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“中学レベル”の大学生急増「ゆとり教育影響」 オンライン学習・大学ネット設立
2007年11月12日11時14分
少子化による大学全入時代で入試そのものの機能が問われる中、日本語の設問すら理解できない大学生が急増している。講義が成立しないとの大学側の悩みに応え、千葉市美浜区のメディア教育開発センター(NIME)が事務局となり、基礎学力向上のためのパソコンを使った自習教材、eラーニングの普及へ「オンライン学習・大学ネットワーク」を設立。来年四月から、参加大学が独自に開発した教材を共用し、大学生の学力底上げを目指すことになった。
学生の学力低下について研究するNIMEの小野博教授(62)は、全国の大学生四万六千人を対象にテストを行ったところ、国公立大学で6%、私立大学で20%、短大では35%の学生の日本語力が中学生レベル。私大や短大の中には60%を超えた学校もあった。
別のアンケートでは、ふりがな付きにもかかわらず、設問中の「怠惰」や慣用句の「話を聞いて骨が折れる」の意味が分からない学生すら多かったという。
小野教授はゆとり教育と少子化による大学全入時代の影響を指摘。「入試が機能せず、(同じ大学でも)入学する学生のレベルが開いている」と分析する。
今月一日、立ち上った「オンライン学習・大学ネットワーク」には、全国から同様の悩みを抱える百七の大学が参加を申し込んだ。
オンライン学習は、「読み書きそろばん」など大学で教えない基礎的な学習や講義の予習・復習を個々に自習できる。ただ、大学単体でシステムを構築するにはコストや人手がネックとなり、普及率は16・5%にとどまっていた。
同ネットワークでは、各大学が独自に開発したパソコンで自習できるソフトを参加大学で共用することで、これらの壁を解消。五百の学部の参加を目指している。
開発中の国語や英語ソフトは音声認識やアニメーションを取り入れ、さながらゲーム感覚。来年四月から一年間実験的に無料でシステムを運用するが、二〇〇九年度からは学生一人当たり三百~五百円程度の利用料を取り、ソフトを開発した大学に還元する予定。
小野教授は「ここまでやらなければいけないのかという声もあるだろうが、こうでもしないと、今の大学は生き残れない」と話した。(千葉日報ウェブ)
◇
学力低下に関するエントリ・「キチガイにペン」で次のように書いた。
≪長年、県立工業高校の数学教師を勤めた友人の1人は、四月に新入生に先ず教える事は数学の授業に困らない程度の読み書きだと述懐していた。
読み書きもままならぬ新入生を高校に迎え、数学どころの騒ぎでは無いと嘆いていた。
彼が嘆くには基礎学力の無い生徒を高校に送り込んだ中学の責任だという。
で、中学にその責を問えば、・・・責任転嫁は果てしなく続く。≫
読み書きの能力の無い生徒を高校に送り込まれる高校教師の嘆き節を友人の言葉を借りて書いたつもりだったが、時代の流れはまことに速いもの。
中学生並みの読み書きを嘆くのは今では高校教師ではなく、大学教授だというから最近の大学生は中学生並ということになる。
>日本語の設問すら理解できない大学生が急増している。
>国公立大学で6%、私立大学で20%、短大では35%の学生の日本語力が中学生レベル。私大や短大の中には60%を超えた学校もあった。
>ふりがな付きにもかかわらず、設問中の「怠惰」や慣用句の「話を聞いて骨が折れる」の意味が分からない学生すら多かったという。
>、「読み書きそろばん」など大学で教えない基礎的な学習や講義の予習・復習を個々に自習できる。
以前,英語教育を小学校に取り入れるかどうかが議論になったとき、
藤原正彦御茶ノ水大学教授の初等教育論に膝を打って感心したことを想いだした。
藤原教授は、「日本語もろくにできないで国際人になれるわけがない。従来通りでいい」と、むしろ国語教育の充実を訴える。
通常「識者」は自分の専門分野を教育に重要視する。
英語の専門家は小学校からの英語教育の重要性を説くし、数学、国語の専門家自分の専門分野の主張では負けてはいない。
数学者であり外国の大学で教鞭をとったことのある藤原正彦教はその著書「国家の品格」で、「読み書きそろばん第一」だと時代劇にでも出てきそうな教育論を主張する。
同教授の「一に国語二に国語、三四がなくて五に算数」説は、英語にも強い人の発言だけに説得力がある。
