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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性骨髄性白血病

2020年09月10日 | Weblog

 火曜日にがんセンター血液内科から、急性骨髄性白血病の74歳男性が転院してきた。

 

 6月下旬にクリニックから脱力で動けないと紹介されて、当院に救急搬入された。救急当番だった外科医から、血液検査で汎血球減少を認めると相談された。

 白血球2000で芽球13%、Hb6.0g/dl・血小板0.6万だった。骨髄疾患というか、白血病と判断されるので、がんセンター血液内科へ救急搬送してもらった。

 

 先週がんセンターの先生から、当院に転院依頼の連絡がきた。状態が悪いのでそのまま診る予定だったらしいが、家族ががんセンターだとちょっと遠方になり見舞いに行きづらい、当院への転院を希望していた。

 輸血頻回(赤血球・血小板)で、抗菌薬・抗真菌薬、ステロイド・アセトアミノフェン・オピオイド(オキシコドン)の点滴静注が継続されていた。

 診療情報提供書には、「余命がほとんどない状態で大変申し訳ありませんが、緩和治療継続を何卒よろしくお願い申し上げます」、とあった。経過中に脳出血(頭頂葉)も発症していた。

 せっかく来てもらって、すぐに急変しては来た意味がないが、どのくらい持ちこたえられるかはわからない。できるだけ頑張るが、急変したらごめんなさいと家族に伝えた。

 転院後の血液検査では、白血球6900・芽球7.0%、Hb8.1g/dl(赤血球輸血後)・血小板0.4万(血小板輸血後)だった。血小板輸血はほとんど効果が出ていない。感染症(肺炎あり)か出血症状で急変する可能性が大きい。

 この時期は頻回の面会は難しいが、終末期で個室入院の場合はある程度許可している。個室は経済的に難しいようなので、重症個室(個室料なし)に移動してもらった。

 

 

 

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登山中の急死

2020年09月09日 | Weblog

 火曜日に、ヘリコプターが駐車場に着陸します、と院内アナウンスがあった。当院はヘリポートがあるわけではなく、駐車場の一部から車をどけて、着陸できるようにするだけだ。

 登山中の74歳女性が突然に倒れ、いっしょに登山していた仲間が呼吸停止に気づいて、救急要請していた。救急隊が現場に向かうまで相当に時間を要するので、バイスタンダーの心肺蘇生がないと到底助からない。

 救助用のヘリがホバリングするか、着陸できる場所まで連れてきて、そこから病院に向かうことになる。救助用ヘリも山岳救助になると命懸けだ。

 救急室に搬入されて、救急当番の外科医2名で心肺蘇生を継続したが、まったく反応はなく、死亡確認に至っていた。Autopsy imagingとしてCTが行われた。頭部CTで異常はなく、胸腹部CTで両側肺野に肺うっ血・水腫像を認めた。

 急性心不全の所見で、急性心筋梗塞あるいは致死的不整脈(VF・pulseless VT)が発症したものと推定される。警察の検視も依頼したが、事件性なしと判断されていた。

 

 通常はこの地域で発生した重症者を救急車で連れてきて、大学病院あるいは医療センター(1日おきに両病院で担当)から来るドクターヘリに移して、そのままヘリでそれぞれの高次医療機関に向かう。

 駐車場をドクターヘリの発着に使用したいという要請が来て、当院の事務では単に駐車場を貸すだけだと思って承諾していた。心肺停止やショック状態など、病状が極端に悪化している際には、ヘリで搬送できないので、そのまま当院の救急室に運び込むことになる。そういう可能性は想定していなかったことが後で判明した、という経緯がある。

 

 

 

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肺結核疑い

2020年09月08日 | Weblog

 月曜に1週間前から食欲不振が続く85歳女性が救急搬入された。先週もゆるやかな熱中症のような80歳代の患者さん3名が、食欲不振で入院していた。

 救急担当だった内科の若い先生から連絡が来て、また同じような患者さんかと思ったが、違っていた。胸部CTで肺に空洞を伴う病変があるという。半年前から?咳・痰・微熱が続いているそうだ。当院内科外来に通院して、ふだんは内科の別の先生が診ているが、前回受診時にその話は出ていなかった。

 画像を確認すると、左肺尖部に空洞2個をもつ陰影がある。また右肺背側にも空洞性病変があり、胸膜から脊椎まで及んでいるように見える。画像からは結核疑いだった。2月に急性腎盂腎炎で入院していて、その時の胸部CTに今回の陰影はない。

 炎症反応は白血球は正常域で、CRPも0.4程度だった。炎症反応の乏しさが逆に結核を疑わせる。

 個室入院にして、N95マスク対応になる。ちょうど地域の基幹病院から呼吸器外来に来ていた先生に相談して、抗酸菌の検査を開始した。今日の喀痰検査では抗酸菌塗抹陰性だった。細菌検査室に訊くと、ほとんど唾液で膿性成分はわずかだったそうだ。

 若い先生にどうしましょうかと訊かれたが、とにかく3連痰で繰り返すしかない。明日は有効な喀痰が取れない時は、胃液を出すことにした。

 

