Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

The Game

2015-05-04 23:52:00 | トム・ヒューズ


ドラマ「The Game」の放送がイギリスで始まりました。

日本でもAXNミステリーで6日に先行放送でエピ1が、全6話は7月に放送とのこと、異例の早さ!と思ったら、今年の4/30にイギリスで始まる前に、BBC America で去年の11月に放送されていたからなのでしょうね。海外との時差が少ないのは日本のファンにとっては嬉しい限り。でもうちではCS放送見られない環境なので英BBCの方を頑張って見ました。

70年代MI5が舞台の冷戦スリラーと聞けば、TTSSこと「裏切りのサーカス」が記憶に新しいです。
ロンドンの町並みの色調も、MI5内部の雰囲気も、当たり前だけど似た感じではあります。そして主人公の若い諜報員ジョーも、ギラムさんのご兄弟でしょうか?とも思える外見で、実にこのドラマを見るきっかけはそこでした。

ただ、日本の宣伝にはジョー役のトム・ヒューズを「第2のカンバーバッチ」とか「麗しいルックス」とか「ロック・スター然とした北部英国男子」とか、ドラマの紹介文よりもトムの紹介文の方が長く、せっかくのスパイドラマの窓口を狭めている気がして残念です。

だってタイトルロゴなんてあんなに無骨・・・↑
制作側としては男性のスパイドラマファンも視野に入ったマーケティングだからでは?
女子はメンズアイテムに抵抗なくても、男子一般は「女子供のもの」と判を押されたものは敬遠する傾向があると思うんです。それともAXNミステリーチャンネルのターゲットは女子のみなのかしら?

余計な心配は余計なお世話ですので、BBC Americaのサイトの登場人物紹介が充実してる(そしてちょっと笑える)のでその抄訳と感想を書いておきます。私の下手な訳よりも詳しい英文のオリジナルを読みたい方はリンクからぜひ。ただしエピ1を越えたネタバレありと思われます。



 ジョー MI5諜報員

才能ある秘密諜報員。必要のためには手段を選ばず。彼のアンニュイなルックスと魅力をMI5は情報収集に利用しているが、寂しい人妻とベッドを共にすることが彼の任務というわけではない。(注:ボビーにそう言われてた)彼の人生は、ソ連大使館シェフのユリアと出会ったことで変わった。短くも戦時下にのみ起こりえる激しさと渇望に満ちた恋だった。秘密と偽りの世界から抜けるための最大の裏切り=亡命が失敗に終わったのだが、ジョーはMI5に戻って来た。

ダディの特別チームへの誘いを受けたジョー。もう1度祖国に仕えるチャンスでもあり、新しいミッション遂行により心を再構築して立ち直るチャンスでもあり、彼を裏切ったKGBの男に近づけるかも知れないから。


 ダディ MI5のリーダー

誰も本名を知らない黒幕。


 ボビー 対抗スパイ支部リーダー

高慢、怪しげで、野心的。ハロー、オックスフォード、そして秘密情報部を経、自信と機知、英国内いかなる組織をも網羅する「感動的な住所録」を手に入れた。
しかし家では猛烈な母親に支配されている。(私はこのシーンを見てこのドラマ好き!と思いました)
優秀な諜報員だが、彼の目指すトップの座にはまだたどりついておらず、同僚にリーダーシップに欠けると思われているのか彼の母がそう言っているのか。その地位につけないのは、未婚で適切な女性関係もないためで、彼の母はまさにそこを気にかけ始めた・・・(ともう少しサイトには説明があるのですが、この辺ですでにエピ1の範囲を越えています。でもボビーの存在がこのドラマに深みを与えておもしろくしていると思うのでつい書いてしまいましたw)


