セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイHD)のそごう・西武百貨店(以下、そごう・西武)の売却問題。昨年11月に米国のファンド、フォートレス・インベストメント・グループ(以下、FIG)を交渉先に選定して以来、二度の延期やスト権の行使など紆余曲折を経ながらも9月1日一応、問題は終結した。
売却日当日、セブン&アイは単体で1457億円の特別損失計上を発表し、連結の最終利益予想を下方修正した。同社からすれば、8500万円の譲渡額は完全に想定内だったようで、FIG側もを含め、百貨店事業についてほとんど価値を見出していなかったことがわかる。一応、会計上の処理は終了したが、セブン&アイの経営陣はこれから株主代表訴訟が控える。なぜ、FIGを買収先に選んだかなどが争点になると思うが、ここではひとまず置いておきたい。
他に懸念されるのは、そごう・西武の社員についての雇用問題だ。世間の関心はこちらの方が高いと思う。両百貨店の今後について報道されているのは、ヨドバシHDは西武池袋本店をはじめ、西武渋谷店やそごう千葉店にヨドバシカメラを出店する計画がある一方、そのほかの首都圏の店舗や地方都市にある店舗については出店しない方針ということだけ。裏を返せば、百貨店に価値なしどころか、見放していることになる。
FIG側も最大限の雇用維持に努めると言うが、ヨドバシカメラが首都圏3百貨店の主要フロアに出店すれば、全社員が百貨店業務を続けられる公算は極めて低い。セブン&アイHDにしてもセブンイレブンの好決算は、買収した米国のコンビニ「スピードウエイ」がガソリンスタンド併設型で、石油価格の高騰による売上増に円安効果がプラスされたに過ぎない。井阪隆一社長はイトーヨーカドーについて立て直しを公言し続けているが、2026年2月末までに33店舗を削減し93店舗とするというのだから、とても受け皿になる状態ではない。
さらにヨドバシHDは間髪入れず、そごう・西武が保有する西武池袋本店の土地の半分を3000億円で取得する。これについてはFIGからは事前の発表はなかった。セブン&アイHDもFIGも、口では「池袋本店は大半の従業員を残す」「最大限の雇用維持」と言うものの、そごう・西武の価値は「池袋本店の不動産しかない」と言っているようなもので、セブン&アイHDやFIGは百貨店事業の立て直しどころか、解体したい思惑が透けて見える。
ヨドバシHDが西武池袋本店の半分とは言え、土地を取得すれば大家になるわけだ。これが何を意味するか。オーナー企業としてそごう・西武の経営を立て直すというよりも、西武池袋本店の立地をヨドバシカメラにとって都合のいいように活用したいのだろう。池袋本店に出店する海外ブランドではLVMHは移転しない旨を発表したが、他のブランドや百貨店系のアパレルなどは家電量販店と併存できないと、撤退していくのが予想される。
ヨドバシカメラの進出で、西武池袋店の売場が半減すれば、管理業務を担当する社員からバイヤー、自主編集売場のマネージャーやスタッフまで総勢900名のうち、相応の社員が職を失うことになる。行き場を失った社員には、セブン&アイHDがグループ企業、フォートレスが投資先のゴルフ場やホテルでで雇用する旨を表明している。ただ、それをどれほどの百貨店社員が受け入れるのだろうか。
さらにFIGから送り込まれた新経営陣が苦戦や不採算が続く西武の所沢や東戸塚のS.C、西武秋田店や同福井店、そごう広島店といった地方店を立て直せるのか。ファンドは投資家に配当しなければならないわけで、収益改善の見込みなしと判断することもあり得る。そうなると、閉店や営業終了に踏み切り、他社に転売する可能性は高い。仮にそうなれば、解雇されるのはテナントのスタッフを含め、数千人規模かそれ以上になる。それでなくても、地方経済が疲弊している中で、これほどの失業者が出ると社会問題化は避けられない。
