実家が葡萄農家を兼業していたため、出荷最盛期である夏はほぼ一日中手伝わされてた。
夕方の出荷まで、みっちり。
家の前の坂道を下らないと海には出られないから、そこを声を上げて自転車で通る同じ学校の生徒や同級生を
最初こそ羨ましく見てはいたが、そのうち何も思わなくなった。
泳ぎたいとも、遊びたいとも。
父の妹二人がそれぞれ子供を連れて夏休みの初日から最終日まで居座る。
彼らは客人扱いなので家業は一切手伝わない。
曰く「甲子園(TVで)見るのが忙しい」そうだ。
未だに高校野球はアレルギーに近い状態で苦手だったりする。
夏休みは嫌いだ。
いい思い出が一つもない。悪い思い出ばかりが年々積み重ねられ続けた季節。
宿題だ自由研究だ読書感想文だ絵日記だとか、それ以前に、夏が嫌いだ。
・・・そう考えると、今が一番夏に対して好意的とも言えるかもしれない。