今回はアパレル業界とは違うことを書く。上場企業の収益が増し、株価も値上がり基調にある。日本企業による海外での買収案件も目立ってきた。企業の収益が安定し社員の賃金が上がると、経営者は夢を語り始める。日本経済は失われた30年からようやく脱却の時を迎えたのだから、社員を引っ張って行く上で夢を語るのが必要であることは理解する。でも、どんな時代でも経営が立ち行かない企業は、倒産の憂き目に遭うのも事実だ。
平成に入って2年目の1990年。バブル景気が崩壊する1年ほど前、ある企業の倒産に遭遇した。もちろん、勤務していた会社が損害を被ったわけではない。倒産した企業とは事務機器の中堅販社。社長が一代で築き上げた会社で、有名メーカーの商品をリース販売して業績を上げていた。年に一度、取り扱う商品が改変されるため、営業用の総合カタログやパンフレット、展示会のDMなどが広告代理店や印刷会社に発注される。これらは同社の営業マンにとってセールスツールでもあり、取引先にも提案しやすいなどデザイン面での注文が多かった。
1989年秋、同社が翌年春から新たに外国製の機器を扱うことで、日本語版のカタログやパンフレット、ポスターなどの案件が発生した。元請けの金額にすると、全部で2000万円は下らない。業者としては是が非でも獲得したい仕事だ。発注先は企画プレゼンによるコンペで決まる。大手代理店から印刷会社まで十数社が事前のオリエンテーションに出席するとの話だった。ただ、元請けとして仕事を得られるのは1社のみ。オリエン出席業者のすべてがコンペに参加すれば、受注できる確率は10数分の1だった。
ところが、この企業と長年取引していた大手代理店が今回は参加しないとの情報が入ってきた。うちの会社にも参加を打診されたが、バブルの真っ只中でもあり、制作の人間は皆、抱えるクライアントだけで手一杯。全て外注すればできなくはなかったが、利益が薄い割にリスクは高い。それ以上に「あの代理店が参加しないのは何か裏がある」との予感から、辞退することになった。この段階では単なる懸念に過ぎず、その後の状況は予測もつかなかった。
この企業については、プレゼン経験があるデザイナーから、以下のような話を聞いていた。同社の社長は業者を前にしたオリエンで、毎回「企業は社会の根幹を支えている。だから、経営者は事業で勝つか負けるかというより、社員に対して夢を語り、己の信念、哲学に従って会社を経営していかなければ…」とのニュアンスの訓示をしていたそうだ。当時、クリエイティブワークを行う上でそれほど重要とは思わなかった。しかし、訓示の内容とは裏腹に多くが裏切られることになるのだった。
コンペが終了し、受託業者が決定。すべての制作物が納品されたのは、半年くらい後だったと聞く。しかし、その数週間後、オフィスの入口には「株式会社〇〇〇〇は、諸般の事情により休業やむなきに至りました。お取引各社様におかれましては、多大なご迷惑を…」という倒産を告知する張り紙が貼ってあったそうだ。出社した社員は事実を受け入れられるはずもなく、右往左往するばかり。倒産の知らせを聞いて駆けつけた債権者らしい輩に絡まれる様子も目撃されている。この時、大手代理店がコンペに参加しなかった理由が何となく想像できた。
この企業の倒産情報を銀行筋からいち早く入手していたのかもしれない。他の業者はそれまできちんと支払いがあったので、信用していたようだ。しかし、社長と娘婿で銀行出身の副社長が外部の監査役と結託して計画倒産を企て、実行に移した。常務は経営面で社長と対立し、しかも入院中で事態を知らなかった。社長派の親族が専務や平取に就いていたが、計画に加担したのかは不明だ。首謀の二人は売掛金を早めに回収し、仕入れ代金は手形で決済。現金はどこかにプールし、逃亡資金にしたとか。業界内ではそんな噂話が流布していた。