世の中がいくら人手不足だと言っても、求人を出しているすべての企業、業種に百貨店から解雇された人間がスムーズに転職できるほど、簡単な構図にはならない。そごう・西武百貨店の社員とすれば百貨店の仕事に思い入れは強く、勤務経験から来るプライドもあるだろう。再雇用されるにしても、外食やゴルフ、ホテルなど畑違いではでは何とも割り切れない思いではないか。できれば、百貨店の仕事を続けたい社員は少なくないはずだ。
有能な社員は他の百貨店にスカウトされる
一方、西武池袋本店に勤務する社員でも、有能な人材の引き抜きが水面下で始まっているのではないかと思われる。大本命は、優良顧客を抱える外商の社員だ。ヘッドハンティングするのは、首都圏を拠点にする三越伊勢丹や高島屋といったそごう・西武より格上で、売上げも好調な百貨店になると思われる。それはなぜなのか。
三越伊勢丹や高島屋の外商顧客が他の百貨店のそれとは違う超富裕層だとしても、そうした客層をいつまでも繋ぎ止められる保証はない。子供や孫の代になれば、感覚もライフスタイルも違ってくるから、専門店やネットの商品にも目がいく。顧客である以上は新陳代謝が避けられない。三越伊勢丹や高島屋ほどの百貨店であっても、経営陣にはそうした危機感がいつもつきまとっているはずだ。だから、常に新規の顧客開拓が必要なのである。
そごう・西武の外商顧客が三越伊勢丹や高島屋ほどの「格」ではないにしても、ヨドバシに進出でそごうや西武の暖簾が傷つけられる=ブランドイメージの低下を感じれば、店舗離れを起こす可能性はある。三越伊勢丹や高島屋の経営陣がそうした変化を見逃すはずはない。外商を含めて離れる顧客を自店で受け入れようと、両百貨店の経営陣が考えるのは当然である。ただ、あからさまに外商顧客を奪うのは憚れる。だから、まずは有能な外商のスタッフをリクルートするのが先決ではないか。
確かに大手百貨店は富裕層やインバウンドの旺盛な消費意欲に支えられ、今のところは絶好調だ。しかし、市場はとてつもないスピードで成熟していく。かつての日本人がそうであったように、中国はじめアジアからのお客もモノ消費からコト消費に変わるのは時間の問題だ。つまり、この好調が来年も続くかどうかはわからない。三越伊勢丹や高島屋の経営陣ともなれば、そう考えていても不思議ではない。だからこそ、待ちの姿勢ではなく、百貨店側から顧客に商品を提案する。また、顧客のウォンツやニーズを聞き出す。それに長けた外商スタッフが他店にいるなら、経営者として指を咥えて見ているわけにはいかない。
外商顧客の争奪は別にしても、外商スタッフを引き抜く動きがあるのは想像に難くない。それが信義則に反するとの意見もあるだろうが、どこで仕事をするかを選ぶのは労働者側だ。外商スタッフが顧客から「あなただから、買い物するのよ。あなたが別の店に移籍してもね」と言われれば、移籍しても励みになる。販売力のあって顧客を抱えるマネージャーや売場スタッフも然り。「うちに来ないか」という人材流動化が始まっているのは間違いないと思う。
逆に三越伊勢丹や高島屋の社員の間では、そごう・西武から有能なスタッフがヘッドハンティングされれば自分のポストが危ういと、戦々恐々としているかもしれない。だが、それは弱肉強食のビジネス界では当たり前。斜陽産業だの、時代遅れだのと言われる百貨店業界でも、生き残れる人間はいる。なぜなら、百貨店は小売りという人間によって成り立つ産業だから、実店舗で買い物するのが人間である限り、接するのも人間でなくてはならない。業態や品目は変わっても、小売りに長けた有能な人間なら店の暖簾を背負っていくらでも仕事をしていけるのだ。
