きょうだいが入院している部屋は、4人部屋です」。
どれだけの間、費用がかかるかわからないので、一番費用がかからないベッドを選んでいる。それに慣れない病院での生活で、同室の方から得られる情報は、本当にありがたいものです。自分もつらい時があるはずなのに、よりつらい人に手を差し伸べてくれるあの優しさは、健康であるときには考えもしなかったものです。会社の同僚には「個室の方が気が置けないわよ」と言われたらしいが、私は「一人はさびしいわよ」と大部屋を勧めた。
12月初めから2カ月近くになり、わがきょうだいも古株になってきた。何人の方もが治療を終えて退院をされていった。中には次の治療のために別の部屋に戻られて挨拶に来てくれる方もある。いろいろな人がいる。繰り返し治療を続けなければならない人は、たいていカーテンを開けっぱなしにしていらっしゃる。そういう方は病院のあれこれをよく知っていらっしゃって、たとえば「売店への近道があるのよ」「朝ラジオ体操があるから行ってみるといい」など教えてくださる。また、カーテンを絶対開けない人もいらっしゃる。これはこれで仕方がないことだ。
わがきょうだいは、窓側のベッドがあたってとても明るいが、今の時期日差しが強すぎてカーテンを開けておくことができない。眩しいからどうしても日よけにベッド回りのカーテンを閉めるようになってしまい、息苦しい感じがある。ま、彼女は行儀に気を強く回す人ではないので、とんでもない恰好でベッドの上にいることがあるから、かえってその方がいいのかもしれない。
わが子たちに繰り返し頼む。「忙しいのはわかるけれど、行ってやってね。退院の時にはくるから」