藤原教授は『国家の品格』の中でも国語の重要性を説いていたが、『この国のけじめ』でも国語の重要性、特に子どもの頃の読書の重要性を説いている。
以下に藤原教授の教育に関するインタビュー記事を抜粋する。
――本を読む時間、本が好きな子ども、それぞれがもうずっと減りっぱなしです。ある調査では、一般的な大学生は新聞さえほとんど読まないそうです。
「ちゃんとした本さえきちんと読んでいれば、ものの考え方も知識も情緒も、本来は身につくんですよ。物語を読んで家族愛に涙する、郷土愛、祖国愛を感じる。あるいは美的感受性、弱いものに対する優しい視線に気づく。こうした経験がなければ、かつて世界に誇った精神性、道徳心など取り戻しようがありません。ですから、まず本を読むための準備、基礎知識としての国語力をはぐくまなければいけないのです」
――精神性や価値観を持ちえるための土壌を、はじめに鍛えることが重要?
「そうです。それから中学校になれば、恋愛や自分を取り巻く環境、世界といったものに目覚めていく。貧しくて学校に行けない、家族が生活していくために野良仕事を手伝わなければならない。そうした現実がかつてあった、ということを文学や物語を通して学ぶ。文学のなかでも、日本が独自に発達させた詩歌に触れる。『万葉集』の時代から、優れた詩歌は山ほどあります。あるいは俳句、短歌。そうしたことに触れるなかで自然と自信が芽生え、美意識やバランスの取れた価値観が育っていくのです」
――ご自身の経験からそのように思われるのですか?
「たとえば、私がアメリカやイギリスで教えていた時のことです。海外で学者の集まりに出ると、それこそノーベル賞学者にぐるりと囲まれてしまうような状況になることが多々ある。さすがに圧倒されそうになることもある。そんなとき、小さいころに暗唱した島崎藤村の詩を心の中で思い出すと、不思議と力がわいてきたんですね。それは〈小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ 緑なすはこべは萌えず 若草も籍(し)くによしなし 白銀の衾(ふすま)の岡辺 日に溶けて淡雪流る〉というものでしたが、“あの信州の美しい自然のなかで、日本人は独自の文化をはぐくんできたのだ。お前たちには、こんな素晴らしい自然も文化もないだろう”という気持ちで、相手を睥睨(へいげい)する心持ちで挑むんです。そうやって自らを奮い立たせ、阿修羅のごとく研究に励んだものです」
――世界で活躍しようとすればするほど、実は祖国への誇りや自信が大切になってくる?
「WBC(ワールドベースボールクラシック)のときにイチローが、日本の野球は世界一だと何度も言っていたでしょう。韓国に2回負けて“人生最大の屈辱だ”とまで言った。私はあの気持ちがよくわかる。彼は何も突然愛国者になったのではなく、いつもああいう気持ちで戦っているのだと思います。メジャーリーグの選手は、みんな体も大きいし、パワーもある。そのなかで小柄なイチロー選手は歯を食いしばってやっているんでしょう。支えになるのは、日本と日本人に対する誇りと自信しかない。日本の野球は緻密さにおいて世界一だと信じていて、そこでトップだった自分が負けるはずがない、と。祖国に対する誇りと自信がないと外国ではやっていけないですよ。慰めの言葉をいくらかけられても、なんの力もない。体の芯(しん)から出てくる民族的な誇り、これがないとダメです」
――しかし、道徳心や祖国への誇りといったものは、いったんタガが外れて失ってしまうと、なかなか元に戻せないのではないでしょうか? 昨今の事件や出来事についても、モラルの問題としか言いようのないことが増えている気がします。
「だからこそ、日本人が古くから持つ精神性――別の言い方をすると“情緒と形”を見直すことが重要になります。情緒は豊かな自然や文化がはぐくんだ感受性、形のほうがモラルですね。形=モラルとは、簡単に言ってしまえば武士道精神のことです。慈愛、誠実、正義、勇気、忍耐、惻隠(そくいん)、名誉と恥、卑怯を憎む心、公の精神。これが武士道精神であり、日本人の原形を成すメンタリティなんですね。ところが、さっき言ったように、戦後になってアメリカと日教組が、日本がもっていた素晴らしい武士道精神を戦争に結びついたとして捨てさせた。忠君愛国の部分が戦争に結びついたのは事実だが、ほかは関係ないんです。忠君愛国を除けば、ほとんどイギリスの紳士道(ジェントルマンシップ)と変わらない」
――ディベートで勝ち負けを決めるような理屈優先ではなく、心のもちようこそが大切?