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新型コロナウイルスの情報

2020年09月07日 | Weblog

 CareNeTVで、岡秀昭先生の新型コロナウイルスCOVID-19特講Ver.3が始まった。Ver.2は書籍化されているが、その後進展した内容がプラスされている。書籍も年内にVer.3に改定増補されるのだろうか。

 当方は院内の「コロナ係」になっている。周囲の先生方がけっこう過敏になって騒いでいるが、岡先生の講義を聴いたり著書を読んでいると、割と落ち着いて対処できていると思う。

 Yahooに載せている忽那賢志先生のコラムも参考になる。イラスト付きのスライド作成がお上手で、とても分かりやすい。最近、時々報道ステーションやNHKの番組に出演されている。

 先週感染管理相互評価で当院に来た若い先生(隣の市内にある病院)にもお勧めした。

Dr.岡の感染症ディスカバリーレクチャー 新型コロナウイルス COVID-19特講

 

 

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馬蹄腎の腎梗塞

2020年09月06日 | Weblog

 別の内科の先生が経験した61歳男性の症例。上腹部痛で受診している。

 馬蹄腎の左側に腎梗塞を認めた。腎梗塞は1例経験したことがあるが、心電図で心房細動を認めて、血栓塞栓によるものだった。今回は洞調律で心房細動ではない。

 血栓閉塞型の大動脈解離が上行大動脈から腹部にまで及んで、左腎動脈起始部に達して、閉塞をきたしていた。かなり珍しい組み合わせだった。

 

 

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肺癌緩和ケア

2020年09月05日 | Weblog

 火曜日に地域の基幹病院呼吸器内科の先生から連絡が入った。肺癌で治療していたが緩和ケア(BSC)となった82歳女性の紹介だった。患者さんがその日外来を受診しているので、次回から当院の外来に回したいという。

 できるだけ通院で自宅での生活を続けて、入院が必要になった時点で当院入院で看取りまで行うことになる。異存はないので、1週間後に当院の内科外来に来てもらうことにして、外来予約表をFAXで送った。(あっさり引き受けたので、先方の若い先生がちょっと驚いていた)

 今年の2月に内科クリニックで胸部腫瘤影を指摘されていた。気管支鏡検査を行って、肺腺癌と診断された。PET-CTで多発性骨転移を認めて、頸椎の転移部に放射線照射をしている。免疫チェックポイント阻害薬も使用していたが、効果はなかった。

 8月下旬に食欲不振で入院して、退院後最初の外来だったようだ。癌終末期だと1~2か月の入院になるので、急性期病院としては難しい。入院期間をそれほど気にしない当院の方が向いている(DPCではあるが)。

 患者さんの受診前に、診療情報提供書と画像の入ったCDがさっそく送られてきた。多発性脳転移ともあるので、当院の外来を受診して、そのまま入院になるかもしれない。

 

 夏休みは4日間あるが、なかなか消化できない。昨日の金曜日は1日休んで、今日は日直で病院に出てきた。それとは別に、働き方改革改正法により、年次有給休暇を最低5日間とらなければならない(1月1日から12月31日までに)。あと4か月の間にとれるのだろうか。

 

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脳梗塞広がる

2020年09月04日 | Weblog

 1か月前に脳梗塞の93歳女性が地域の基幹病院脳神経内科から転院してきた。昼のみ嚥下調整食2(けっこうなトロトロ)で嚥下訓練をして、経鼻胃管からの経管栄養をしていた。

 転院した来てすぐに、経鼻胃管を自分で抜いてしまった。先方の病院でも抜いたそうだ。家族と相談して、そのまま管は抜いたままにして、点滴をしながら嚥下訓練をすることにした。

 当院の嚥下訓練を担当する聴覚言語療法士(ST)も、経鼻胃管を入れたままでの嚥下訓練は難しいですね、と言っていた。嚥下訓練を継続して、何とか嚥下調整食2が昼のみから1日3食まで摂取できるようになった。

 1本だけ残していた点滴も中止した。在宅介護は困難で施設入所の方針になっていた。以前から申し込んでいたのか、希望の施設で入所前の患者調査があり、入所予定になっていた。

 ところが、今週始めから食事がとれなくなり、意識レベルも低下した。頭部CTを行うと(首を振るのでMRIの撮影は難しい)、左中大脳動脈領域の低濃度域が広がっていた。脳梗塞の進行だった。

 家族に、残念でしたという話をした。まず1週間の急性期は経過をみるが、食事摂取は難しいだろう。それでも翌日は意識レベルが若干改善していた。診察した時間の問題かもしれないが。

 

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白血球著減から著増

2020年09月03日 | Weblog

 AST(抗菌薬適正使用チーム)で、外科で診ている胃癌術後再発の73歳男性が話題になった。血液培養2セットから大腸菌が検出されていた。

 癌化学療法を行って、8月半ばに白血球400(好中球20)になった。発熱はなかったが、G-CSF(グラン)・抗菌薬(カルバペネム)が開始された。

 G-CSFが5日間投与されて、白血球4400(好中球3000)に回復した。ほっと一息という時に高熱が出現した。胸部X線で肺炎はなく、尿所見も混濁はなかった(白血球減少で化膿を示唆する所見にならないが)。急激な肝機能障害を認めて、胆管炎を判断されていた。

