退職する外科医は先週初めに、もう一人の患者さん(75歳男性)を消化器科医に申し送っていた。
大学病院で慢性膵炎の手術’(Frey手術)をしていた。膵性糖尿病でインスリン強化療法になっている。それだけでも大変だ。
その後に食道胃接合部の癌と診断されて、癌切除・食道胃管吻合術(胸骨前)を受けた。術後の2月半ばに、当院外科にリハビリ目的で転院していた。経口摂取もできるが、腸瘻造設による経管栄養をしていた。
さらに前立腺癌・多発性骨転移があり、大学病院泌尿器科でホルモン治療を受けていた。満身創痍の患者さんなのだった。
胸腹部CTを見ると、膵臓に膵石が散在して、膵管が不整に拡張している。まさしく慢性石灰化膵炎(アルコール性)だった。
Frey手術だと胃はそのままなので、まだ上部消化管内視鏡検査も普通にできる。食道胃接合部癌の手術にはそれほど支障がないのだろうが、全体的には消化管の組み換えが複雑に出来上がったことになる。
(慢性膵炎の手術)
大学では少しだけ膵臓の研究をしていたので膵疾患には関心があるが、最近急性膵炎(特にアルコール性)の患者さんを診ることはほとんとなくなった。