俳優のPaul Ritterはナショナル・シアター・ライブ「ザ・オーディエンス」でメイジャーを演じてもいる

 サラ MI5ナンバー2

すぐに人を茶化すのだが同時に頭脳明晰。ダディが発掘した。


 アラン 音声監視、盗聴担当です

21世紀だったならインターネット界で億万長者になっているであろうが、残念なアランは1970年代に生きる人。サラの夫。俳優は「シャーロック」のアンダーソンことジョナサン・アリス。


 ジム 刑事

特別チームに警察から参加している、MI5ではアウトサイダー。彼の世界観は単純で理想主義だった・・・のだが、すぐにスパイ活動とは白黒つけられない暗いグレーの世界だと気づく。


 ウェンディ 秘書

サラは例外だが、女性の進出はまだこの時代厳しかった。Nanniesと呼ばれるおそらく秘書室から駆り出された秘書歴数年のウェンディは、今回のこのチームへの参加は昇進チャンスだと受け止めている。




ジョー! 見かけによらず淡々と厳しいことを言って人を動かす切れ者の諜報員ぶりがカッコいい。だけど俳優のトムの声は、ノーブルな印象の外見とは違ってギャングの手下みたいと思ったのは私たけでしょうか(笑)。正体をバラすのに言った台詞「Welcome to MI5.」と、クラブのロシア女性に言われた「You are too beautiful to die.」の台詞に胸キュンです。この女性の存在もよかった。



あともう一つの最高の台詞は、アランの「ディヴィッドを入れる棺桶あったっけ?」と言うジョークでした!

ギーク女子っぽいウェンディ、これから変わるのか変わらないのか楽しみです。白襟シャツ、今も流行ってますが、彼女の長い襟はさすがにおしゃれからほど遠くて仕事ができないオーラを出してる感じ。このチョイスをした衣装さん好きです。

ジョーの恋人ユリアでさえも、冷戦下のロシア人だからなのかしら地味でヒロインには見えにくいです。美女の出ないドラマなのかしら?エピ1を見た限り、一番華やかなのはボビーのママ(推定65歳)で、次点がロシア人のキティ(推定57歳)・・・そうか、大人の女性を配してジョーをかわいく見せようという戦略なのかしら。




<ドラマの単語集> 

dubious pleasure of being debriefed by you 君に事情聴取されるという怪しげな喜び
fiasco in Poland ポーランドでの失態
P45 解職通知
redeem yourself 名誉挽回する
veracity 真実
dead letter drop スパイが使う品物などの秘密の受渡場所
in terms of ~の視点から
Home Secretary 内務大臣
hasty 性急な
prudence 慎重さ
cock-a-hoop 得意顔の
(キャビプレのキャロリンの犬の名前?!と思ったら犬の方はCockapooだった・・・混乱しました)
the Fray  MI5内のこのドラマの登場人物達が組織するグループの名/「争い」の意 
cock-up へま
jurisdiction 司法権
encrypt 暗号化する
siege 包囲攻撃
infiltrate 潜入する
disaffected 不満を抱いている
altruistic (行動が)利他的な 

おいでフレック、ぼくのところに

2015-05-02 18:26:00 | イギリス
娘が紙のリサイクルとして捨てた中にハードカバーの本がありました。「きれいで一度も読んでないのに捨てた?!」と取り上げたら、かわいい犬の表紙。



原題「One Dog and His Boy」を見て、「あ、これ、イギリスの本だな」と思いました。同じく思った方は、イギリスのTV番組「One Man and His Dog」をご存知ですね? (*その番組は牧羊犬と飼い主のコンテストという人気長寿番組でDVDにもなっています)

私の母、つまり娘にとっては祖母からのプレゼントで、リサイクルペーパーとして捨てたなんて哀しすぎて母と本に申し訳なさすぎます。しかし娘は文学にまったく興味がないのです(涙)。せめて私だけでも読もう、と読みました。

