写真1枚で伝わって来るこのこましゃくれた小僧っぽさと太々しい大物っぽさ・・・
BBCサイトのMEDIA CENTREというページに番組の紹介が出ていて、そこにヒュー・グラントのインタビュー動画、ベン・ウィショーとラッセルTディヴィス、スティーヴン・フリアーズのインタビューも掲載されています。
そちらからまず、ウィショーさんのを読みたい(なんとなく1番読みやすそうな気もするので・・・笑)ので訳してみますね。
原文→
インタビュー・ウィズ・ベン・ウィショー
ノーマン・スコット、時にノーマン・ジョスィフェとしても知られる
あなたの役ノーマンという人物について教えてください。
ノーマンは物語の最初に出てくるところではとても若かったんです。
彼はジェレミー・ソープという自由党議員に出会い、すっかり嵌っちゃう。そのカリスマ性と地位に感動してしまって。その時ノーマンは大変な状況で、住む所もなかったのでジェレミーが自分の家に住まわせた。ノーマンは機智と想像力と他人の同情でなんとか生きていたんです。でも、もし僕にノーマン・スコット(ノーマン・ジョスィフェ)に感じるものが1つあるとしたら、それは、彼は本当に強い人間だということ。本当にタフな人だと思う。
リサーチはたくさんしましたか?ノーマン・スコットには会いましたか?
はい、しました。僕はノーマン本人に、スティーヴン・フリアーズ(監督)と一緒にロンドンで会いました。あれは撮影が始まるちょっと前で、彼側から見た出来事を知りおしゃべりできたのは本当に興味深いことです。彼はね、すごく可笑しくて、賢くて、イタズラ好きなの。目の前にいてとても感じがいい人。それはとても重要なことで、なぜならドラマで彼の身に起こることの多くはかなり嫌な感じだから。でも彼は本当に屈せずユーモアがあって、とても魅力的なの。
ノーマン・スコットとジェレミー・ソープの関係を話してもらえますか?
ある意味では、とても不釣り合いな関係でね、ジェレミーは非常に力を持ち確固たる地位や名声があるのに、ノーマンにはそういうものは何もなくて。でも別のレベルでは、とってもお似合いの組み合わせだったんだ。両方とも頭のキレが良く、賢くてどこか変で、すごく引き合った個性のふたりだった。彼らは互いの理想の相手に出会った気がするよ。
あなたをこのプロジェクトに引き寄せたのは何ですか?
ラッセル・T・ディヴィスの脚本を送ってもらったら気に入ったので。物語がとても好きで ー 物語に魅了されたんだね。こんな話は全然聞いたこともない。不条理やほとんど茶番のようなこの関係の特質やその結果として起こったことに怯まないで書き上げてあったから。
ジョン・プレストンの本は読んでますか?
この作品の準備として読んだし、今もここに持ってるよ、実は。とても役に立ってる本で、かなり長い時間にわたっての出来事を網羅していて、ジョンはその一つ一つを見事につなげている。そしてもちろんラッセルはこの本をもとに書いてるから、ドラマと同じさりげないユーモアや同じ趣きがあるんだよ。
その特徴はどんなものと言えるでしょう?
一種のダーク・コメディーかブラック・コメディーだと思います。でも、さらにもっと悲しいものが混じっていて、時には悲劇的でさえある。
実際の出来事の基本的なシリアスさと笑える場面を分けるのは難しかったですか?
いつも思っているのは、自分にできるのはその登場人物が見るままにひたすら誠実に徹底的に演じることだけ。もしそれが可笑しいなら、真実だから可笑しいものになる。可笑しくするためにわざわざする必要があるものなんてない気がするんです。ある意味で可笑しいのは、人生は時にバカバカしいほど可笑しくて奇妙なこと。起きたことは自分が仕掛けてそうなったものではないし、もししたとしても自分で信じないかも。シリアスな中にいきなりユーモアが出てくるものや、ユーモラスな中に突然悲劇的だったり別の感情が出てくるものはいつでも大好き。混ざってるのが大好き。
スティーヴン・フリアーズやラッセルと仕事してどうでしたか?