企業が倒産する主な要因は、売上げ不振と手元資金の枯渇だ。経営陣がそうした状況に追い込まれると、私利私欲から関係者を裏切り、意図的に会社を倒産に追い込むこともある。給料を受け取れない社員、手形が不渡となる業者は、憤懣やるかたない。一方で、首謀者は経営責任を負わせるスケープゴートを用意することもある。ここからは仮定の話だが、倒産の少し前に中間管理職の社員が社長から取締役就任を告げられたとすればどうか。指示通りに誓約書に記名・捺印し、定款変更のためと言われ、実印や印鑑証明を渡す。倒産のスキームも財務状況も知らないまま、役員就任の報告を兼ねた出張を命じられる。
ところが、会社に戻った途端に債権者に囲まれる。登記簿には役員として名前や自宅の住所が記されている。借金の連帯保証人にも名前があり、実印まで押されていると、法的には逃れられない。自分は何も知らなかった=善意だとしても、裁判で立証するには相当の労力と時間がかかる。社長が語る夢に賛同して仕事をしてきたのに、計画倒産のための捨て駒にされるとは思ってもいない。しかし、それには善意で無知の新参取締役が適任なのだ。もちろん、あくまで仮定の話である。社長が社員に語った夢がどんなものかは知る由もない。むしろ社員や取引先を丸め込む方便だった可能性もある。この時はそんなことも考えた。
形にできる人間こそが夢を語れ
一方、別の取引先ではこんなケースにも触れた。店舗が100店にも満たない中堅の小売りチェーンは、社員にどんどん仕事を任せることが奏功し、平成不況の中でも売上げは順調に伸びていた。また、集中的なドミナント展開を行わなかったため、店長がじっくりマネジメント術を身につけることができたという。店長はあくまで黒子に撤してスタッフを育てる。そのスタッフが全国的なロールプレイングコンテストで上位を占めるなど、人材が確実に育成され、それが売上げアップにつながる好循環を生んだ。
一口にマネジメント術といっても漠然としている。一応、スタッフのシフト決めから売上げ・商品の管理、本社への報告、本社からの指示受け、スタッフへの連絡、コミュニケーションまでがある。だが、それらがどの程度のレベルか、またショップの売上げにどこまで結びついているのかは、よくわからない。結局、数字が良ければ、うまくいっていると判断されるに過ぎない。もちろん、方法論にそったマネジメントだけでなく、店長の裁量でできることがあり、それが目に見えない効果となって、良い結果を生むこともある。
この企業では店長が通常業務の他にいろんなことをこなしていた。ある店長は店舗の掃除を隅々まで行ってクレンリネスを徹底した。スタッフが行えばいいのだが、各自の仕事に集中してもらうため、自らは汚れ仕事も躊躇わなかった。スタッフはそんな店長をちゃんと見ていた。「私たちにもできることは何でも言ってください」と。店長は実感した。「これだけのスタッフに店は支えられている。彼らがもっと自発的に仕事に取り組めるようにすれば、店はもっと良くなる」と。
エリアが変われば、環境もお客も異なる。ある店長は地域へのアピール力が足りないと感じ、カード会員獲得のキャンペーンを張った。大手では派遣会社の手を借り、店頭でお客に入会を勧めるが、この店ではスタッフに任せた。店長は「隣近所からも会員さんを増やしてください。多く獲った人は報奨します」と指示した。おそらく本社に掛け合って、下準備をしていたと思う。結果は一人で100人の会員を獲得した強者もいたという。だが、会員獲得が目的ではない。スタッフを一つの目標で結束させること。それもマネジメント術なのだ。
店長をまとめる役職として、エリアマネージャーがいる。その人がこんなことを語っていた。「世の中、不景気って言われるでしょ。でも、売上げの話ばかりじゃ楽しくない。だから、店長にはスタッフに対し、もっと夢を語れよって言っているんです」。お客さんに接するのは店だからこそ、店長を中心にしてスタッフがいかに結束するか。店を成長させていくのは、売上げ目標だけでないという認識が伝わってくる言動だ。
