なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

原発性胆汁性胆管炎(PBC)

2022年03月20日 | Weblog

 内科外来に74歳女性が、原発性胆汁性胆管炎(PBC)で通院している。

 2018年に大学病院で右副腎腫瘍(クッシング症候群)の手術を受けている。肝機能障害があることから、その時に(ついでに?)肝生検も行われた。病理学的には胆管障害はなく、PBCとはいえなかった。

 大学病院の内分泌内科から消化器内科に紹介になった。肝機能障害は肝細胞障害(AST/ALT)は軽度で、胆道系酵素(ALP・γ-GTP)の上昇が目立つ。抗核抗体が軽度陽性・抗ミトコンドリア抗体(M2も)陽性で、IgM高値もあった。

 臨床的にPBCとしてウルソデオキシコール酸(UDCA、要するにウルソ)が開始されて、肝機能は有意に軽快していた。地元の病院でみて下さいとして、当時肝臓専門医が来ていた当院に紹介となった。

 ウルソが継続されて、定期的に画像検査(腹部エコー)が行われているが、病状に変わりはないようだ。抗ミトコンドリア抗体が陽性なので、これはPBCと言っても問題ないだろう。

 

 当方の外来に通院している67歳女性は、元当院の看護師だった。健診で肝機能障害を指摘されて、胆道系酵素(ALP・γ-GTP)が高かった。肝炎マーカーや画像検査では異常がない。

 抗核抗体、抗ミトコンドリア抗体(M2も)は陰性だった。精査としては肝生検になるが、本人はいやがっていて、肝臓専門医への紹介も(肝生検と言われるのがいやで?)希望しなかった。

 やはりウルソデオキシコール酸(ウルソ)を投与すると、胆道系酵素は内服前よりも軽減する(完全な正常域にはならない)。正直に、あまり投与する根拠がないことをお話しているが、悪化するよりは続けたい、と希望していた。

 3か月に1回検査を受けるのが、気に入っているようでもある(耐糖能障害があって血糖もみている)。ウルソは体内にある物質で害はないので、すっきりはしないまま継続している。

 

 原発性胆汁性肝硬変は、病名が変更になったように、胆管炎の段階で診るころはたまにあるが、肝硬変になった患者さんはずっと診たことがなかった。

 その後、本当に潜在性に進行して気づいた時には肝硬変になっていた高齢女性がいた。肝不全になって感染症併発で亡くなった。診断が本当かという気持ちがあって後ろめたい気もするが、ウルソだから続けてもいいかと思いながら処方している。

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする