田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『メン・イン・ブラック』シリーズ

2020-12-29 12:18:51 | ブラウン管の映画館

『メン・イン・ブラック』(97)

 

 地球に侵入して来た異星人の監視を行う秘密組織MIB(メン・イン・ブラック)エージェントのK(トミー・リー・ジョーンズ)とJ(ウィル・スミス)の活躍を描くコメディタッチのSFアクション映画。製作スティーブン・スピルバーグ。監督バリー・ソネンフェルド。

『文化の泉』「映画はこんな未来を創造する」から。


『メン・イン・ブラック2』(02)(2005.3.27.日曜洋画劇場)

 最近、こうしたテレビで見る“おバカ映画”の効用を改めて思い知らされている。さてこのシリーズの勝利の要因は、エイリアンたちの個性的な造型と、あくまで漫画チックに押し通す一種の潔さにある。

 それから『アダムス・ファミリー』シリーズほどバリー・ソネンフェルドの“オタク味”が鼻につかない程度に収まっているところも良し。今回はイヌのエージェント仲間が傑作だった。


「アカデミー・シネマフェスティバル~SFXで観るアカデミー賞の世界~IT'S ALIVE!」(2007.2.2.)

 

 

 丸の内の丸ビルで開催されたWOWOW主催の「アカデミー・シネマフェスティバル~SFXで観るアカデミー賞の世界~IT'S ALIVE!」のオープニングセレモニーに出席。収穫は特殊メークの第一人者リック・ベイカーの話が聞けたこと。彼が担当した『グレムリン』(84)『マイティ・ジョー』(98)『メン・イン・ブラック』(97)の前で一枚。

 副題の「IT'S ALIVE!」はフランケンシュタイン博士が、創造したモンスターに生命が宿った時に発した有名なセリフ。「自分たちが造ったキャラクターが動いた時の喜びははまさにそんな感じだ」とベイカー氏。彼らSFXの担い手も一種の創造主ということになるのか。


『メン・イン・ブラック3』(12)(2012.5.17.東宝東和試写室)

 かつてK(トミー・リー・ジョーンズ)が捕らえた極悪エイリアンが宇宙刑務所を脱獄して地球へ。彼を追ってKとJ(ウィル・スミス)は過去にタイムスリップする。

 着いたのは1969年。アポロ11号の月面着陸があり、万年Bクラスだったニューヨーク・メッツがワールドシリーズで優勝した年。相手のボルチモア・オリオールズの最後のバッターは、巨人でも活躍し、後にメッツの監督になるデーブ・ジョンソン! どちらのシーンもちゃんと映る。

 つまり、69年は、ベトナム戦争下で、束の間の希望や奇跡が見えた年ということ。日本で言えば、東京オリンピックの開催、東海道新幹線の開通があった64年のようなエポックな年であり、そこにタイムスリップするというのがミソなのだ。

 脚本はジョエル・コーエン。高層ビルからの落下シーンもあり、自作『未来は今』(94)をほうふつとさせるところもある。

 見どころの一つは、Jが若き日のKと出会うところ。演じるジョシュ・ブローリンがいかにもジョーンズを若くしたかのような好演を見せる。逆にジョーンズは缶コーヒーのCMとイメージが重なる。KとJの“本当の出会い”が明かされ、ちょっとホロリとさせられる。

 それにしても、リック・ベイカーらが創造したエイリアンたちは相変わらずグロいが笑える。

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『ワイルド・ワイルド・ウエスト』

2020-12-29 12:14:12 | ブラウン管の映画館

『ワイルド・ワイルド・ウエスト』(99)

 西部開拓時代。早撃ちのウエスト大尉(ウィル・スミス)と、発明と変装が得意なゴードン連邦保安官(ケビン・クライン)は、大統領からの命を受け、政府乗っ取りをたくらむ悪の天才科学者ラブレス(ケネス・ブラナー)の捜査に乗り出すが…。

 1960年代のTVシリーズ「0088/ワイルド・ウエスト」を映画化。『アダムス・ファミリー』『メン・イン・ブラック』シリーズのバリー・ソネンフェルドの監督作ということで、巨大なクモ型ロボットをはじめ、ユニークな発明品の数々が登場する、コミカルなSFウエスタン。

 撮影はミヒャエル・バルハウス、音楽はエルマー・バーンスタイン、特殊メイクはリック・ベイカーと、スタッフは一流どころなのだが、西部劇とSFとの相性が悪かったのか、おふざけが過ぎたのか、出来の悪い映画を選ぶゴールデンラズベリー賞では、最低作品賞、監督賞、スクリーンカップル賞、脚本賞、主題歌賞の5部門で受賞してしまった。

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【インタビュー】『ソウルフル・ワールド』ピート・ドクター監督 ダナ・マレープロデューサー

