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表裏源内蛙合戦

2008年11月30日 23時49分00秒 | 観劇

20分の休憩を加えても、4時間10分にも及ぶ長い舞台が話題になっている、表裏源内蛙合戦を観てきました。
チケットが取れず、舞台の長さもあり、直前まで観に行くかどうかを悩んでいました。
ところが、26日になって急遽良席のチケットが入手でき、今日の観劇となりました。
蜷川さんが井上ひさしさんの原作を演出し、平賀源内を上川隆也さんと勝村政信さんの2人が演じ分けると言うことで、どんな舞台が観られるのか楽しみでした。
客席に入ると、一瞬戸惑いを覚えました。
普段ならば、暗い舞台上にスモークが立ち込め、セットが朧気に浮かんでいるというイメージが強い蜷川さんの舞台。
ところが、目の前に広がるのは、どうみても舞台裏の景色。
ハンガーには大量の衣装が掛けられ、コンクリートの打ちっ放しの壁に棚には、照明用のライトがずらりと並んでいます。
あれ、今日の舞台って江戸時代の平賀源内のはず?

2階席には赤い提灯が付けられ、新橋演舞場のような雰囲気が。
いったい、どんな舞台が始まるのかと思っていたら、拍子木が鳴らされ舞台が始まると、出演者全員が舞台上に並び座長?の上川さんを始めとし、主立った出演者による前口上が始まりました。
裏の源内を演じる勝村さんは、早々に黒子の衣装を纏っていました。
舞台は、WICKEDよろしく、源内の誕生のシーンからスタートです。
赤ん坊の源内から、上川さんが演じていて、笑いが途切れません。
音楽もテンポの良いものが続きますが、しばしば歌われる「長崎は今日も雨だった」の一節は、私には理解できませんが、そんなに必要だったのか?
時に2人がぶつかるさまは、源内の心の中での葛藤を観る思いです。
勝村さんは多くのシーンで笑いを取っていますが、重要なシーンでは強く存在感を見せつけてくれます。
2幕冒頭の講釈のシーンも、登場シーンは下ネタで笑わせますが、しっかりと講釈の長台詞を聴かせてくれます。
ただ、とても長い舞台のため、ともするとちょっと飽きてきそうな場面も。
江戸の町民文化が源内の人生と重なって進んでいくため、見た目の楽しさや吉原の猥雑さが表現されるため、観る方によっては若干の抵抗があるかも知れませんね。
新井白石らとの腑分けのシーンも、観る方によっては抵抗あるかな?
薮原検校で古田新太さん演じる薮原検校の処刑シーンも、結構インパクトがあったので、あれは蜷川さんの好みなんでしょうか?
平賀源内というマルチな才能を持った、江戸時代のダヴィンチとでも呼びたい男。
一方でトレンドとして受け入れられた源内が民衆から飽きられたとき、表の源内には為す術がなく、裏の源内が生きることをアピールするも上手く回らぬ様が伝わってきます。
ラスト、牢で食事も取らず死んでしまった源内に勝村源内が言い放った、「死ぬことは無かったろうに」の一言が耳に残ります。
青茶婆を演じていた高岡早紀さん、もう少し色っぽい感じでも良いのかなと言う印象です。
田中裕子さんあたりがやると、色っぽさや金貸しの嫌らしさがさらに良い感じになるように思えます。
私の中では意外なほど印象が薄かったのが、豊原功補さん。
他の出演者の存在感に、紛れてしまったのかな?
これに対して、強欲な検校や田沼意次、秋田藩で一揆の策を源内に乞う農民等を演じた六平直政さんは、存在感がありますね。
検校が捕らえられ、縄で縛られて連行される様は、どこかで観たと思ったら薮原検校でも似たようなシーンを演じていました。
舞台では初めて観る篠原ともえさんは、テレビでキャンキャンしていた頃とは顔立ちも変わった印象を受け、上川源内に膝枕をしている太夫役は、他の役者かと思ってしまいました。
もう1人、茂手木桜子さんでしょうか?
あの極めて痩せ細った身体を観ていると、痛々しさを感じてしまうのは私だけではないのでは?
コクーンのシートがもう少し腰に優しければ、もう1度観てみたい舞台です。
これ以外の部分は、改めて。
14時に始まった舞台も、終わって外に出るとイルミネーションが美しく輝いていました。