冬虫夏草を先に読んでしまったけど、その前に書かれた『家守綺譚』(いえもりきたん)
読み始めて、夏目漱石の吾輩は猫であるを思い出した。
何でもない日常が描写されている。
漱石の場合は猫が主人公だから当然、行動範囲が住んでいる地域に限られるだろう。(内容はすっかり忘れてしまったけど、ドーナツのお砂糖が云々・・・を覚えている)
『家守綺譚』は主人公の綿貫征四郎が物書きであるから、身辺で起こる事が書く材料になる、そんな視点が興味深い。
トルコのフリゲート艦エルトゥールル号が和歌山沖で台風に遭って遭難し、漁民が必死に救助にあたった事が出てくるので、背景は1890年(明治23年)の時代。
舞台は京都の琵琶湖から流れる疎水近くの古い家。昨年の秋、京都を旅行し、疎水あたり(南禅寺)も見てきたので、場面を想像しやすかった。
この頃はカッパを見たという人も多く居たらしいし、龍神信仰は普通の事で、山や湖も信仰の対象になっていた。(夫の伯父さんがカッパに会ったと話していたらしい。)
普通に読み進んで行ったらタヌキに化かされた場面だったり、人に姿を変えたカワウソだったり面白い&コワイ^^;
水の精とか小人とか人魚や鬼など、この進化した世の中には迷信と呼ばれるものだけれども、植物でも物でも心があるという考えは大事だと思う。
植物は声をかけてあげると元気に伸びるとか・・・・・
道具を大事にすることによって自分の行動が変わる^^v行動が変わると良い結果になる。
つまり、自分が変わるとまわりも変わるということかな
目次のタイトルが花や木で名付けられて、冬虫夏草もそうでしたけど彼女はよほど花がお好きなようです・
花や木・動物も人格がある、そんな梨木香歩の世界が、しっとりと柔らかく気持ちが落ち着くような、日常忘れらているものに陽を当てている独特な世界がいいですね!!