店長が語る夢が簡単に叶えられるわけではない。それも十分に承知の上だ。ただ、店長はスタッフからの提案があれば、いつでもすんなり聞き入れる。もちろん、大事なことは、「こんな風にしたい」「こうあれば、楽しい」「できるできないより、やってみることが大事」と、自己実現したい形を示すことだと、先のエリアマネージャーは言う。店がそうなれば、お客もきっと喜んでくれる。スタッフも誇りに感じ、働きやすくなるということだ。
夢を叶えたからではなく目標を達成した店舗には、会社からのインセンティブがある。年間で売上げ予算を10%以上超えると、店長ほかスタッフ全員にロサンゼルス研修がプレゼントされるのだ。実際に現地に赴いた店長の話では、ビバリーヒルズからダウンタウンまでのいろんな店舗を見て回るほか、コンドミニアムの上層階を貸し切ってパーティも開いたという。
ロスの高級スーパーでロブスターや肉、野菜、スパイスやソースなどを調達する。料理好きのスタッフがキッチンで調理をして参加者全員をもてなす。もちろん、シャンパンやワインも揃い、ゴージャスなひと時を過ごせたという。これは本社の上層部と現場の店長が折に触れて話し合い、研修と報奨を連動した企画として実現にこぎつけた。スタッフは店舗視察ができるし慰労も兼ねているので、経営陣から異論は出なかったようだ。
店長がスタッフに語った夢とはどんなものだったのか。少し頑張れば達成できそうなものから、とても実現できそうにない壮大なものまであったと思う。夢なのだからそれでいい。大事なのは店長が夢を語ることで、スタッフのモチベーションが上がること。結果として、売上げ目標が達成されれば、スタッフへの還元もあり得る。さらに企業として次のステージに挑戦しようという意欲を生む。具体的な戦略が動き出せば、さらに資金や人材が集まっていく。
倒産した企業の社長が社員に語った夢。小売りチェーンが店長に求めたスタッフに夢を語れ。本来ならどちらも同じ目的でなければならないが、結果は大きく違った。経営者が夢を形にするには理想が必要で、理想を持つには信念が不可欠だ。つまり、経営者が信念を持てば、必ず行動が伴うということ。夢は叶えられなくても、自己実現は不可能ではない。もちろん、それは企業、社員、取引先、そして社会にとって公正であること。目標を形にした人間こそが夢を語るべし。それも一理あると思う。
平成に入って2年目の1990年。バブル景気が崩壊する1年ほど前、ある企業の倒産に遭遇した。もちろん、勤務していた会社が損害を被ったわけではない。倒産した企業とは事務機器の中堅販社。社長が一代で築き上げた会社で、有名メーカーの商品をリース販売して業績を上げていた。年に一度、取り扱う商品が改変されるため、営業用の総合カタログやパンフレット、展示会のDMなどが広告代理店や印刷会社に発注される。これらは同社の営業マンにとってセールスツールでもあり、取引先にも提案しやすいなどデザイン面での注文が多かった。
1989年秋、同社が翌年春から新たに外国製の機器を扱うことで、日本語版のカタログやパンフレット、ポスターなどの案件が発生した。元請けの金額にすると、全部で2000万円は下らない。業者としては是が非でも獲得したい仕事だ。発注先は企画プレゼンによるコンペで決まる。大手代理店から印刷会社まで十数社が事前のオリエンテーションに出席するとの話だった。ただ、元請けとして仕事を得られるのは1社のみ。オリエン出席業者のすべてがコンペに参加すれば、受注できる確率は10数分の1だった。
ところが、この企業と長年取引していた大手代理店が今回は参加しないとの情報が入ってきた。うちの会社にも参加を打診されたが、バブルの真っ只中でもあり、制作の人間は皆、抱えるクライアントだけで手一杯。全て外注すればできなくはなかったが、利益が薄い割にリスクは高い。それ以上に「あの代理店が参加しないのは何か裏がある」との予感から、辞退することになった。この段階では単なる懸念に過ぎず、その後の状況は予測もつかなかった。