僕は長い間スティーヴンの作品群をすごいと思っていました。彼の作るものには気楽さや脱力感があって。彼の物語の語り方、カメラを通した考え方はとても直感的なものです。彼は常に頭の中でシーンを編集しているんじゃないかという気がします。それに僕はティーンの頃からラッセルのファンなんです。彼の脚本は素晴らしいです。信頼していいから。コンマもピリオドも全部考えられてそこにあるんです。片足がユーモアに、もう片足が悲劇にと跨っていて、一つのシーンにそれがあることもよくあるんです。あれは本物の才能です。
ヒュー・グラントと仕事するのはどうでしたか?
ヒューとの仕事は大好きです。素晴らしい人です。彼の演技にはずっと感銘を受けています。彼は聡明で優美な喜劇役者だと思いますし、彼がこのちょっとダークなエッジの効いた役を演じるのは見ていて眩しい。本当に素晴らしい人だと思ってます。彼にはとても独創性があり自由で、ー でもとても思慮深く、彼が自分でどうしたいのか完全に把握するまでは動かないんですよ。それを本当に尊敬しています。
このスキャンダルで驚いたり物の見方が変わったりしたようなことはありますか?
もし僕がこの物語を新聞で読んでいたり、本を読んだら、おそらくノーマンに共感していたでしょう。それにいち俳優としてもノーマンに共感します ー でも変ですけど、僕はジェレミーにも、人生を正直に生きられずとんでもない悲劇に苦しむゲイの男として共感するんです。僕はこの物語に出てくる全員に共感します。全員の視点でこの物語が見えるんです。主役ふたりともそれぞれ自分の抱える問題、自身の心と悪意に悩んでいました。
ヒューの変身をどう思いました?
目の色を変えることの効果には驚きます。ヒューはあの美しいブルーの瞳で、ジェレミーの瞳はブラウン。ヒューの顔ががらりと変わる。もちろん、ジェレミーがそれまで公にしてきた人生の全てをすくわれてしまう奇妙な別れもあったし。内面の変化もありました。いつものヒューとは全然違ってました。ジェレミーはこんなかなりやつれて頬のこけた風貌でしたがヒューもそうなってましたから。
あなたは動物好きですか?ノーマン・スコットはそうみたいですね。撮影現場では多くの動物たちと一緒になったのですか?
はい、動物大好きで、仕事もとても楽しめました。ノーマンの初めての犬ミセス・ティッシュを演じたベラという子がいて、とても賢い小さな犬なんです。お行儀がよく、小さくても立派な役者で ー だいたいいつもはそうなんだけど、1日のうちである時間になるとちょっと眠たくなってしまうんですけど・・・
それからノーマンの馬を演じたのがピノキオと言って、もう本当に頭がよく物事をわかっているんです。どんな時でも「アクション」という声がかかると彼はさっと出て行くの!素晴らしかったなあ。
それにリンカがいて、グレートデンの、あれはもっと複雑なことになってて、言っておいた方がいいと思う。最終的に3匹のリンカがいた。ダーシーがある朝は頑張ってくれたと思う。そしてマノンが来て、それからオリーヴも。ドラマでのリンカは実は3匹が演じていた。グレートデンはとても美しい動物なんだけど、雨が嫌いで、それに同じことを2度繰り返すのが好きじゃない。でもまあ好きな人なんていないよね、その点彼らに同情するけど。彼らはとても美しく、とても気品のある動物。
馬との撮影はどんな体験でしたか?
とても良かったです。ピノキオはちょっと浮かれたんですよ。現場に雌馬がいたんです。彼女はピノキオが出てくるととっても興奮してしまって、僕たちはそのシーンをかなり手早く撮影しなくてはならなかった。なぜなら彼がその気になってしまってたと思うんです。それ以外は、彼は見事にプロフェショナルでした。
グレートデンとのシーンを話してもらえますか?
1番難しかったのは、グレートデンとの撮影がほとんど雨のシーンだったことでした。雨を撮影する時というのは、カメラによく映らないので熱帯豪雨のようになるんです。小雨や霧雨じゃなくて雷雨。でグレートデンは雨が好きじゃない。僕たちは犬を元気に走り回らせなくてはならないのに、犬は地面にヘタったり嫌になって車に戻ってしまうか、雨から出てしまって。あれは大変だったけど、僕だったらなんでも許してしまうなあ、あんなに美しい生き物なんだから。