最近、「押し買い」が横行しているようです。昔からの「押し売り」については良く知られており、その対処も心得ている人が多いとは思いますが、どうも「押し買い」には無防備な人が多いようです。
「押し買い」も「押し売り」と同様、突然家にやってきて半ば脅すようにして物品を買い取っていくという不法行為です。
貴金属価格が上昇したことで、金やプラチナなどの貴金属を相場より大幅に低い価格で強引に買い取り、行方をくらます業者が相次いでおり、国民生活センターはホームページ上で注意を促しています。
国際的な経済不安のほか、東日本大震災の被災者支援や心臓ペースメーカーの部材不足などを切々と喋り、人の社会的倫理観に付け入った道徳感を煽り、貴金属や着物を売り渡すよう強要するという悪質な行為です。
国民生活センターへの相談件数は、2007年には30件程でしたが、2010年には540件となり、2009年の139件の約4倍と急増しています。
この被害件数は国民生活センターに相談という形で顕在化した件数であり、潜在被害がどれほどあるのか思いも及びません。
被害者は全年代に及んでいますが、60歳以上が70%を占め、圧倒的多数となっています。
一方、20~30歳台も8%近くあり、被害は高齢者に特化したものではないことを窺わせます。
国民生活センターでは、
・買い取ってもらうつもりがないなら毅然と断ること
・一人で業者に対応するのは避けること
・相手がどのような業者なのか確認すること「古物商許可証」か「古物業者従業者証」の提示を求め、内容を記録しておくこと。
・買い取り条件などが明記された書面をもらうこと
・なにかあったら最寄りの消費生活センターや警察に相談すること
などの注意喚起をしています。
「押し買い」は、消費者が業者に代金を払って物品を購入したり、サービスの提供を受けたりする取引ではないので、クーリングオフ制度の適用外となると覚悟しておかなければなりません。
また脅迫や詐欺の客観的な行為が証明できない限り、現在の法律では取り締まることはできません。
国民生活センターの注意喚起事項はよくわかりますが、舞い上がっているときにはなかなか実行できないものです。
“家に突然やってきて、強引に・・・”という行為は「押し売り」と同じです。
最も重要な対処方法は、
①自分が要請して来宅して貰っていない人には玄関を開けない。
②突然やってきた見ず知らずの人の話は最初から聞かない。
③貴金属や着物を売りたいときは、街に店舗を構えて経営している専門店に自ら持ち込む。
の3点ではないでしょうか。
<関連サイト>
国民生活センター