毎日、暑い暑いと書いていてもはじまらないので、ちょっと与太話を。
職場で、わたしは読書家だと思われているらしく、若い人から、本との付き合い方について相談されることがあります。大抵は、自分は本をあまり読まないが大丈夫だろうかという類いの漠然とした不安のようです。
わたしは、すき間時間にしか本を読んでいないし、休日にわざわざ時間を割いて読書をしたりすることも少ないので、読書家というほど読んではいないはずなのですが、周りの人よりは読んでいる冊数は多そうです。
わたしからのアドバイスは、若い頃は、読書する時間があるなら、行きたいところへ行ったり、見たいものを見たり、食べたいものを作ったりした方が良い、です。
読書は、年をとればとるほど、楽にできるようになります。なぜなら、文字や言葉で表わされているものを、容易に脳内で具体的な場面に変換できるからです。具体的な知識や経験の積み上げにより、言葉と具体が一致する(完全一致でなくとも近似すればOK)度合いが多くなるからです。
若い頃には、何が書いてあるのか解らず読み飛ばしてしまう部分も、年を取ってから読むとよくわかります。例えば、高校の現国の教科書に載っていた梶井基次郎の『檸檬』の冒頭の部分に「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧おさえつけていた。焦躁しょうそうと言おうか、嫌悪と言おうか――酒を飲んだあとに宿酔(ふつかよい)があるように、酒を毎日飲んでいると宿酔に相当した時期がやって来る。それが来たのだ。 」とありますが、宿酔したことがある高校生は希でしょう。意味がわからなくて当然です。
宿酔しろとは言いませんが、若い頃は経験や実践的な知識を得ることを優先した方が、のちのち豊かな読書生活ができると言うものです。
しかし、読書は習慣ですので、読書の習慣だけは若いときからつけておいた方が良いです。1年に10冊程度、ラノベでも何でも良いので、読む習慣をつづけていければ十分です。