外務省沖縄事務所の川田司特命全権大使は30日、米軍普天間飛行場の5年以内運用停止に関し、2013年の県との約束は、名護市辺野古の新基地建設を進めることが前提だったと明言した。13年当時、新基地建設工事の進捗(しんちょく)とリンクするとの約束は交わしておらず、政府が一方的に約束をほごにした形。外務省幹部の発言に、県内から反発が上がるのは必至だ。

県議らへ5年以内の運用停止は辺野古移設の進捗が前提だと語る川田司大使=30日、那覇市の外務省沖縄事務所

 運用停止の実現を求める意見書を全会一致で可決し、要請に訪れた県議らに語った。川田氏は安倍晋三首相がことし2月に、翁長雄志知事の協力が得られないため停止の実現は難しいとした発言に触れ「(辺野古の進捗は)当然の前提だ」と述べた。

 また、外務省が米国へ運用停止を働き掛けたかを問われ「知らない」と発言。運用停止に関する米側との交渉は「私の役目ではない」とも述べた。「役割だ」と指摘する議員に対し「なぜ、あなたに決められるのか」と反論する場面もあった。外務省は沖縄事務所の役割は「自治体の意見を聞き、米軍との連絡調整を行う」としており、責任放棄とも受け取れる発言に批判が集まりそうだ。

 運用停止は13年12月に仲井真弘多知事(当時)が埋め立て承認の事実上の条件として政府に要請し、安倍首相は「できることは全てやる」と約束した。当時の県幹部らの証言により基地建設と運用停止はリンクしないことが確認されていた。政府は翁長知事誕生後、「辺野古移設への地元の協力が必要だ」と方針を転換している。19年2月が「5年」の期限となる。

 県議団は同日、沖縄防衛局にも要請した。