私は少人数の職場にアスペルガーの人に会うことがここ5年でなぜか2回もありました。とは言っても本人未自覚未診断のサイレントアスペルガーというやつです。
1番目は同僚と「ゴラム」と呼んでいた底意地が悪く浅はかな人で、その人にとても共通項が多い今の職場の先輩が2番目です。医者でもない私がアスペルガーだと断定するのもおこがましいのですが、そうでないと彼らの言動のつじつまが合わないので間違いないです。
私にも一応アスペルガー症候群の知識はありましたが、実際に出くわすまでは「みんなの会話に入っていけない孤立した人」というイメージを持っていました。
でもそう単純ではなく、仕事に就労しているくらいには会話は成り立つので、初めは気づかないのですが、「え???なんで???」という言動を経験するようになり、
今の先輩「Kさん」の場合、何せ接客業なのでお客様から「ひどいことを言われた」とクレームがきたり、長く住んでくれてるお客様だと彼を避けて他のスタッフを要求してきたり、住んで間もないお客様でもフロントにいたKさんに話をした後に「ちゃんと伝わっただろうか」と不安を覚えたと見えて時間をずらして別のスタッフに同じことをまた言いに来たりということが起きているのでした。
私も一度などは面と向かって「しましまさんって、年配の人でも・・・」と言われて「キーーーッ!いくら現実に年寄りでも、そんな単語は娘世代にだって言われたことないのに!」と心中怒り狂って翌日女子先輩(年下)にそのことを言ったら、「彼だって40過ぎてるのに心が追いついてないんですね。」と的確な意見が。そう、Kさんは基本心優しく、「年配」という言葉は「老人」というより丁寧だからいいだろうという判断だったと思われるので悪気はないのです。だからと言って私の怒りが収まるわけではないのもまた事実です。
アスペルガーも10人10色と言われるので、彼の性格と「空気や行間が読めない」障害の組み合わせで言動が形成されていると思われますが、
アスペルガーの特色として、仕事は指示されるか、指示することは得意だが、話し合って進めるのは苦手、というのがあります。
彼は5人チームの中で上から4番目で、私は5番目で、これが私の悲劇なのです。上の3人からの指示は黙って聞くのですが、彼としては私に指示したい。
そして彼の話の特徴として、「暗黙の了解、または共通の見解のもと必要な箇所から話し始める」ことができないので、最初は「何て話が長くてしつこいんだろう。そんなこととうの昔に分かってるのになぜそれを今更私がミリしらのごとく説明するんだろう。」とイライラしました。
今でもイライラしますが、もう先輩として立ててると疲れるので「それは私が昨日言いましたよね。」「知ってますよ。」と一言返せるようになりました。
そしてKさん、ケアレスミスが多いし、トンチンカンなことをして前はチームのボスによく怒られてたのですけど、そしてそれを初めて見た時は恐ろしくて私も震え上がってたのですが、今となってはボスの気持ちの方がよ〜くわかります。
ところがKさん本人だけは「ボスは感情的にただ怒ってる」と言っています?!自分の「なんで?!」っていう行動がボスを感情的にさせているのに気づけない。
ですのでボスも半年くらい前に怒ることをやめました。私が「Kさんがこんなこと言ってますけど?!」ってイライラしても「へそ曲がりだからな〜」で終わらせることにしたようです。
ボスでもその境地に至るまでに数年かかったんですから、私がまだ悟りの境地に達せないのも無理からぬことでしょう!
同じことを見たり聞いたりしても他の人ととらえ方が違うこともよくあるのも多分アスペルガーの特色で、なぜかというと、何か一つ気になることがあるとそれ以外の情報がシャットダウンしてしまうみたいで、総合的な情報からポイントを要約できてません。
それで私が「多分こういうことですよ」とマネージャーの指示を教えても(普通の人には普通にわかること)「マネージャーの話は曖昧で人によってとり方が違うからなあ。」と納得しない。自分だけがとり方が違うのに。。。
私がムッとしてもそれに気づくKさんではないので、楽しそうに自分の話を振ってくることも多々あり、体の大きい人が入居してくると野球の話、ジャズが趣味なので自分の知ってる人が有名なミュージシャンのステージに出てる話、と全く私が興味のないことを丁寧に教えてくれますし、私の話への返事に関係ない彼の話が返ってきたり、「コミュニケーションが苦手」というのは口数は多いのに空振りばかりということなんだな、と実感します。
自閉症の一種としてのアスペルガーについて何かで読んだ時は、「ちょっとくらい変わっているからって周りの人が理解できないなんて心が狭いんだな」と思ったのですが、実際私が一番敏感にいちいち頭にきてる気がします。全くダイバーシティに不寛容なのは私でした。
でも笑える話も多々あって、「隣のスーパーで時々できの悪いパンを2割引で売ってるので買うんです。」と嬉しそうに私に教えてきましたが、そう、それは「出来が悪い」のではなく、単に賞味期限が翌日に迫った古いパン。。。断定するので一瞬それはスーパーの秘密を特別聞き出したのかと思いましたがやっぱりそんなことはなかった。
明日はKさんと二人きりの勤務最後の日。彼には私がもうすぐ辞める話はしてないけど。