最新の芥川賞受賞作。同時受賞の『ニムロッド』を読むために買った文芸春秋に収録されてたので読みました。
こちらは、ひたむきにボクシングをしている青年を淡々と描いた青春小説です。
厳しい世界で、信頼できる先輩に会って成長する物語は『火花』と似ていると感じました。
ボクシングは、同じウエイトで同じくらいの実力の者がぶつかりあう勝率50%の勝負を勝つスポーツだということが身に染みてわかりました。
負けを決めるのは、自分。立たなければ負けるし、立てば負けない。パンチを打つか、ガードするか、ボクサーをやめるかやめないか、その判断も自分。無数の判断の繰り返しの中から、無数に存在するパラレルワールドを感じることが出来るまでに成長することによって、主人公は一つの生長を遂げるのでした。
それは、ボクシングでなくとも変わりないのでしょうが、ボクシングの世界はスピード感が違う(速い)ため、迫力がありました。