ずっと気になっていた「あなたを抱きしめる日まで」をやっと見ました。そしたら私にとってすごいタイミングだったのです。
原題ではPhilomena(フィロメーナ)、主人公の名前です。ジュディ・デンチが本人のように見えるうまさで演じてます。彼女はアイルランド人、10代の頃妊娠出産をし父に修道院に捨てられて、子供も修道女に養子に出されたという過去を50年隠し続け、その息子の誕生日に、のちに産んだ娘に打ち明けるのでした。
その娘が、有名ジャーナリスト(スティーヴ・クーガン)にフィロミーナの息子探しを促して、アメリカにまで行き、息子が大統領顧問弁護士になりエイズで亡くなったことを突き止めます。その過程で修道院が若い女性の産んだ子供たちをアメリカ人に高額で売っていた事も発見、修道院がそれをか隠蔽するため母親と子供が互いに連絡を取ることを阻止していた事実も・・・・
という事実に基づいた実在のジャーナリストの本が原作となった映画です。
そのショッキングな事実がストーリーとしても興味深いものでしたが、私にとっては、主人公のフィロミーナの性格が私の義母にかぶってかぶって仕方なかったのでした。
折しも義母が1年半年ぶりに来る前日にこの映画を見終わりました。
義母は変わった人だと前から思っているのですが、頑張って分析しても私情が入ったり立場もあるので、私にとっては謎のベールがどうしてもはがれなかったのですが、映画の人ならば私情なしなので、このアイルランド人の不遇な生まれ育ちの女性が、インテリではないのだけど鈍くもなく、かえって繊細さを持ってもいながらストレートで頑固なことがよくわかります。
同じアイルランド人だからなのか、義母も全くその通りなのです。
感動しやすく素直で愛情深く、自分を必要以上に飾らず、でもプライドが高く、既成の権威を遠くで見ます。人に対して謙虚なんだけれども同時に自分を人に合わせることはありえない、という何重にも相反する面を持った、要するにひねた田舎者とでも言いますのか・・・・
わかりやすく言うと、子供達のところに泊まりに来たなら、お世話をかけっぱなしだと申し訳ないと気を使って、役に立とうとしてご飯を作ってくれるのですが、不器用な上に大胆なので、キッチンを汚しまくった挙句にものを壊したりするのですね・・・そして洗った食器は汚れが落ちてなく、それを指摘されると「水だったから」と言い訳をするのだけどどうしたらお湯が出るのかと誰にも聞かないのです。
だからいっその事何もしないでお金だけ出してくれればいいのに、お寿司を買ってきてと頼むと頼んだものを買ってこないで足りないのです。自分があまり食べないからと、頼まれた分買わなくても間に合うと独断して、みんなお腹をすかして待ってるのに。
日本ではレストランのランチがお得な値段設定だと言ってるのに「簡単でいいのよ」とカフェのサンドイッチ&コーヒーで簡単だけど割高なものを食べる羽目になったり。絶対あれは贅沢を避けて、しかし人の助言を無視するから結果高い買い物になってしまうのですよね。。。
でも今回は、私は何かと忙しくて、おもに夫がずっと一緒だったので、キリキリしたのは夫の方でした。
帰った瞬間に上記のようなことをガーーーッと言ってきたので、この映画を勧めたのですが、あまり興味はないみたいでした。見たら「仕方ない、アイルランド人だから」と思えるのにな。でも人の助言に耳を貸さないところこそ、彼自身もアイルランドから受け継いだ気質かもしれません。