1週間くらい前に、TwitterのTLの英語つぶやきでシエナ・ミラーの名前が目に入ると思ったら、このドラマの公開のせいだったようです。
久しぶりのシエナ・ミラーに、ダウントンのメアリーことミシェル・ドッカリーが気になり見始めたら、人気政治家の不倫スキャンダルから、浮気相手からのレイプ告発〜政治家ジェイムズとその妻(シエナ)のオックスフォード大学時代のカースト上位の生活〜と話が上流階級の現在から過去にフラッシュバックしながら、裁判中のレイプ事件が、長い特権階級の歴史の氷山の一角であることが浮き彫りになります。
まずオックスフォードのポッシュなグループの羽目外し集会といえば「The Riot Club」。実在した吐き気がするほどの嫌悪感と好奇心を同時に感じる上流階級のお坊ちゃんのクラブを描きましたが、こちらのドラマに出てくる政治家たちが所属していたリバティーン・クラブも同じモデルをもとに創作されています。
レイプをめぐる法廷劇では「同意のあるセックスだったか」が証拠を掴みにくい争点で、「拒否したか」「同意したか」は職場での上下関係があるだけでも本心が分かりにくいものですが、上司の男は特権階級の家柄なので無意識の特権意識もありウソをついているのではなく他人のNOが聞こえない人間だともわかってきます(奥さんに)。
浮気相手の女性(ナオミ・スコット/アラジンのジャスミン!)も奥さんも優秀な女性ですが、生粋の特権階級の人間の優越意識というものは、政治家ジェイムズ本人とその親を見ると、男である特権が理解できないミソジニスト男性と同じものを感じます。
原作が同名ベストセラー小説で、著者はサラ・ヴォーン元ジャーナリストで政治も専門の一つでした。彼女はオックスフォードのブレーズノーズ・コレッジ卒。最近の著書では「女性が日常的に受ける脅威」や「若い女性へのソーシャルメディアでのいじめ」を扱っていて、その作品もドラマ化が決定していますが、すでにこの「ある告発の解剖」でも「レイプ」のテーマで社会的弱者への権力者からの脅威ということで大きく関わっています。
そして、このドラマ、見せかけはいわゆる法廷劇でシエナが容疑者の奥さんってとこで吸引されるのですけど、途中でミシェル演じる検察官のプライベートが明かされていくと、すごく面白くなるんです!それからが沼に落ちたように目が離せなくなり、エンディングもこぅきたか?!な展開。
イギリスでは性差別に階級差別も問題視されてきているんだな、と感じました。在位70年でおめでたい女王様の息子のセックス・スキャンダルもすごかったですから、タイムリーなドラマだったのでしょうね。
そんなイギリスでも、40歳の女性が声を上げられなかったことを今20代の女性は不当であると訴えるのが当たり前の世代と言っていたのが印象的でした。