なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

痛風の関節炎

2022年03月08日 | Weblog

 先週金曜日に、整形外科クリニックで痛風で治療していた57歳男性が内科に入院していた。内科の若い先生が水曜日に外来(内科新患)で診て、症状が続いての入院だった。

 病棟に随分若い患者さんが入院しているなあ、と思って経過を確認した。2月10日過ぎから症状があったので、3~4週間の経過になる。

 不明熱としていたが、発熱と同時に両側膝関節炎・右足関節炎もある。痛風で通院していたので、基本的には痛風の関節炎の患者さんだ。(関節痛と関節炎を明確に区別していない感じだったので、関節炎ですねと強調した)

 入院後はコルヒチン(0.5mg)3錠分3を処方していた。入院後は発熱がなく、炎症反応も軽減していた。経過としては問題がない。

 

 主治医の若い先生の許可をとって、患者さんを診察した。大柄な男性で髭が目立つ。ちょっと診せてもらっていいですか、と話かけた。経過をきちんと話してくれた。

 17~18年前(40歳代)から痛風で整形外科クリニックに通院している。尿酸が高い時は8mg/dlを越えていたそうだ。

 関節炎はもっぱら膝関節で大抵は片側に起きるが、両側のこともある。足関節炎の時もある。第一中足趾節関節に関節炎が起きたことはそうだ。今回左の第一中足趾節関節に発赤・軽度腫脹がある。指摘すると少し痛かったらしい。膝関節・足関節がひどく痛むので、そこは気にしていなかったようだ。

 今回は発熱と両側膝関節痛がほとんど同時に発症していた。少し遅れて(数日)右足関節痛も出現した。発熱は40℃になることもあったそうだ。

 両膝関節がかなり腫脹して、整形外科クリニックで4回関節穿刺をして、処置をしていた。それ以上はできないと言われた。今見ると、両膝関節の腫脹はあまり目立たない。

 ロキソニンを2週間くらい内服して、心窩部痛が出現してやめていた。ロキソニンはあまり効いていなかったようだ。

 左膝関節痛はかなり良くなって(今日になってと言う)、ほとんど気にならなくなっていた。右膝関節はまだ屈曲するとけっこう痛い。右足関節炎症も軽減しているがまだある。

 

 経過中に咽頭痛と下痢があったらしい。皮疹には気づいていないし、現在はない。成人Still病もちょっと考えていたが、この患者さんは関節炎そのものだった。たぶん痛風の関節炎としての程度が通常より重度ということなのだろう。

 山口らの成人Still病の分類基準を満たしてしまうが、これは除外項目が大事で、他疾患があれば該当しない。

 若い先生は入院時に血液培養を提出して、リウマチ膠原病・リンパ腫の検査も提出していた。今のところ判明した分は陰性だった。

 

 これまで、NSAIDsで良くならない痛風をみることはなかった。(そもそも患者さんは痛風の関節炎で内科外来は受診しないが)今回は整形外科で関節穿刺をしたり、ロキソニンを内服したのも効いてきたのかもしれないが、コルヒチンが効いた症例ということになるようだ。

 痛風(関節炎)の程度が重度であれば、NSAIDs・コルヒチン・ステロイドを組み合させて治療することになるのだろう。とりあえず、現在のコルヒチンを継続して症状と炎症反応の推移をみてもらうことにした。

 

コメント
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