2020-12-29 07:05:08 | インタビュー

 ジャズ・ピアニストを夢見る中学教師のジョー・ガードナー(声・ジェイミー・フォックス)は、マンホールに落ちてソウル=魂の世界へ入り込む。ジョーは、地上へ戻る方法を探るため、人間になることを拒み続けるソウルの22番と共に冒険の旅に出る。ディズニー&ピクサーの最新作『ソウルフル・ワールド』が、12月25日からディズニープラスで配信された。本作のピート・ドクター監督とプロデューサーのダナ・マレーに話を聞いた。

「普通の日々のちょっとした瞬間にも美しいものはたくさんあります」
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1254227

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『ゴッドファーザーPARTⅡ』

2020-12-29 07:03:05 | ブラウン管の映画館

『ゴッドファーザーPARTⅡ』(74)(1980.11.12.日曜洋画劇場)

 コッポラは前作での思い残しを、この映画で描き切ったのではないだろうか。前作のマーロン・ブランドに代わって、今回はアル・パチーノが恐ろしいほどの貫禄を示す。また、ロバート・デ・ニーロがビトー・コルレオーネの若き日を演じる部分が何ともいい。

 マイケル(パチーノ)の今の姿を追いながら、若きビトーの姿をオーバーラップさせる手法は見事である。そこには、ビトーのシシリー島での悲劇に始まり、流れ着いた自由の国アメリカで、ファミリーを作らなければ生きていけなかった現実、それを継いだマイケルの父親以上の苦しみ、悩み、孤独が並行して描かれる。

 マイケルの周りからはあらゆる者が離れていく。長兄のソニー(ジェームズ・カーン)は殺され、次兄のフレド(ジョン・カザール)は裏切り、妻のケイ(ダイアン・キートン)も彼を見放す。そして理知的な義兄トム(ロバート・デュバル)には、ファミリーが昔のままでは成り立たないことが分かっている。

 その中から、改めて家族とは、血のつながりとは何かを問い掛けながら、アメリカの暗部をも浮かび上がらせる。だからこそ、ラストの父ビトーの誕生日を祝う家族の回想シーン、一転、現実のマイケルの孤独な姿が深い感慨をもたらすのだ。

 コッポラの演出、ゴードン・ウィリスの撮影、ニーノ・ロータの音楽が冴えを見せ、そこに俳優たちの好演が相まって、前作以上の映画になったと思う。

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『ゴッドファーザー』(72)

2020-12-28 06:23:09 | All About おすすめ映画

アメリカの中のイタリアの家族とは



 アメリカの陰の政府ともいわれるイタリアン・マフィアの抗争と家族の絆を描いたフランシス・フォード・コッポラ監督による大河ドラマです。この映画、少し見方を変えて、個人商店を創業し発展させた偉大な父(マーロン・ブランド)とダメな子供たちの物語として見ても面白いです。

 直情型の長男ソニー(ジェームス・カーン)、意志薄弱な次男のフレド(ジョン・カザール)、そして一見、最もできが良さそうな三男マイケル(アル・パチーノ)も冷静なようでいて実は単純。一人娘のコニー(タリア・シャイア)はヒステリー持ちで夫に裏切られます。養子のトム(ロバート・デュバル)が最も冷静で読みも深いのですが、いかんせんカリスマ性に欠けるという、なんとも不幸な一家の話なのです。

 ところが、マフィアの抗争と家族の絆という二重構造、コッポラのけれん味たっぷりの演出、バイオレンスを緩和させるニーノ・ロータの音楽、ゴードン・ウィルスのモノトーンのカメラワーク、俳優たちの好演が相まって、3時間をまったくだれさせないばかりか、何度見ても面白い映画にしているのです。

 特にロータの音楽は、抗争や暗殺シーンのドキドキ感を盛り上げたかと思うと、一転、家族の絆を切々と歌い上げ、「愛のテーマ」という実に親しみやすい曲も作り出すという多彩さを示し、この映画に現代のオペラ的なスケールと美を与えています。

 アメリカ映画なのにこれほどイタリアの家族を感じさせる映画も珍しいです。

名画投球術 No.5「たまには映画もイタリアンといきたい」ニーノ・ロータ
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d99f98184f88ad18b0db44f37e379796

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『ツリー・オブ・ライフ』

2020-12-27 00:22:09 | 映画いろいろ

『ツリー・オブ・ライフ』(11)(2011.6.28.ディズニー試写室)

 さまざまなイメージ映像を絡めながら、1950年代から現代までの一組の父と子の相克を、太古の昔から地球規模で描く。まるで「2011年父子の旅」のよう…と書いても、読んだ人は何のことやらよく分からないはず。何しろ見ている自分も、分かったような分からないようなもどかしさを感じながら、睡魔と闘いながら見続けたのだから。

 端々に挿入されるイメージ映像は、人間の内面宇宙という点では『2001年宇宙の旅』(68)、異様な自然風景という点では『コヤニスカッティ』(82)を想起させられるが、どこかもったいぶった感じがして、ただのこけおどしに見えてくるところもある。

