なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

膵性糖尿病

2016年03月30日 | Weblog

 昨日の内科新患に内科医院からの紹介で89歳女性が受診した。糖尿病で通院していて、HbA1cが8%台だった。2週間前にHbA1cが9.2%に上昇していたので、処方を変更した。グリメピリド1mgにネシーナ25mgの処方だったが、ネシーナをエクメットに変更した。数日内服すると嘔吐が続いて食べられなくなった。薬が変わってからということで、中止したところ症状はしてきた。先週の終わりに受診した時に、血糖コントロール不良ということで、当院受診の予約がとられた。

 ご本人は89歳という年齢を考えると、元気だった。しゃべり方もハキハキしている。畑仕事をしているという。年齢を考慮すると、8.0%くらいまでにしたいが、8.0~9.0%でも許容されるのではないか。持効型インスリンを開始して、BOTにすれば、血糖は改善するのだろうが、行うとすれば家族(嫁)が注射することになるだろう。

 エクメットはエクア+メトホルミンで、メトホルミンの副作用で嘔気嘔吐がでてもおかしくない。ネシーナを内服していたので、エクア単独なら大丈夫だろうと考えて、エクア2錠分2にしてみた(若干効果が強いはず)。

 この方は2年前に上腹部痛で当院の救急外来を受診していた。血清アミラーゼが上昇して、炎症反応も上昇していた。急性膵炎だった。膵臓全体に石灰化があり、慢性(石灰化)膵炎がある。胆石性でもアルコール性でもないので原因は特発性となる。その時当番だった消化器科医(当院を退職して実家の内科医院を継いだ)が診て、膵石が総胆管との共通管内に落ち込んだために(あるいは共通管内で成長?)、主膵管並びに総胆管を閉塞させたものと判断して、胆膵の内視鏡治療ができる病院へ搬送していた。

 紹介先の病院ではESTを行って、閉塞させていた膵石を摘出して、一時的に胆道ステントを置いた。その後総胆管~共通管内に結石がないのを確認して、ステントを抜去したとある。個人的に興味深い症例で、外来でその時の経緯を詳しく聞かせてもらった。つまり膵性糖尿病だった。

コメント
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