[大弦小弦]「人間は地位が高くなるほど、足もとが滑りやすくなる…2017年1月19日 07:58
「人間は地位が高くなるほど、足もとが滑りやすくなる」。古代ローマの歴史家で政治家でもあったタキトゥスが自著「年代記」に残した警句である
▼地位が高くなれば、権力も強まるが、何をしても大丈夫だと自身の力を過信した時、思わぬ落とし穴にはまる。地位が高くなれば、しっかりわきを締め、足もとを固めることが肝要だという意味である
▼先の警句に従えば、この方はどうだったのだろうか。県の安慶田光男副知事が2015年の教員採用試験で特定の複数の受験者を合格させるよう、県教育委員会に依頼していた疑いが表面化した
▼本紙の取材によると、県教委の職員が副知事室に呼び出され、受験者の氏名や受験番号が書かれたメモを直接渡されたほか、依頼の電話があったという。県教委は「不正行為に当たる」として拒否したとの証言がある
▼対する副知事は疑惑を全面否定し、「僕の揚げ足を取って、蹴落とそうという人の謀略だろう」と反論する。疑惑が事実なら辞職することを明言しており、そうなれば翁長県政の屋台骨が揺らぐ
▼証言通り、足もとを滑らし、一線を越えてしまったのか。あるいは、本人が主張するように「揚げ足」を取られたのか。いずれにしろ真実は一つである。ここは、県教委と副知事の双方に丁寧に説明してもらうしかない。(稲嶺幸弘)
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フグは旨いが毒は怖い。
昔の人はフグの毒の恐怖と戦いながらもフグの珍味を味わった。
現在でもフグの調理法を誤るとフグの毒は命取りになる。
翁長知事の「汚れ仕事」の代行人として周辺の「毒」を一手に引き受けてきた安慶田フグ知事ならぬ副知事がいま、まな板の上でのた打ち回っている。断末魔の抵抗だ。
本人は辞職も考えているようだが、任命者の翁長知事の包丁裁き次第では、フグが撒き散らす返り血じゃなく、フグ毒を浴び、翁長知事自身が命を絶つことも考えられる。
危険なフグを「懐刀」に重用した翁長知事の自業自得である。
沖縄タイムス+プラス ニュース
沖縄副知事、県教育庁人事にも介入か 幹部呼び出し登用迫る 本人は否定
2017年1月19日 08:05
2015年の県教員採用試験で、沖縄県の安慶田光男副知事が特定の受験者を合格させるよう県教育委員会に依頼していた疑いが持たれている問題で、安慶田氏が本年度の県教育庁の幹部人事でも特定の人物を登用するよう介入した疑いのあることが18日、沖縄タイムスの取材で分かった。教育庁人事は知事部局と切り離され、県教委の専権事項とされており、識者は「教育の政治的中立性や安定性が脅かされかねない」と懸念する。一方、安慶田氏は「任命権者が違う。教委の権限を侵すようなことはしていない」と否定している。(社会部・鈴木実)
複数の教委関係者が証言した。
関係者によると、安慶田氏は教育庁人事を巡り、複数の特定の人物を教育長などの重要ポストに就けるよう指示した。教委幹部が2016年の年明けごろから副知事室に繰り返し呼び出されたり、強い口調で迫られたりしたという。副知事と同じ宮古島市出身者の登用に偏るなど不自然な点が見られたため、県教委側は抵抗し、大半は見送られた。
教育委員会制度を巡っては、14年に地方教育行政法が改正され、教育行政に対する首長の権限が強まった。しかし政治による教育統制への懸念も強く、採用・異動・昇任など個別の教職員人事は、教委の専権事項として残された経緯がある。
教委関係者は「ここまで露骨に知事部局が介入してきたことはなかった。教育に対する敬意や理解が感じられない」と批判する。
琉球大学の山口剛史准教授は「八重山の教科書採択問題でも、教員の専門性や学校教育への理解が教育行政に不可欠だと示された。人事は学校教育の質的向上のため、子どもに最善の教育を提供するために総合的に判断されなければならない」と指摘。「先生方の実践や経験など、多様な判断基準が人事には要求されるはず。当事者以外が恣意(しい)的に行うのは危うい」と話した。
