米軍普天間飛行場の移設先となる沖縄県名護市辺野古の新基地建設の賛否を問う県民投票条例を巡り、普天間飛行場を抱える宜野湾市議会(上地安之議長)は4日午前開会の12月定例会で、同条例に反対し一日も早い普天間飛行場の閉鎖・返還を求める意見書案を賛成多数で可決した。県民投票の請求要旨などで「普天間飛行場の固定化につながる最悪のシナリオに全く触れておらず、強い憤りを禁じ得ない」とした。

(資料写真)普天間飛行場

辺野古新基地建設の賛否を問う県民投票条例に反対する意見書を賛成多数で可決した宜野湾市議会=4日午前11時すぎ、同議場

(資料写真)普天間飛行場

辺野古新基地建設の賛否を問う県民投票条例に反対する意見書を賛成多数で可決した宜野湾市議会=4日午前11時すぎ、同議場

 
辺野古新基地建設の賛否を問う県民投票条例に反対する意見書を賛成多数で可決した宜野湾市議会=4日午前11時すぎ、同議場 (資料写真)普天間飛行場

 松川正則市長を支える与党会派15人が賛成し、野党・中立会派10人が反対した。

 野党会派は県民投票に賛成する意見書を提案したが否決された。普天間飛行場を抱える地元宜野湾市議会の審議で、傍聴席には多くの市民や報道陣が押し寄せ、議論の行方を見守った。

 与党会派は、追加議案で執行部から上程される県民投票関連の予算の否決も検討している。

「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例」に反対し、一日も早い普天間飛行場の危険性の除去及び閉鎖・返還を求める意見書(全文)

 去る10月31日に県は「辺野古米軍基地建設のための埋め立て賛否を問う県民投票条例」(以下、県民投票条例)を公布した。県民投票条例を審査した沖縄県議会においては、賛否以外の選択肢を持つ修正案も提出されるなど、全会一致ではなく、多様な県民の意思をあらわすことに対し配慮が欠けるものである。

 県民投票条例は、第1条の目的から第14条の委任で構成されているが、普天間飛行場問題の原点である危険性の除去については全く明記されておらず、宜野湾市のど真ん中にある普天間飛行場の危険性や騒音問題等で長年苦しんでいる宜野湾市民が置き去りにされ、危険性の除去について県民の意思を示すものではない。

 玉城康裕県知事は、県知事選挙について「県民が選挙で明確に示した辺野古反対の民意」と述べているにもかかわらず、再度、民意を問うことに対し5億5千万円の県民の税金をかけて行うことは理解しがたい。

 また、県民投票条例の制定を直接請求した「辺野古県民投票の会」の請求用紙や同会公式ホームページの「県民投票Q&A」においては、県民投票に基づき県知事が埋め立て承認を撤回すると、普天間飛行場の固定化につながる可能性があるといった最悪のシナリオについては全く触れられておらず、強い憤りを禁じ得ない。

 沖縄県に対しては、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去を行うため、現在中断している、国、県、宜野湾市で構成する普天間飛行場負担軽減推進会議及び同作業部会を早期に再開することを強く求めるものである。

 よって本市議会は「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例」に反対し、一日も早い普天間飛行場の危険性除去及び閉鎖・返還を強く要請する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

 平成30年12月4日

 沖縄県宜野湾市議会

 あて先 沖縄県知事