映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

冬ドラマのその後

2018-02-03 05:12:31 | 旧作映画、TVドラマ
二月になり冬ドラマも中盤に差し掛かる。
今観ている三本もかなり骨格を顕にしてきた。

「anone」
坂元裕二らしさとどっか違う物足りなさとを感じながら、中々ドラマ自体に集中できていない。広瀬すずと田中裕子に絞って話を転がせばいいように思う。小林聡美と阿部サダヲの絡みは面白いけど、ストーリーを散漫にしているようだ。江口のりことの母娘話しも先が見えないし、瑛太が作る偽札の行方も謎のまま。病床の旧友は何をもたらせてくれるのか?坂元裕二脚本なので、今張り巡らせている伏線が上手く収束して唸らせてくれると信じ観ていこう。

「きみが心に棲みついた」
吉岡里帆の成長を確認したくて観ているが、そろそろ限界にきている。向井理は楽しそうに演っているが、桐谷健太は辛そうにしか見えない。二人とも吉岡里帆に恋をできていない。それはキョドコの設定ミスでは無くて造作ミスだと思う。あの子には男も女も誰しもが手を差し伸べる優しい気持ちになれない。ここまでドラマが進むと余程のことがなければ修正は不可能だろう。ムロツヨシだけかな、爆弾になれるのは。次観て、切ろうと考えている。

「アンナチュラル」
野木亜紀子は凄い。毎回毎回違う味を仕込んでくる。過重労働、女性蔑視、若年蒸発、院内感染リスク。ただの法医学ドラマだと観始めた人も、じわじわ感じてきている頃だろう。一話目に少々違和感と予定調和な物足りなさを感じたが、二話目に石原さとみの過去を曝け出し小細工を捨てた。陳腐なドラマなら最終回まで引っ張るようなネタだ。アクティブな展開の裏に、本名も分からないまま荼毘に付されて行く若き命があるこの世の現実。三話では法廷を舞台にした小気味良いドラマを作った。単なる謎解きじゃ終わらない深さが、検事や老法医学者から発せられる女性蔑視の実態。もっと凄いのは、そのことを問題視して提議するようなあざとい脚本では無く、男と女の役割をうまく分担して、本当に必要な事はなんなのか、井浦新が被告人に捨て台詞を吐いた「お前が女なんか信じられないとか言うから面倒なんだ。人間なんか死んで皮を剥げば皆んな一緒だ」と言う本質にまで行き着く。法治国家なのに法医学が余りにも軽視されている我が国への痛烈な批判。凄い。四話もバイク事故で亡くなった人の裏にあった過重労働を掘り起こす。交通事故死の場合、日本では殆ど解剖診断はされないらしい。まあそうだろう。祖母が交通事故死したわたくしも、それ以外の死因を解剖までして疑うのは行き過ぎの様に思う。けれど、本当はどう死んだのかを知る事はどう生きたかを知る事なんだ。そんな風に気付かせくれるドラマになっている。法医学軽視への批判はここでも静かになされている。ほんと凄い。石原さとみが良い。女子力高い小悪魔系の役柄が多かったせいか、新鮮に感じるし何よりも素の顔での演技が魅力的だ。彼女の代表作になるかもしれない。シリーズ化もしやすい作風だし、このまま行けばいいと期待してる。