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>複数の特定の人物を教育長などの重要ポストに就けるよう指示した。教委幹部が2016年の年明けごろから副知事室に繰り返し呼び出されたり、強い口調で迫られたりしたという。副知事と同じ宮古島市出身者の登用に偏るなど不自然な点が見られたため、県教委側は抵抗し、大半は見送られた。
>教委関係者は「ここまで露骨に知事部局が介入してきたことはなかった。教育に対する敬意や理解が感じられない」と批判する。
新聞報道によると安慶田氏の人事介入は「度が過ぎる」というから、これまでも教育庁内の人事介入は頻繁に行われていたが、安慶田氏の場合、特に「度が過ぎる」ので、告発に至ったようなニュアンスだ。
そもそも、教育長とは数年前の八重山教科書問題の時点までは、任命権者は県知事ではなく、教育委員長であった。
15年4月に施行された改正地方教育行政法によって教育委員会制度が見直され、首長の権限が強まった。
15年4月以前は、教育長は県庁内でも知事の権限の及ばない「治外法権」の立場に合った。
一方、教育長の上司の教育委員長は、医者などが就任する名誉職で、任期は二年程度の教育行政の素人であった。
教育長は形式上は教育委員長の部下でありながら、教育行政に詳しい公務員なので、教育委員会の事務職を担当し、事実上は教育委員会の最高権力者であった。
だが、八重山教科書問題で当時の大城浩県教育長が文科省の指導を拒否し、法令を無視して独自の教科書を採択した竹富町教育委を支援したため、教育委員会制度を改正し教育長を知事の部下にするようになった経緯がある。
> 安慶田氏は「任命権者が違う。教委の権限を侵すようなことはしていない」と否定している
行政経験では素人で副知事に就任した安慶田氏は、唯でさえ複雑で理解困難な教育長の立場を理解できなかったのではないか。 そこで弁護士に相談した後知恵で「任命権者が違う」などと強弁しているのではないか。
沖縄タイムス+プラス ニュース
翁長知事と進退を含め協議 沖縄・安慶田副知事「辞任も考えている」2017年1月19日 07:44
沖縄県の安慶田光男副知事が教員採用試験で、特定の受験者を合格させるよう県教育委員会に依頼した疑いがある問題で、安慶田氏は18日までに翁長雄志知事と会談し、進退を含めた対応を協議した。安慶田氏は「採用を依頼した事実も記憶もないが、報道で知事に迷惑が掛かるため、辞任も考えている」との意向を伝えた。ただ、即座に辞任すれば、疑惑を認めたとの認識が広がりかねないため、当面は事態の推移を見極めることを確認した。
沖縄タイムスの報道を受け、県庁には18日午前から報道陣が集まった。安慶田氏は午前11時半ごろ登庁し、事実確認する記者団に「(口利きを)否定する。本当に記憶にない」と重ねて疑惑を否定した。
翁長知事は18日午後、宮古島入りする前に那覇空港で記者団に「事実関係がよく分からない。本人(安慶田氏)は何も覚えがないと言っており、進退については(宮古から帰任した)後になる」と述べるにとどめた。
一方、県議会の野党は18日、安慶田氏の疑惑と知事の任命責任を2月定例会で徹底追及する考えを示した。自民会派からは「疑惑を解明するため、百条(調査特別)委員会の設置も検討する必要がある」との声も上がっている。
安慶田氏は名護市辺野古の新基地建設問題で、菅義偉官房長官との交渉役を担っており、進退に発展すれば基地問題への影響も避けられない。
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>ただ、即座に辞任すれば、疑惑を認めたとの認識が広がりかねないため、当面は事態の推移を見極めることを確認した。
本人が潔白で「記憶にない」のなら、辞任するほうがオカシイ。
