HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

心配されるアンダーカバーの体力。

2012-02-20 14:59:50 | Weblog
 3月16日からユニクロとアンダーカバーとのコラボレーションブランド「UU」が国内32の旗艦店、世界11ヵ国と地域で発売される。これまでデザイナーとの幾多のコラボレーションに臨んでいるユニクロだが、今度は裏原発のカリスマ的デザイナーと組み、新たなイメージ作りやマーケット開拓に挑む目論見だろうが、はたして勝算のほどはどうか。

 今年2月始めに発表された情報では、同コレクションは「家族をキーワードにベビー5型(990~1990円)、キッズ23型(790~5990円)、レディス34型(1500~7990円)、メンズ43型(同)のフルラインを揃える」という。
 また、商品イメージは「レディスでアンダーカバーの人気柄をポイントに使ったり、高橋氏と妻のRICOさんがデザインしたベビー、キッズは楽しい色柄や細かなディテールを取り込んだ。高品質でベーシックなアイテムにデザイナーらしいひねりを加える」のだそうだ。
 具体的なデザインや質感、クオリティについて現時点で、自社サイトのイメージ写真しか無いので何とも言えないが、価格面はベビー、キッズを差し置きレディス、メンズはかなりチープである。

 それはライトな春夏アイテムだからってことでもなさそうだ。明らかに「家族でセット購入してほしいというMD、価格戦略が取られている」ように思われる。まあ、初っぱなの売れ行きなどを見て、秋冬も継続するとなれば、MDや価格の修正は十分あり得るだろうが。
 でも、アンダーカバー自身のビジネスモデルとは全く異なる。こちらはデザイナーブランドであるがゆえ、企画デザインや素資材調達に時間をかけ、小ロット生産しかしないので生産固定費が重くのしかかって、どうしても価格は割高になる。
 それゆえ、アンダーカバーファンはコラボで商品が安く買える反面、マス生産による感度の圧縮、クオリティやブランド価値の低下については、やきもきもしているのではないだろうか。

 もっとも、ユニクロ、アンダーカバーとも双方のスタンスの違いがあるのは、はなからわかっているはずだ。それであえてやるのだから、結果としての新市場の掘り起こしや、ブランド認知度のアップを重視しているのかもしれない。
 一つ心配されるのはアンダーカバー側の体力である。今回のコラボ企画はベビーこそ5型だが、キッズ23型、レディス34型、メンズ43型で総型数は105型にも達する。これはアンダーカバー自身の企画アイテム数に比べると3~4倍の規模で、ハイエンドなデザイナーブランドとしては、1シーズンの企画能力の限界を超えているのではないか。

 最初のコレクションは、協業が発表されて間があったから、企画に時間を割くことはできただろう。しかし、継続するとなると企画開発の期間は限られてくる。とどのつまり、このコラボ企画はアンダーカバー側が企画デザインとMD設計のみを行なって、仕様開発から後はアウトソーシングされ、ユニクロ来合いの素材や仕様に乗せられやしないかが懸念されるのだ。もし、そうなるとアンダーカバー本来のクリエーションがあまり表現されず、他のファミリーSPAとの差別化が難しくなるかもしれない。
 過去、ユニクロのコラボ企画では課題が少なくない。2006年のデザイナーズプロジェクトはクオリティの問題が解消できなかったし、プラスジェーではVMDの粗雑さでモード感性がガタ落ちになった。
 こうした課題を含め、今回はいかに学習効果を発揮して克服できているか。まずはデビュー後にじっくり見極めたい。
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