ここで一つ、思い出したことがある。そごう・西武の問題はコンビニ企業による傘下デパートの売却だったが、筆者は逆のケースにも遭遇している。福岡の百貨店、「岩田屋」はかつてグループ子会社にファミリーマートのエリアフランチャイザー「アイ・ファミリーマート」を持っていた。つまり、百貨店がFCでコンビニ事業に携わっていたのである。エリアは福岡、熊本、大分、佐賀の一部で、FCザーの社長以下、全員が岩田屋からの出向組だった。
1998年くらいだったか、「月刊コンビニ」という雑誌の企画で仕事をすることになった。FCザー側の担当者は東京都内の私立大学を卒業後、地元福岡の岩田屋に就職。系列店西新岩田屋のベビー服売場を皮切りに10年以上にわたって販売を経験した後、人事異動でアイ・ファミリーマートに転籍した。ところが、肝心の岩田屋はZサイドの出店などで有利子負債が膨らみ、さらに天神流通戦争に巻き込まれて経営不振に追い込まれた。本業に集中するため、ファミリーマートと株式を交換し、コンビニ事業から手を引くことになった。
アイ・ファミリーマートはファミリーマートの子会社となり、その後に吸収合併された。エリアFCザーの社員はファミリーマートの社員となったのである。担当者もコンビニの仕事に邁進されていたが、おそらく転籍した時点ではいつかは岩田屋に戻りたい、岩田屋への未練はあったと思う。結局、岩田屋は経営破綻し、私的整理ガイドラインを受け入れて伊勢丹の傘下で再建の道を歩む代わりに、店名は残ることになった。出向された社員もファミリーマートの社員として雇用が維持されたとはいえ、相当に複雑な思いだったのではないか。
そごう・西武の売却は、外資系ファンドとそれに乗っかる家電量販店、資金を貸し出す大手銀行の思惑でことが進んだ感じだ。一方、有能な人材は他の百貨店からも請われるだろうから、自分で行く先を選べる。その結果、人材が流動すれば、業界全体の活性化にもつながる。そごう・西武で提案力に優れた外商スタッフ、卓越した販売力をもつマネージャーや売場スタッフは、百貨店業界のアクティベイターになることができるかもしれない。それはそれで前向きに捉えてもいいのではないかと思う。
売却日当日、セブン&アイは単体で1457億円の特別損失計上を発表し、連結の最終利益予想を下方修正した。同社からすれば、8500万円の譲渡額は完全に想定内だったようで、FIG側もを含め、百貨店事業についてほとんど価値を見出していなかったことがわかる。一応、会計上の処理は終了したが、セブン&アイの経営陣はこれから株主代表訴訟が控える。なぜ、FIGを買収先に選んだかなどが争点になると思うが、ここではひとまず置いておきたい。
他に懸念されるのは、そごう・西武の社員についての雇用問題だ。世間の関心はこちらの方が高いと思う。両百貨店の今後について報道されているのは、ヨドバシHDは西武池袋本店をはじめ、西武渋谷店やそごう千葉店にヨドバシカメラを出店する計画がある一方、そのほかの首都圏の店舗や地方都市にある店舗については出店しない方針ということだけ。裏を返せば、百貨店に価値なしどころか、見放していることになる。
FIG側も最大限の雇用維持に努めると言うが、ヨドバシカメラが首都圏3百貨店の主要フロアに出店すれば、全社員が百貨店業務を続けられる公算は極めて低い。セブン&アイHDにしてもセブンイレブンの好決算は、買収した米国のコンビニ「スピードウエイ」がガソリンスタンド併設型で、石油価格の高騰による売上増に円安効果がプラスされたに過ぎない。井阪隆一社長はイトーヨーカドーについて立て直しを公言し続けているが、2026年2月末までに33店舗を削減し93店舗とするというのだから、とても受け皿になる状態ではない。
