記載しておきます。
出向労働者に対する労災保険法の適用について
(昭和35年11月2日基発第932号)
ある事業(以下「出向元事業」という。)に雇用される労働者(以下「出向労働者」という。) が、その雇用関係を存続したまま、事業主の命により、他の事業(以下「出向先事業」という。)の業務に従事する場合における労災保険法(以下「労災保険法」という。)の適用は、左記のとおりとするので、関係事業主に対し、この旨指導されたい。
一 出向労働者に係る保険関係について
出向労働者に係る保険関係が、出向元事業と出向先事業とのいずれにあるかは、出向の目的及び出向元事業主と出向先事業主とが当該出向労働者の出向につき行った契約ならびに出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して、決定すること。
その場合において、出向労働者が、出向先事業の組織に組み入れられ、出向先事業場の他の労働者と同様の立場(ただし、身分関係及び賃金関係を除く。)で、出向先事業主の指揮監督を受けて労働に従事している場合には、たとえ、当該出向労働者が、出向元事業主と出向先事業主と行った契約等により、出向元事業主から賃金名目の金銭給付を受けている場合であっても、出向先事業主が、当該金銭給付を出向先事業の支払う賃金として、徴収法第一一条第二項に規定する事業の賃金総額に含め、保険料を納付する旨を申し出た場合には当該金銭給付を出向先事業から受ける賃金とみなし、当該出向労働者を出向先事業に係る保険関係によるものとして取り扱うこと。
二 上記一の後段に係る事務取扱
(1) 保険料の納付について
出向元事業主が、出向先事業主との契約等により、出向労働者に対して支払う賃金名目の金銭給付を、出向先事業に関する徴収法第一一条第二項に規定する賃金総額に含めたうえ、保険料を算定し、納付させること。
(2) 平均賃金の算定について
出向労働者につき事業上災害が発生し、保険給付のため平均賃金を算定する必要が生じたときは、出向元事業主が、出向先事業主との契約等により、出向労働者に対して支払う賃金名目の金銭給付を、出向先事業が支払った賃金とみなし、出向先事業が出向労働者に対し支払った賃金と合算したうえ、保険給付の基礎となる平均賃金を算定すること。
この場合には、出向元事業主の上記金銭支払明細書(ただし、上記平均賃金を算定するための所要期間内に支払われたものに限る。)について出向先事業主の承認をうけ、これを補償費請求書に添付して提出するよう受給権者を指導すること。
なお、上記平均賃金の算定が、労働基準法第一二条第二項の規定によるべき場合で、出向元事業の賃金締切日と出向先事業の賃金締切日とが相違するときは、それぞれに係る部分について各別に計算し、両者の合算額を、保険給付の基礎となる平均賃金とすること。
(3) 休業補償費のスライドについて
労災保険法第一二条〔現行=第一四条〕第四項の規定による労働基準法第七六条第二項の規定の適用については「出向先事業場における同種の労働者」を「同一の事業場における同種の労働者」として取り扱うこと。従ってたとえ、出向労働者が災害後出向元事業に復帰している場合であっても、同様であること。
(4) 保険料率のメリットについて
労災保険法第二七条〔徴収法一二条第三項参照〕の規定の適用については、出向労働者に対する保険給付を、出向先事業に対する保険給付として取り扱うこと。
三 稟伺
上記一の出向労働者の労働関係の所在の判断等について、疑義ある場合には、その具体的事情を具し、本省労働基準局長あて稟伺すること。
【参照サイト】
厚生労働省法令等データベースサービス
法令等データベースサービス-通知検索-
労働基準法(平成20年12月)
労働基準法施行規則(平成21年5月)
兵庫労働局(平均賃金)
“8月”で思い出すことの一つに東京の都営トロリーバス(trolley bus)があります。
私が初めてトロリーバスと出会ったのは、大学入学で上京した昭和42年(1967年)4月、池袋東口、西武百貨店付近でのことでした。架線がトロリーポールとの接触で、時々「バチバチッ」と大きな音をたて、火花を散らしているのに驚き、それを何とも思っていないかのように行き交う人々に、更に驚きました。
それまで、トロリーバスは雑誌に掲載された写真でしか見たことがなく、子供の頃からトロリーバスが走る街への漠然とした憧れがあったので、とても感激しました。
トロリーバスは、架線で供給される電気をトロリーポールで取り込み、動力源のモーターを動かす仕組みです。今風に言えば架線を利用したEV(electric vehicle)です。ただし、法規上は自動車ではなく、路面電車と同じ鉄道に分類されています。このため、運転士は大型二種免許のほかに、動力車操縦者運転免許(無軌条電車運転免許)が必要となります。