 そこで血液培養2セットが提出されて、大腸菌が検出されたという経緯だった。白血球は43000から63000と著明に上昇した(CRPは21から27)。

 PIPC/TAZ(ゾシン)が開始されて、解熱して炎症反応・肝機能は改善した。主治医としてはやれやれと安堵したはずだ。

 白血球数が回復した後に細菌感染症が発症して、その時間差が気になるが、やはり減少に起因すると思われる。G-CSFで骨髄球系が活性化している時に感染症が起きたので、過剰ともいえる白血球増加をきたしたのだろう。興味深い経過だった。

 

 抗菌薬投与を短期間でやめてしまっていたが、今のところ経過には問題ない。正しくは解熱したころに血液培養を再検して、陰性化確認から14日以上投与になる。

 感染症の指導を受けている先生にも訊いたが、できればもう1週間は入れたいが、主治医が総合的に判断したのならばあえて絶対継続ともいえない、ということだった(大人ですね)。

 

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脳出血だけではない

2020年09月02日 | Weblog

 8月下旬に脳出血の76歳男性が、地域の基幹病院脳神経内科から転院してきた。寝たきり状態で経鼻胃管による経管栄養が行われていた。

 まず脳出血だが、右被殻出血で脳室穿破していた。保存的治療なので、脳外科ではなくて脳神経内科で診ていたようだ。保存的だと血圧のコントロールくらいになる。

 家族の話では(独身なので姉夫婦が来ていた)、内視鏡的胃瘻造設の話もされたようだ。ただ行うと入院期間が長引いてしまうらしく、胃瘻は転院先でと言うのが多い。

 胃瘻造設を行うにあたって、胃の位置確認が必要になる。CTで、胃を膨らませるとちゃんと肋骨弓の下まで出るか、横行結腸が胃の腹側にかぶっていないかを見た。胃瘻は問題なくできそうだった。

 ただ右肺に誤嚥性肺炎を来していた。経管栄養はいったん中止して、まず誤嚥性肺炎の治療を行った。幸いに肺炎は軽快したので、昨日消化器科医といっしょに内視鏡的胃瘻造設術(PEG)を行った。後は栄養剤(経管栄養食)を少しずつ入れて経過をみる。

 

 脳神経内科からの診療情報提供書に記載はなかったが、家族の話によると、この患者さんはがんセンターで6年前と今年の6月に肺の手術を受けていた。

 当院で行った胸腹部CTで、右肺尖部と肝内に腫瘤性病変が描出されていた。これは癌?・術後変化?、肝の方は同じ病変?別の病変?。

 今日家族に来てもらって、胃瘻造設を行った報告と、肺と肝の腫瘤について説明した。家族の話では、がんセンターの外来予約が再来週に入っているという。家族に、当院からの診療情報提供書とCD(CT画像)を持って受診してもらうことにした。

 現在は寝たきり状態・胃瘻造設状態で発語なし・意思疎通困難なので、精査・治療をするとは思えないが、専門医の意見を訊く方がいいだろう。

 

 

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両側後頭葉の脳梗塞

2020年09月01日 | Weblog

 昨日、地域の基幹病院脳神経内科から脳梗塞の84歳男性が転院してきた。

 名目はリハビリのための転院だが、両側後頭葉の脳梗塞で視力低下があり、認知症もある。診療情報提供書には、リハビリにはのらないでしょうと記載されていた。

 4年前に右後頭葉の脳梗塞が発症して、今回は左後頭葉の脳梗塞だった。他にはないので、視力以外の障害はない。手引き歩行でのリハビリになるが、認知症で指示が入らない。

 両側後頭葉の脳梗塞は初めて診たことになる。たぶん珍しい。視力は顔は認識できず、全体に白い中に赤色などがわかるというくらい。

 

 診療情報提供書にある処方と、実際に持ってきた(残りなので2日分のみ)処方内容が違っていた。問い合わせてみると、認知症による不穏で、転院直前に精神科から処方されていた。

 入院後からそれなりに不穏があり、ロゼレム・ベルソムラ・デジレルが処方されて、さらにブロナンセリン4㎎が追加されていた(記載されていたのはその処方)。

 持ち込みの薬は、ブロナンセリンがエビリファイ24mg/日とデパケンR400㎎/日に変更されていた。精神科医からの返事がFAXで来て、不穏の悪化に対する処方だった。(デパケンは気分調整での処方)

 昨夜はいったんは寝たそうだが、その後に不穏が始まってナースステーション近くの本来は家族に病状説明する時に使用する小部屋にベットごと移動していた。

 病棟看護師さんから、精神科病院への転院が目標になりそうですね、と言われた。先方の入院1週間目に当院への転院の依頼が来たのは、不穏で困ったかららしい。

 

 

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