さらにヨドバシHDは間髪入れず、そごう・西武が保有する西武池袋本店の土地の半分を3000億円で取得する。これについてはFIGからは事前の発表はなかった。セブン&アイHDもFIGも、口では「池袋本店は大半の従業員を残す」「最大限の雇用維持」と言うものの、そごう・西武の価値は「池袋本店の不動産しかない」と言っているようなもので、セブン&アイHDやFIGは百貨店事業の立て直しどころか、解体したい思惑が透けて見える。
ヨドバシHDが西武池袋本店の半分とは言え、土地を取得すれば大家になるわけだ。これが何を意味するか。オーナー企業としてそごう・西武の経営を立て直すというよりも、西武池袋本店の立地をヨドバシカメラにとって都合のいいように活用したいのだろう。池袋本店に出店する海外ブランドではLVMHは移転しない旨を発表したが、他のブランドや百貨店系のアパレルなどは家電量販店と併存できないと、撤退していくのが予想される。
ヨドバシカメラの進出で、西武池袋店の売場が半減すれば、管理業務を担当する社員からバイヤー、自主編集売場のマネージャーやスタッフまで総勢900名のうち、相応の社員が職を失うことになる。行き場を失った社員には、セブン&アイHDがグループ企業、フォートレスが投資先のゴルフ場やホテルでで雇用する旨を表明している。ただ、それをどれほどの百貨店社員が受け入れるのだろうか。
さらにFIGから送り込まれた新経営陣が苦戦や不採算が続く西武の所沢や東戸塚のS.C、西武秋田店や同福井店、そごう広島店といった地方店を立て直せるのか。ファンドは投資家に配当しなければならないわけで、収益改善の見込みなしと判断することもあり得る。そうなると、閉店や営業終了に踏み切り、他社に転売する可能性は高い。仮にそうなれば、解雇されるのはテナントのスタッフを含め、数千人規模かそれ以上になる。それでなくても、地方経済が疲弊している中で、これほどの失業者が出ると社会問題化は避けられない。
世の中がいくら人手不足だと言っても、求人を出しているすべての企業、業種に百貨店から解雇された人間がスムーズに転職できるほど、簡単な構図にはならない。そごう・西武百貨店の社員とすれば百貨店の仕事に思い入れは強く、勤務経験から来るプライドもあるだろう。再雇用されるにしても、外食やゴルフ、ホテルなど畑違いではでは何とも割り切れない思いではないか。できれば、百貨店の仕事を続けたい社員は少なくないはずだ。
有能な社員は他の百貨店にスカウトされる
一方、西武池袋本店に勤務する社員でも、有能な人材の引き抜きが水面下で始まっているのではないかと思われる。大本命は、優良顧客を抱える外商の社員だ。ヘッドハンティングするのは、首都圏を拠点にする三越伊勢丹や高島屋といったそごう・西武より格上で、売上げも好調な百貨店になると思われる。それはなぜなのか。
三越伊勢丹や高島屋の外商顧客が他の百貨店のそれとは違う超富裕層だとしても、そうした客層をいつまでも繋ぎ止められる保証はない。子供や孫の代になれば、感覚もライフスタイルも違ってくるから、専門店やネットの商品にも目がいく。顧客である以上は新陳代謝が避けられない。三越伊勢丹や高島屋ほどの百貨店であっても、経営陣にはそうした危機感がいつもつきまとっているはずだ。だから、常に新規の顧客開拓が必要なのである。
そごう・西武の外商顧客が三越伊勢丹や高島屋ほどの「格」ではないにしても、ヨドバシに進出でそごうや西武の暖簾が傷つけられる=ブランドイメージの低下を感じれば、店舗離れを起こす可能性はある。三越伊勢丹や高島屋の経営陣がそうした変化を見逃すはずはない。外商を含めて離れる顧客を自店で受け入れようと、両百貨店の経営陣が考えるのは当然である。ただ、あからさまに外商顧客を奪うのは憚れる。だから、まずは有能な外商のスタッフをリクルートするのが先決ではないか。