踏み切りなどの短距離で、トロリーバスのための架線が敷設できない場所を通過する時は、トロリーポールを下げ、補助のディーゼルエンジンを動力として走行する仕組みでした。
この意味ではハイブリッドの魁だったと思います。
開業当初の都営トロリーバス1952年(昭和27年)
(出典)毎日新聞社「一億人の昭和史6」
そんな“eco”なトロリーバスでしたが、動力源である電機モーターの防水技術レベルが低いこと、降雪時にアースの関係からタイヤチェーンが使えないことなど、構造的に風雨や積雪に弱いことや、安全対策のためバック運転しないなど、使い勝手の悪さ(?)が効率的経済成長を目指す社会情勢に合わなかったのか、都は廃止の方針を出していました。
1968年(昭和43年)8月9日、運輸審議会は東京都から申請されていた都電とトロリーバスの廃止を決定しました。
決定から約2ヶ月後には営業が終了され、架線も手際よく撤去されました。
わが国では、かつて7つの街にトロリーバスが走っていました。
・都営トロリーバス(東京都)
1952(S27).5.20-1968(S43).9.30
・川崎市営トロリーバス(川崎市)
1951(S26).3.1-1967(S42).5.1
・横浜市営トロリーバス(横浜市)
1959(S34).7.17-1972(S47).4.1
・名古屋市営トロリーバス(名古屋市)
1943(S18).5.10-1951(S26).1.16
・京都市営トロリーバス(京都市)
1932(S7).4.1-1969(S44).10.1
・大阪市営トロリーバス(大阪市)
1953(S28).9.1-1970(S45).6.15
・日本無軌道電車(宝塚市・川西市)
1928(S3).8.1-1932(S7).4
今も世界の多くの都市では、新型車両のトロリーバスが運行されています。
わが国では、唯一、黒部・立山のみに運行路線があります。
・立山トンネルトロリーバス(立山黒部貫光)
室堂駅~大観峰駅 3.7km
・関電トンネルトロリーバス(関西電力)
黒部ダム駅~扇沢 6.1km
ノスタルジア(懐旧の情)で物申せば、都市部に営業路線として存在しないのが少し残念です。
今夏は1ヶ月以上にもなるかと思えるほどの期間、気温が35℃を超える猛暑日が続き、残暑も厳しいようです。そんな中、先週の土曜日(8月7日)の朝は何となく暑さが緩んでいるような気がしました。
カレンダーを見ると『立秋』と書かれており、
「ああ、もう秋なんだ・・・」
と納得してしまいましたが、外では梅雨明け(7月17日)と同時に鳴き始めた熊蝉が相変わらず元気よく鳴いています。“蜩”や“つくつく法師”ではなく。。。。。
「うそやん」
思わず呟いていました。
立秋は二十四節気の一つです。
太陽の見かけ上の通り道である黄道を、春分点を起点に360度に分けた「黄経」が135度のときで8月7日ごろとか、冬至から228日目で8月7日ごろなどと言われています。
立秋には初めて秋の気配が表われてくると言われています。
夏至と秋分の中間に当たり、立冬の前日までが秋となります。
暦の上ではこの日が暑さの頂点とされています。
このため、立秋の翌日からの暑さは「残暑」ということになります。
手紙などの時候の挨拶では、残暑を意味する表現を使うことになります。
午前中にこんなことを思いながら、夕方には、19時30分に始まる「みなとこうべ海上花火大会」を見に、メリケンパークへと出かけました。
今年で40回目の開催とのことです。
ポートタワーも打ち上げ花火を模したイルミネーションで会場の盛り上げに一役買っていました。
ハーバーランド、メリケンパーク、第一突堤~第四突堤、ポートアイランド北公園、ポーアイしおさい公園が観覧ポイントとされており、家族連れや浴衣姿のカップルら約22万5千人が詰め掛けたとのことです。
メリケンパークには屋台がでており、縁日さながらの賑わいをみせていました。
気温も前日より低く、そよ風が吹く中での開催となり、10,000発の花火が打ち上げられたようです。
間近で見る花火は流石に迫力があり、気分が高揚します。
フィナーレは打ち上げ数が多くて、次第に煙の中で花が開いている状態となりました。
業務関係者に個人情報が含まれたドキュメントを送付する必要があり、会社で導入している暗号化ソフトを使って“自己複号暗号化”ファイルに変換し、メールに添付して送信しました。また、複号化パスワードを別メールで送信しました。
私のメールを受信したA氏から電話があり、
