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■松本清張「疑わしきは罰せず」
当ブログで、筆者は何度も「久高元那覇議長は無罪である」と繰り返し主張してきた。
「疑わしきは罰せず」の大原則に従がうなら、証拠が曖昧な場合は無罪ということ。
つまり、曖昧な証拠による冤罪を避ける為の法制度の知恵である。
しかし、「疑わしきは罰せず」には逆のケースもある。
逮捕、起訴そして法廷に持ち込んでも、裁判官が「疑わしき(証拠不十分)」で無罪になるケースだ。
下記の森元総理のケースは、「疑わしき」の連続だが、何故か逮捕はおろか起訴さえされていない。
裏金のキーマン 森元総理の力の源泉とは?【3月28日(木) #報道1930】
【法廷ミステリ/中編小説】奇妙な被告/松本清張/読み手:🌸hiromin🍡🌸チャプタースキップ機能あります❣️
さて、「疑わしき証拠」を悪用して無為罪を勝ち取った「奇妙な被告」を松本清張が絶妙に描いている。
2009年8月発行の松本清張の文庫新刊(再刊?中公文庫)。
表題作の『奇妙な被告』は、金貸しの老人が殺害され、犯人は老人の手提げ金庫を持ち出し、借用証書の一部を抜き取った後灌漑用の溜池に捨てた。単純な事件であり、容疑者はすぐに逮捕された。
彼は、警察捜査に協力的に自供を始め、しかし、そこに少しずつ嘘を交え、裁判となってから、突然自供を翻すのである。実に計算された供述とその否定であって、結局、彼は証拠不十分で無罪を勝ち取るのだ。容疑者が犯行を犯したときの職業はラーメン屋店主だが、以前に8年ほど古本屋店員の経験がある。(容疑者は、その時暇な古本屋で法律専門書を読む時間は十分あった)
国選弁護人として任に当たった原島直巳は、しかし後日、海外の裁判記録を読んでいて、そっくりな事例に気づく。それは真犯人が無罪となった手口を報告したものであった。奇妙な被告の鮮やかな逃避と、若い国選弁護人のほろ苦い後悔とが、絶妙の読後感をもたらしてくれる。
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