確かに大手百貨店は富裕層やインバウンドの旺盛な消費意欲に支えられ、今のところは絶好調だ。しかし、市場はとてつもないスピードで成熟していく。かつての日本人がそうであったように、中国はじめアジアからのお客もモノ消費からコト消費に変わるのは時間の問題だ。つまり、この好調が来年も続くかどうかはわからない。三越伊勢丹や高島屋の経営陣ともなれば、そう考えていても不思議ではない。だからこそ、待ちの姿勢ではなく、百貨店側から顧客に商品を提案する。また、顧客のウォンツやニーズを聞き出す。それに長けた外商スタッフが他店にいるなら、経営者として指を咥えて見ているわけにはいかない。
外商顧客の争奪は別にしても、外商スタッフを引き抜く動きがあるのは想像に難くない。それが信義則に反するとの意見もあるだろうが、どこで仕事をするかを選ぶのは労働者側だ。外商スタッフが顧客から「あなただから、買い物するのよ。あなたが別の店に移籍してもね」と言われれば、移籍しても励みになる。販売力のあって顧客を抱えるマネージャーや売場スタッフも然り。「うちに来ないか」という人材流動化が始まっているのは間違いないと思う。
逆に三越伊勢丹や高島屋の社員の間では、そごう・西武から有能なスタッフがヘッドハンティングされれば自分のポストが危ういと、戦々恐々としているかもしれない。だが、それは弱肉強食のビジネス界では当たり前。斜陽産業だの、時代遅れだのと言われる百貨店業界でも、生き残れる人間はいる。なぜなら、百貨店は小売りという人間によって成り立つ産業だから、実店舗で買い物するのが人間である限り、接するのも人間でなくてはならない。業態や品目は変わっても、小売りに長けた有能な人間なら店の暖簾を背負っていくらでも仕事をしていけるのだ。
ここで一つ、思い出したことがある。そごう・西武の問題はコンビニ企業による傘下デパートの売却だったが、筆者は逆のケースにも遭遇している。福岡の百貨店、「岩田屋」はかつてグループ子会社にファミリーマートのエリアフランチャイザー「アイ・ファミリーマート」を持っていた。つまり、百貨店がFCでコンビニ事業に携わっていたのである。エリアは福岡、熊本、大分、佐賀の一部で、FCザーの社長以下、全員が岩田屋からの出向組だった。
1998年くらいだったか、「月刊コンビニ」という雑誌の企画で仕事をすることになった。FCザー側の担当者は東京都内の私立大学を卒業後、地元福岡の岩田屋に就職。系列店西新岩田屋のベビー服売場を皮切りに10年以上にわたって販売を経験した後、人事異動でアイ・ファミリーマートに転籍した。ところが、肝心の岩田屋はZサイドの出店などで有利子負債が膨らみ、さらに天神流通戦争に巻き込まれて経営不振に追い込まれた。本業に集中するため、ファミリーマートと株式を交換し、コンビニ事業から手を引くことになった。
アイ・ファミリーマートはファミリーマートの子会社となり、その後に吸収合併された。エリアFCザーの社員はファミリーマートの社員となったのである。担当者もコンビニの仕事に邁進されていたが、おそらく転籍した時点ではいつかは岩田屋に戻りたい、岩田屋への未練はあったと思う。結局、岩田屋は経営破綻し、私的整理ガイドラインを受け入れて伊勢丹の傘下で再建の道を歩む代わりに、店名は残ることになった。出向された社員もファミリーマートの社員として雇用が維持されたとはいえ、相当に複雑な思いだったのではないか。
そごう・西武の売却は、外資系ファンドとそれに乗っかる家電量販店、資金を貸し出す大手銀行の思惑でことが進んだ感じだ。一方、有能な人材は他の百貨店からも請われるだろうから、自分で行く先を選べる。その結果、人材が流動すれば、業界全体の活性化にもつながる。そごう・西武で提案力に優れた外商スタッフ、卓越した販売力をもつマネージャーや売場スタッフは、百貨店業界のアクティベイターになることができるかもしれない。それはそれで前向きに捉えてもいいのではないかと思う。