バンド「フランツ・フィルディナンド」のフロントマン/アレックス・カプラノスがガーディアン紙に連載したツアーで食べたものについての本です。
ポイントは、彼の苗字カプラノス。
彼とフランツ・フィルディナンドはグラスゴー出身ですが、アレックスのお父さんがギリシャ人なので、1980年代のスコットランドでは誰もオリーブとか見たことも食べたこともない時代に自宅でギリシャ料理を食べていたことが本書でわかります。
そうでなかったら、流石にイギリスには美味しいものがいっぱいと信じて疑わない私でも、イギリス人のバンドの兄ちゃんのワールドグルメ本を信用しなかったでしょう。
「フランツ・フィルディナンド」は2004年にデビューしてあっという間に世界的な人気バンドになりバスや飛行機を乗り継ぐワールドツアーをしました。当時私もロンドンの街中でアルバムジャケットがよく目に入りましたので、育児ワールドどっぷりでテレタビーズとかペッパピッグとか機関車トーマスにはやたら詳しかったけど最新音楽事情には全く疎くても、あれだけ露出していたら当代人気バンドってことくらいは認知できました。
それでツアーの行き先は北米、南米、西と東の欧州、オーストラリア、日本、シンガポール、韓国と多分アラブアフリカを除く世界中なのでした。
アレックスは大ブレイク前にレストラン厨房でも働いたこともあり、食そのものへの好奇心と冒険心があるだけでなく飲食業界で働く人の視点にも立てるのがさらに本を面白くしています。
文章が面白いので読めるけれど、グルメというとついてくるのが「変わった食材」・・・カエルとか骨とか睾丸とか・・・(に混ざって日本のウニはアレックスが生理的に受け付けなかった唯一の食べ物として挙げられていました。睾丸よりすごいのならやはり私も受け付けないのも無理はない)はやはり人の話を聞くだけに尽きるし、今まで目の前で生きてたカニのハサミを食べる時の生類へ対する憐れみの感情と、人間は他の命をいただいて生きているのだという神の視点のせめぎ合いも面白かった。
スコットランドのハギスも食べたくない私にとって、読んで面白くて且つ自分も行ってみたいと思ったのは、メルボルンにあるというお菓子通りことアクランド通り。チェリー・シュトルードルとかオレンジの皮とアーモンドをチョコレートでくるんだフロレンティーンなどがショーウィンドにずらりと並んだ通りに路面電車が走っていて、車両にはアイロンのかかったクロスが敷かれたテーブルが設てあるというのです。その電車はその通りからメルボルンをぐるりと回るのだそうで、テーブルでご馳走をいただきながら市内を移動し、終点で降りてもそこはおしゃれなバー&レストラン地区というのだから気が遠くなりそうな体験ができそうではないですか。しかし、アレックスとバンド仲間も大興奮したのちに1ヶ月前には予約しないと乗れないと知ったそうです。
今話題のブレット・トレインこと日本の新幹線で食べた「幕の内弁当」も出てくるのですが、その中身について気になるものがひとつ。
「たぶん発酵させた何かのはらわた」とは?
発酵させた ー とあるのは、西京漬とか粕漬けではないか?とまでは推測してみたのですけど、内臓系が苦手な私でも幕の内弁当って食べられないものは少ないんですが、いったい「はらわた」と思われた食材とは何なんだろう。
「フランツ・フィルディナンド」のことはバンドの名前くらいしか知りませんでしたが、しましまさんのブログ記事を読んで俄然興味がわきました。でも、バンド以上にメルボルンのアクランド通りに興味がわきました。
>チェリー・シュトルードルとかオレンジの皮とアーモンドをチョコレートでくるんだフロレンティーン
どちらも私が絶対に好きなヤツ……!
>「たぶん発酵させた何かのはらわた」
真っ先に頭に浮かんだのは「イカの塩辛」ですが、幕の内弁当に入るような食品ではないですよね。実際のところ、何だったんでしょうね?
オーストラリアに急に行きたくなりますよね!!いや〜意外や意外!
>>幕の内弁当に入るような食品
イカの塩辛は確かに発酵してはらわたみたいですが弁当箱に入れる形状じゃないですものねえ。
「東海道新幹線 幕の内弁当」で検索してみたのですが、タコの足とか貝の佃煮が入ってました。
でもあの形はタコや貝以外の何者にも間違われないですよね!