 この映画は、今年のカンヌ映画祭でパルムドール(グランプリ)を受賞したが、こうして実物を見ると、テレンス・マリックはいささか神格化され過ぎなのではないかと感じる。

 ただ、ユニークなのは、これはガチガチのキリスト教映画でありながら、神の不在や仏教的な輪廻思想を感じさせるところだろう。だから難解なのか。キリスト教徒も迷っているのか…。いずれにせよ、神学校で哲学を学び、教べんを取っていたというマリックのインテリ臭さが際立つ。

 ブラッド・ピットが、50年代の典型的なアメリカの父親を好演していることもあり、もっとストレートに撮ってもよかったのではないかと思わずにはいられない。

『ボヤージュ・オブ・タイム』催眠術映画か…
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/886afd5f6f1e6763a3a40b8eb5fbd97f

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『ソング・トゥ・ソング』

2020-12-26 23:50:06 | 新作映画を見てみた

マリックという監督は評価され過ぎ

 音楽の街オースティンを舞台に、大物プロデューサー(マイケル・ファスベンダー)、ミュージシャン(ライアン・ゴズリング)、元受付係のギタリスト(ルーニー・マーラ)の三角関係を軸に、もつれ合い、絡み合う男女の姿を描く。

 またもや、”迷匠"テレンス・マリックの、全く観客を無視した、自分の世界の押しつけに辟易させられ、睡魔と闘いながら、やっと見終わった。オンライン試写で、途中抜けができたので、何とか最後まで見ることができたのだ。そうでなければ、途中で挫折していたと思う。

 この映画、確かに、エマニュエル・ルビツキのカメラワークは美しい。だが、時間軸を無視した映像と音楽のコラージュ、意味ありげなセリフ、起承転結なしの支離滅裂な話を延々と見せられれば、もう勘弁してくださいとなるのが人情。しかもタイトルの割には、音楽の使い方も中途半端だ。

 それなのに、彼の映画に出ると箔が付くとでも思われているのか、今回も、主役の3人の他にも、ナタリー・ポートマン、ケイト・ブランシェット、バル・キルマー、ホリー・ハンター…といった有名俳優が出ている。

 ところが、これだけの俳優たちが出ているにもかかわらず、なぜこの映画の日本公開が3年も遅れたのか、それは内容を見れば、推して知るべしという感じがした。この映画は、一部の好事家向けで、どう考えても一般向けではないからだ。

 もちろん、そういう映画があることは分かっているが、それにしてもマリックという監督は評価され過ぎている気がしてならない。

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『七人の無頼漢』『ガンヒルの決斗』

2020-12-25 07:06:59 | 1950年代小型パンフレット



 「ザ・シネマ」の西部劇。今週は2本立てだった。まずは、監督バッド・ベティカー、脚本バート・ケネディ、ランドルフ・スコット主演の『七人の無頼漢』(56)。愛妻を殺した7人の無頼漢を追う元保安官(スコット)が主人公の復讐劇だ。

 主人公と、旅の途中で知り合った人妻(ゲイル・ラッセル)との淡い恋がサイドストーリー。脇役のリー・マーヴィンが印象深い演技を見せる。ジョン・ウェインが設立したバトジャック・プロの製作で、当初はウェインが主人公を演じる予定だったという。ウェインとラッセルの関係性を考えると感慨深いものがある。

 この映画は、フランスの評論家アンドレ・バザンが傑作と認めて、その尻馬に乗った?蓮實重彦一派が必要以上に持ち上げたことで、いまやカルトムービー化している。確かに、岩場の決闘シーンでのユニークなカメラワークや、77分という短い時間の中でそつなくまとめた手腕は買うが、それはあくまでも出来のいいB級西部劇という範囲での話だと思う。

 例えば、蓮實氏の『映画 誘惑のエクチュール』に所収された、この映画をはじめとするベティカーの4本の映画の上映時間が77分であることにこじつけた「七つの奇蹟 バッド・ベティカー論」には偏執狂的なものを感じて苦笑を禁じ得ない。





 続けて、蓮實氏が二流とのたまったジョン・スタージェスの『ガンヒルの決斗』(59)も放送された。こちらも上映時間は94分。簡潔で何度見ても面白い。アール・ホリマンのドラ息子ぶりは、『大いなる西部』(58)のチャック・コナーズと重なる。

『ガンヒルの決斗』のパンフレットを入手 ジョン・スタージェスのことを
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f68e684a8122d31213e80c6fa92023be

 

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『オール・ユー・ニード・イズ・キル』

2020-12-25 06:33:09 | ブラウン管の映画館

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)

「ほぼ週刊映画コラム」
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/868702

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『映画の森』「コロナ下で相次ぐ長時間映画の公開」転載

2020-12-24 16:07:52 | 映画の森

「KyodoWeekly」11月23日号から「コロナ下で相次ぐ長時間映画の公開」共同通信のニュースサイトに転載。
https://www.kyodo.co.jp/national-culture/2020-12-23_3429393/

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