「パスワード入力画面が表示されないばかりか、霧がかかったような画面が表示される。」
また、別のB氏からは、
「受信メールに添付されていたファイルが削除されてしまったようだ。」
といった連絡がありました。
一瞬、「どうしたんだろう?」と私の思考回路は混乱し始めましたが、3時間程度経つ内にあることを思い出そうとしながら、一方で現象再現方法についても整理しようとし、何ができる訳でもないのにPCに向かっていました。PCに向かうことで思考の整理が容易になる傾向を認識していたので・・・。
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この現象はイントラで利用しているメーリングソフトでは再現できないはずだ。
Windows XP に同梱されている「Outlook Express」のバージョン6以降のメーラー環境が必要。
Windows Vista 又は Windows 7 に同梱されている「Windows メール」のメーラー環境が必要。でもこれは必須ではないかも。
確認して、解消方法を思い出さなければ・・・
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ここまで考えた時、先の二氏に送付したメールを自宅の自分宛に送信していました。
自宅でのメーラーは「Outlook Express 6」です。現象再現の可能性と解決策確認の可能性を賭けたのです。
帰宅後、PCを立上げ、Outlook Express を起動しました。会社から送信したメールを受信していました。メールを開くと、添付ファイルが表示される箇所に
『次の添付ファイルは安全でないため、メールからのアクセスが削除されました:***.exe』
というメッセージが表示されていました。
疑問が確信に替わった瞬間です。
何年も前のことです。会社の全PCに Windows XP Service Pack2 を入れたときに整理していた事項でしたが、既に記憶の奥底に仕舞い込んでいたことを思い出したのです。
このトラブルは Microsoft 社の余計なお節介によるメールセキュリティ機能によるものです。(欧米の人には必要な機能のようです。)
Microsoft 社の余計なお節介とはこうです。
①ウィルスの9割以上はメールの添付ファイルを利用してやってくる。
②うっかり添付ファイルを開いてしまい、ウィルスに感染した、ということが減るよう、『ウィルスの可能性がある添付ファイルを保存したり、開いたりしない』ように制御する。
といった機能を Outlook Express 6 から追加し、デフォルトでその機能を“ON”にしたのです。
したがって、Windows XP Service Pack 1 以降、あるいは Internet Explorer 6 Service Pack 1 以降をインストールしたときや Windows Update で自動的にインストールされたとき、突然『添付ファイルが削除された』とか『添付ファイルを開けない』といったトラブルに見舞われることとなります。
Windows Vista や Windows 7 に同梱されている Windows メールにもこの思想と仕組みは引き継がれています。
このお節介な機能のターゲットとなるファイルは、次のような拡張子をもつファイルです。
ただし、ここに列挙した拡張子はターゲットの全てではありません。
.exe .scr .vbs .com .pif .bat .lnk
以下の設定変更を行うと、全ての添付フィルを開くことができます。当然、自己複号暗号化ファイルのパスワード入力画面も表示されるようになります。
1.メールソフトを起動する
2.メニューバーの「ツール」をクリック
<Outlook Express 6の場合>
<Windows メールの場合>
3.「オプション(O)」をクリック
4.表示されたオプション・メニューの「セキュリティ」タブをクリック
<Outlook Express 6の場合>
<Windows メールの場合>
5.「ウィルス防止」項目の「ウィルスの可能性がある添付ファイルを保存したり開いたりしない(N)」のチェックボックをクリックし、チェックマークを消す。
6.〔適用(A)〕ボタン→〔OK〕ボタンの順にクリック
以上で設定変更は完了です。
どんな添付ファイルも開くことができるようになりましたが、以前にも増して
○ウィルス・メールやスパム・メールへの注意を怠らない
○安易に添付ファイルをクリックしない
といった、ヒューマン・エラー防止意識を高めることが常に必要となります。