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私のお気に入りです。

炎立つ  ~シアターコクーン

2014年08月17日 23時42分00秒 | 観劇

休憩20分を含む2時間30分の舞台でしたが、体感的にはそれ以上の時が過ぎていった感じがするものでした。
原作はNHK大河ドラマでも放送された、藤原清衡・家衡の異父兄弟の争いと理想郷としての平泉を作るまでを描いています。

荒ぶる魂でキヨヒラと対立し、古代神アラハバキに魂を預けるイエヒラに、三宅 健さん。
狂気じみたイエヒラを熱演しています。
対するキヨヒラには、片岡愛之助さん。
異父兄弟と言えども、兄弟での凄惨な争い。
愛する妻と母が「キヨヒラを生かすため」に自害し、多くの民の死をも重く受け止め苦悩するキヨヒラを熱演します。
妻とお腹の中の子、母を亡くしたときの慟哭。
イエヒラとの戦う中、誰も死なせたくないと苦悶するさま。
民は生きていればこそ、との思いでアラハバキと対峙するさま。
目に焼き付きいています。
目を閉じて耳を澄ますと、時として石丸幹二さんのように思える事も。
猿の助さんや海老蔵さんほどの台詞の明瞭さや声量がないのが、ちょっと残念かなと感じることも。
新妻聖子さん演じる巫女のカサラが、また良いです。
彼女の澄んだ歌声が、巫女としての予言を神がかりに感じさせます。
コロスとして巫女のような衣装で登場する、一倉千夏さん、上田亜希子さん、坂本法子さん、山崎 薫さんは、時に巫女のごとく、時に民のごとく多くの役を演じます。
野村萬斎さんの演出によるマクベスの魔女のようなポジションですが、俳優の少なさを感じさせないことも凄いと感じました。

更に大きな存在感を持つのが、古代神アラハバキを演じる平 幹二朗さん。
相変わらず、凄いオーラです。

舞台セットは、とてもシンプルです。

生演奏を行うのは、浦田恵司さん、宮野弘紀さん、金子飛鳥さんの3人。
とりわけ、金子さんの演奏するバイオリンの音が、切なくもあり、おどろおどろしくもあり、力強くあり、もう一人の役者がいるかのようにも感じました。

蝦夷として差別されていた陸奥と出羽を理想郷・平泉として作り上げる様は、震災から復興する現在の被災地にも重なるものを感じたりもします。

芝居巧者が揃う芝居は、本当に良いものですね。
今年、私にとって一番の作品にしたい思いです。
シアターコクーンでの上演でしたが、私の中では新国立劇場 中劇場で上演される作品のようにも感じました。

ロミオとジュリエット同様に、再度観に行きたいです。



キヨヒラ  
イエヒラ  
ヨシイエ  
カサラ   
イシマル  
ツネキヨ  
キリ    
コロス   
      
      
      
ユウ    
アラハバキ 
片岡愛之助
三宅 健
益岡 徹
新妻聖子
花王おさむ
松井 工
宮 菜穂子           
一倉千夏
坂本法子
上田亜希子
山崎 薫
三田和代
平 幹二朗