火つけをそそのかし、それに乗じ牢破りをした長英は、日本中を逃亡します。
幕府の取り締まりは、庶民の目と、それにまぎれた隠密や岡っ引や下っ引、ところどころにある関所、綿密な人相書き(文章が綿密)、拷問OKなので、現在の警察より強力なものでした。
長英が逃げ延び潜伏しながら、著作、翻訳をしながら、日本の近代化に貢献できたのも、彼を支援する人々が多くいたからでした。
それでも、ほんとうに運が悪い天才蘭学者高野長英は、ついに捉えられ殺されることになるのです。
自分を追う国のために、逃げ回りながら必死で働く長英。匿えば重罪になるのに、それを助ける人々。
自分では理解できない人たちの行いを目の当たりに出来、意義のある読書となったと思います。