辞任したら自身の「毒の証明」に他ならない。
だからと言って、このまま副知事に止まれば、フグ毒はジワジワと翁長知事に浸み込んで来る。
何しろフグ知事の任命権者なのだ。
ところで、沖縄タイムスは本日で三日連続で一面、社会面のトップを飾った安慶田疑惑。
本日の沖縄タイムス、関連見出しの紹介・
■一面トップ
副知事きょう疑惑説明
採用依頼・人事介入巡り
知事も会見 経緯調査へ
■社会面トップ
県教育長 疑惑を否定
2015年採用試験 当時の幹部聴取
「相談して対応」
擬態的事実ない■誰が言っているのか
気色ばむ安慶田副知事 公務参加せず
これまで沖縄タイムスの社説に賛同した例は極めて少ない。
だが、今回の安慶田疑惑についての社説は、報道の真意が何処にあるの詮索はさておき、大筋では賛同できる。
いかに社説をそのまま引用する。
社説[安慶田氏口利き?]県民へ説明責任果たせ
2015年の教員採用試験で、安慶田光男副知事が県教育委員会に特定の受験者を合格させるよう働き掛けていた疑惑が浮上している。
安慶田氏は「そんな話はない。断じてない。僕の揚げ足を取って、蹴落とそうという人の謀略だろう」と全面的に否定している。
複数の県教委関係者による証言は具体的である。
疑惑が浮上している以上、安慶田氏は正式に記者会見を開き、身の潔白を証明するとともに、県民に説明責任を果たす義務がある。
県教委関係者らによると、安慶田氏から働き掛けがあったのは15年7月の1次試験の後。職員が副知事室に呼び出され、受験者の氏名や受験番号が書かれたメモを渡された。県教委に直接、電話もかかってきたと証言する。
安慶田氏が「よろしく」などと言って依頼したのは、1次の筆記試験をパスした2~4人の受験生。模擬授業や個人面接、適性検査などの2~3次試験を控えていた。
県教委は「副知事の地位を利用した事実上の指示」「不正行為に当たる」と判断し、合否判定で安慶田氏の意向に従うことはしなかった。その結果を県教委側が安慶田氏に報告すると、幹部が副知事室に呼び出されたという。
地方公務員法や県職員倫理規程にも特別職の口利きなどを防止するルールが整備されていない。だが、証言が事実だとすれば、副知事の影響力を背景にした不当な圧力というほかない。
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15年4月に施行された改正地方教育行政法によって教育委員会制度が見直され、首長の権限が強まった。
ただ政治的中立性を保つために採用・異動・昇任などの教職員人事は教委の専権事項である。
安慶田氏を巡っては、16年度の県教委の幹部人事で特定の人物を課長級以上の重要ポストに就けるよう指示するなどの疑惑も新たに出ている。
平敷昭人県教育長は口利き疑惑について「自分の就任前の話であり、報告も受けていない」と言っているが、県教委は働き掛けを受けた当事者であることを忘れてはならない。この種の
情報が報告されるとは考えにくく、自分の就任前だからというのもおかしい。新たな人事介入疑惑と合わせ、事実関係の解明に乗り出すべきである。当時の関係者を含め早急に事情聴取を進めてもらいたい。第三者を取り込んだ調査が必要だ。
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全国では議員らの口利きを記録する制度が広がりをみせている。記録を積極的に公開し、市民がチェックすることによって行政の透明化を進めようとするのが狙いだ。
ホームページを毎月更新し、議員の名前や内容、対応まですべて掲載している自治体では「不当な口利き」が激減した。一方で「不当な口利き」に限って記録すると定めたため職員が該当するかどうか判断できず、記録がゼロの自治体も少なくない。
県には口利きを記録する制度がない。口利きをすべて記録し、公表することが重要だ。県にはそんな制度の導入を急いでもらいたい。