「そのとおり。何か不具合や不都合が出てくると、すぐに法律で片付けようとする。そして六法全書がどんどん厚くなっていく。私に言わせれば、六法全書の厚い国は恥ずかしい国家なんです。本当の理想国家は六法全書がない国。それぞれの人間が普遍的な倫理観に基づいて自己を規制する国。まあ、それは絵に描いた餅(もち)だけど、六法全書は薄ければ薄いほど良いんですよ。アメリカの弁護士は日本に比べて人口比で20倍、精神カウンセラーは60倍。そういう国に日本はなっていくのか、なりたいのか。現実を見るとある程度は仕方がないと思うが、あくまで邪道であると認識しないとダメ」
――そこで、やはり教育の復興が大切である、と。
「そう。では、誰が後進に理想を伝え、教えるか。70歳以下は、いまの政治家や官僚も、戦後教育に毒されているからダメ。80歳以上なら大丈夫だが、いかんせんほとんどが第一線から身を引いているし、数も少なくなってしまっている。結論的に言えば、現在の学童、児童の世代に任せるしかない。いまの小学生、中学生が日本人がもともと持っていた精神性を学び、さらに後進に伝えていくことを期待するしかない。だからこそ、今現在の国語教育が大切になってくるんです。私は、読書を“教養を獲得して人間の知的レベルを高める極めて重要な要素”と考えています。そこで、大学のゼミ生には、1年次から新渡戸稲造、内村鑑三、福沢諭吉らの思想書や、民俗学者である宮本常一の本などを読ませます。最初は興味もなく、読み解けない学生も、1学期ほどの間にどんどん成長するから驚きです。“読み書きそろばん”といった日本人のやり方は、決して間違っていないのです」
沖縄の学力低下に関して、教育長は政府に「金をくれ」と言ってみたり、どうだらこうだら「識者」が百家争鳴のようだが、沖縄の場合こそ藤原教授の「読み書き算盤」を先ず実行すべきだ。
話が大分脱線したが、冒頭記事の中学生並みの大学生の話に戻ろう。
>小野教授は「ここまでやらなければいけないのかという声もあるだろうが、こうでもしないと、今の大学は生き残れない」と話した。
去年の10月、茶髪とピアスをやめた学生には報奨金1万円提供すると言って世のひんしゅくを買い中止にした大学が合った。
当然、当日記もこれにエントリし批判した。
茶髪・ピアス報奨金見送り? あったり前だろう!
少子高齢化の波をまともに受けるのは大学なのだろう。
戦後、全国各地で国立大学が急増し、これが「駅弁大学」という呼び名で揶揄された。
評論家の大宅総一氏(大宅映子氏の父)が「急行の止まる駅に駅弁有り、駅弁あるところに新制大学あり」と発言したことからこの名が生まれたといわれている。
少子化で誰でも大歓迎の低レベルの大学が増え続けたら、誰でも大学に入れる一方、難関大学は愈々競争が熾烈になり大卒者にも「格差社会」が出来るのだろう。
ある意味、今まで以上の厳しい学歴社会になるのかもしれない。
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