お話は、10歳になる男の子ハルが「誕生日にはどうしても犬がほしい」と毎年両親にたのんでいる、ということから始まります。

実はうちの子も常々「犬を飼ってよ」と私を苦しめているので、なんだ、彼女好きそうな内容じゃないの、と読み進めました。

ハルの父親は会社の重役で、いつも世界中を飛び回り、家にいてもイヤホンで世界中と取引の連絡をとっているので子供のことは妻に任せている感じ。母親は、買物が大好きで、洋服はもちろん、インテリアも流行に敏感に高級品や特注品で揃え、家も買い替えようかと考えています。息子ハルにはハムリーズ(ロンドンの玩具専門店)やハロッズ(同じく高級百貨店)のギフト担当者に選ばせたプレゼントセットを注文して、「その年頃の男の子が欲しがるもの」は何でも買い与えてくれます。

・・・あれ?なんかうちの子が共感できない方に話が違って来たな・・・うちと偉い違い。

ハルの母は、犬が高価なカーペットや家具を汚したり傷つけたりすることが耐えられません。

私には対策として「ダウントン・アビー」を見せて「お金持ちの家には犬がいなくてはならない」と思わせるのはどうかと思いました。

・・・いやいや、私は子供に共感するのではなく、母親として子供が犬を欲しがっても飼わないのは、すでに家の中も外も子供とその父親によってゴミ箱状態だと言うのに、これ以上収集がつかなくなったら私が発狂するからです。私だって基本、犬は好きです。一人暮らしになって家がコントロール可能になったら飼いたいです。

私の事情はこのくらいにし、物語は、「子供はすぐにあきるもの」とふんだ両親は、レンタルペットを誕生日に手配し、週末明けにハルが学校から帰って来たら犬が返されていたので、彼はだまされたことに気づき、犬をペット屋から盗んで家出する・・・というところから冒険が始まります。

ハルは父方の祖父母の家を目指して旅をします。祖父母は貧乏(でも漁船と家は所有してる)だけどハルのことを「犬を飼うべきだ」とよくわかってくれます。彼らの息子つまりハルの父は、奨学金を得てお金持ちの子の寄宿学校に行って以来、貧乏な家を嫌い、お金をもうけに南へ働きに行ってしまったのです。

うん、きっといい時代だったからですね。今ではお金のない人がお金のかかる学校へ行く道はどんどん狭くなっているそうですから。私は実はハルの母がどういう家の出身なのかも気になりました。本には出て来ませんが。

旅にはフレックと同じケージに入れられていたほかの犬4匹も同行することになり、彼らが旅の途中で見せるそれぞれの人生(犬生?)がまたこの本の私の好きな部分です。著者の思想を感じるところです。

お金持ちのハルの話だけど、貧乏なイギリス人一家や、インドネシアからペットのようにイギリス人夫妻に養女にもらわれてきて「英語を話さない」と孤児院に入れられた女の子、訛りのあるギークな若者など現代のロンドンらしく多様な人が登場します。私はそのギークくんが気に入っていて名前もスプロケットなんてすっとぼけているとおり、役どころは笑いをとるマヌケでちっともかっこよくはないのですが、もし映画になったら若いころのウィショーくんにやって欲しかったと密かに思いました。

あとインド人のキャラも出て来て、何かとうるさいハルの母に比べ、そのお金持ちインド人は仏教徒なのでロールスロイスの白いレザーシートに犬が座っても、釈迦は動物も人間と同じく大切にしているのでかまわない、というくだりがあります。まあ、イギリスの子供の本だから?インドは仏教発祥の地だけど現在の国はヒンズー教ですよね?日本にもイスラム教徒の方もいるように、ちょっと小数派のインド人だったのかしら。

私はこんな感じでちょっと大人の視点をはずせないまま本を読み終わりました。

うちの娘だったら、犬も欲しいけど、ありとあらゆる物を欲しがっている(大きい家でさえ!)ので、ハルをすごくうらやましがって、この本の趣旨である「お金よりも大切なもの」を理解できないかなあ。