先週の木曜日に感染病棟に入院したCOVID-19の92歳女性に、中心静脈(CV)カテーテル挿入を行った。(人工呼吸器管理をしている病院からみればまったく大した処置ではないが、当院はひとりコロナ診療なので、感染病棟内で行うのは覚悟が必要)
一昨年・昨年は2例行って、今年は2例目になる。いずれも90歳前後の高齢者だった。病状の悪化で行ったこともあるが、今年の2例は、そもそも入院時から経口摂取が困難だった。
今年の1例目は、クラスターが発生した隣町の病院から転院してきた。地域の基幹病院外科でヘルニアの手術を行ったが、その後経口摂取が充分ではなかった。
先方の病院に療養転院となってからも経口摂取は進まず、点滴が継続されていた。COVID-19 に罹患して当院に来た時には、経口摂取はまったく無理だった。コロナの問題というよりは、年齢的なものと思われた。
病状は比較的軽度なので、隔離期間を当院で預かれば、また転院で戻せるという利点がある。迷いなく?、CVカテーテルを挿入して高カロリー輸液を行った。
コロナが治った患者さんを引き受けると、後方支援病院になって入院費が優遇されるので、受ける病院も異存がないようだ。
今回の92歳女性は自宅から入院してきた。嚥下訓練を行っても、吐き出してしまう。飲み込むと痰が増えて、口腔内を確認すると食残がまだ残っていた。これでよく自宅で食事摂取できていたと思う。
2週間くらい感染病棟で診て、その後一般病棟に転棟して経過をみる。また嚥下訓練を行ってみるが、経口摂取が難しければ、そのまま点滴継続になる。あとは療養型病院に転院をお願いするしかない。
認知症で動いてしまうことがあり、好ましい穿刺部位ではないが、大腿静脈から挿入している。看護師さん2名で押さえてもらって、なんとか挿入している。
じっとしてくれれば内頚静脈からにしたいが、首を振られると難しい。コロナ以外の患者さんで、看護師さんがラグビーボールをかかえるように患者さんの頭を押さえて、内頚静脈から挿入したこともあった。器具を穿刺用カバーに置くと吹っ飛ぶので、離れた場所に置くしかない。
経口摂取できるコロナの高齢患者さんでは、夜間せん妄が問題になることも多い。点滴を抜かれないようにするにはどうするか、工夫も必要になる。これは一般病棟の高齢者で慣れているが。
コロナの入院治療が始まった2年前は、若年~中年の患者さんもいたが、昨年末からはほとんど80歳以上の高齢者しか入院してこない。日勤は3名、準夜・深夜はそれぞれ2名の看護師で対応するので、現在は入院4名で手一杯だ。
6~8名の入院を診ていたこともあるが、当時は半分以上ADL自立の患者さんだった。今は全員要介助で、食事をセッティングすれば自力摂取できる患者さんが、ADL最高の患者さんとなっている。