この企業については、プレゼン経験があるデザイナーから、以下のような話を聞いていた。同社の社長は業者を前にしたオリエンで、毎回「企業は社会の根幹を支えている。だから、経営者は事業で勝つか負けるかというより、社員に対して夢を語り、己の信念、哲学に従って会社を経営していかなければ…」とのニュアンスの訓示をしていたそうだ。当時、クリエイティブワークを行う上でそれほど重要とは思わなかった。しかし、訓示の内容とは裏腹に多くが裏切られることになるのだった。
コンペが終了し、受託業者が決定。すべての制作物が納品されたのは、半年くらい後だったと聞く。しかし、その数週間後、オフィスの入口には「株式会社〇〇〇〇は、諸般の事情により休業やむなきに至りました。お取引各社様におかれましては、多大なご迷惑を…」という倒産を告知する張り紙が貼ってあったそうだ。出社した社員は事実を受け入れられるはずもなく、右往左往するばかり。倒産の知らせを聞いて駆けつけた債権者らしい輩に絡まれる様子も目撃されている。この時、大手代理店がコンペに参加しなかった理由が何となく想像できた。
この企業の倒産情報を銀行筋からいち早く入手していたのかもしれない。他の業者はそれまできちんと支払いがあったので、信用していたようだ。しかし、社長と娘婿で銀行出身の副社長が外部の監査役と結託して計画倒産を企て、実行に移した。常務は経営面で社長と対立し、しかも入院中で事態を知らなかった。社長派の親族が専務や平取に就いていたが、計画に加担したのかは不明だ。首謀の二人は売掛金を早めに回収し、仕入れ代金は手形で決済。現金はどこかにプールし、逃亡資金にしたとか。業界内ではそんな噂話が流布していた。
企業が倒産する主な要因は、売上げ不振と手元資金の枯渇だ。経営陣がそうした状況に追い込まれると、私利私欲から関係者を裏切り、意図的に会社を倒産に追い込むこともある。給料を受け取れない社員、手形が不渡となる業者は、憤懣やるかたない。一方で、首謀者は経営責任を負わせるスケープゴートを用意することもある。ここからは仮定の話だが、倒産の少し前に中間管理職の社員が社長から取締役就任を告げられたとすればどうか。指示通りに誓約書に記名・捺印し、定款変更のためと言われ、実印や印鑑証明を渡す。倒産のスキームも財務状況も知らないまま、役員就任の報告を兼ねた出張を命じられる。
ところが、会社に戻った途端に債権者に囲まれる。登記簿には役員として名前や自宅の住所が記されている。借金の連帯保証人にも名前があり、実印まで押されていると、法的には逃れられない。自分は何も知らなかった=善意だとしても、裁判で立証するには相当の労力と時間がかかる。社長が語る夢に賛同して仕事をしてきたのに、計画倒産のための捨て駒にされるとは思ってもいない。しかし、それには善意で無知の新参取締役が適任なのだ。もちろん、あくまで仮定の話である。社長が社員に語った夢がどんなものかは知る由もない。むしろ社員や取引先を丸め込む方便だった可能性もある。この時はそんなことも考えた。
形にできる人間こそが夢を語れ
一方、別の取引先ではこんなケースにも触れた。店舗が100店にも満たない中堅の小売りチェーンは、社員にどんどん仕事を任せることが奏功し、平成不況の中でも売上げは順調に伸びていた。また、集中的なドミナント展開を行わなかったため、店長がじっくりマネジメント術を身につけることができたという。店長はあくまで黒子に撤してスタッフを育てる。そのスタッフが全国的なロールプレイングコンテストで上位を占めるなど、人材が確実に育成され、それが売上げアップにつながる好循環を生んだ。
一口にマネジメント術といっても漠然としている。一応、スタッフのシフト決めから売上げ・商品の管理、本社への報告、本社からの指示受け、スタッフへの連絡、コミュニケーションまでがある。だが、それらがどの程度のレベルか、またショップの売上げにどこまで結びついているのかは、よくわからない。結局、数字が良ければ、うまくいっていると判断されるに過ぎない。もちろん、方法論にそったマネジメントだけでなく、店長の裁量でできることがあり、それが目に見えない効果となって、良い結果を生むこともある。
この企業では店長が通常業務の他にいろんなことをこなしていた。ある店長は店舗の掃除を隅々まで行ってクレンリネスを徹底した。スタッフが行えばいいのだが、各自の仕事に集中してもらうため、自らは汚れ仕事も躊躇わなかった。スタッフはそんな店長をちゃんと見ていた。「私たちにもできることは何でも言ってください」と。店長は実感した。「これだけのスタッフに店は支えられている。彼らがもっと自発的に仕事に取り組めるようにすれば、店はもっと良くなる」と。
エリアが変われば、環境もお客も異なる。ある店長は地域へのアピール力が足りないと感じ、カード会員獲得のキャンペーンを張った。大手では派遣会社の手を借り、店頭でお客に入会を勧めるが、この店ではスタッフに任せた。店長は「隣近所からも会員さんを増やしてください。多く獲った人は報奨します」と指示した。おそらく本社に掛け合って、下準備をしていたと思う。結果は一人で100人の会員を獲得した強者もいたという。だが、会員獲得が目的ではない。スタッフを一つの目標で結束させること。それもマネジメント術なのだ。
店長をまとめる役職として、エリアマネージャーがいる。その人がこんなことを語っていた。「世の中、不景気って言われるでしょ。でも、売上げの話ばかりじゃ楽しくない。だから、店長にはスタッフに対し、もっと夢を語れよって言っているんです」。お客さんに接するのは店だからこそ、店長を中心にしてスタッフがいかに結束するか。店を成長させていくのは、売上げ目標だけでないという認識が伝わってくる言動だ。
店長が語る夢が簡単に叶えられるわけではない。それも十分に承知の上だ。ただ、店長はスタッフからの提案があれば、いつでもすんなり聞き入れる。もちろん、大事なことは、「こんな風にしたい」「こうあれば、楽しい」「できるできないより、やってみることが大事」と、自己実現したい形を示すことだと、先のエリアマネージャーは言う。店がそうなれば、お客もきっと喜んでくれる。スタッフも誇りに感じ、働きやすくなるということだ。
夢を叶えたからではなく目標を達成した店舗には、会社からのインセンティブがある。年間で売上げ予算を10%以上超えると、店長ほかスタッフ全員にロサンゼルス研修がプレゼントされるのだ。実際に現地に赴いた店長の話では、ビバリーヒルズからダウンタウンまでのいろんな店舗を見て回るほか、コンドミニアムの上層階を貸し切ってパーティも開いたという。
ロスの高級スーパーでロブスターや肉、野菜、スパイスやソースなどを調達する。料理好きのスタッフがキッチンで調理をして参加者全員をもてなす。もちろん、シャンパンやワインも揃い、ゴージャスなひと時を過ごせたという。これは本社の上層部と現場の店長が折に触れて話し合い、研修と報奨を連動した企画として実現にこぎつけた。スタッフは店舗視察ができるし慰労も兼ねているので、経営陣から異論は出なかったようだ。
店長がスタッフに語った夢とはどんなものだったのか。少し頑張れば達成できそうなものから、とても実現できそうにない壮大なものまであったと思う。夢なのだからそれでいい。大事なのは店長が夢を語ることで、スタッフのモチベーションが上がること。結果として、売上げ目標が達成されれば、スタッフへの還元もあり得る。さらに企業として次のステージに挑戦しようという意欲を生む。具体的な戦略が動き出せば、さらに資金や人材が集まっていく。
倒産した企業の社長が社員に語った夢。小売りチェーンが店長に求めたスタッフに夢を語れ。本来ならどちらも同じ目的でなければならないが、結果は大きく違った。経営者が夢を形にするには理想が必要で、理想を持つには信念が不可欠だ。つまり、経営者が信念を持てば、必ず行動が伴うということ。夢は叶えられなくても、自己実現は不可能ではない。もちろん、それは企業、社員、取引先、そして社会にとって公正であること。目標を形にした人間こそが夢を語るべし。それも一理あると思う。