『メン・イン・ブラック』(97)
地球に侵入して来た異星人の監視を行う秘密組織MIB(メン・イン・ブラック)エージェントのK(トミー・リー・ジョーンズ)とJ(ウィル・スミス)の活躍を描くコメディタッチのSFアクション映画。製作スティーブン・スピルバーグ。監督バリー・ソネンフェルド。
『文化の泉』「映画はこんな未来を創造する」から。
『メン・イン・ブラック2』(02)(2005.3.27.日曜洋画劇場)
最近、こうしたテレビで見る“おバカ映画”の効用を改めて思い知らされている。さてこのシリーズの勝利の要因は、エイリアンたちの個性的な造型と、あくまで漫画チックに押し通す一種の潔さにある。
それから『アダムス・ファミリー』シリーズほどバリー・ソネンフェルドの“オタク味”が鼻につかない程度に収まっているところも良し。今回はイヌのエージェント仲間が傑作だった。
「アカデミー・シネマフェスティバル~SFXで観るアカデミー賞の世界~IT'S ALIVE!」(2007.2.2.)
丸の内の丸ビルで開催されたWOWOW主催の「アカデミー・シネマフェスティバル~SFXで観るアカデミー賞の世界~IT'S ALIVE!」のオープニングセレモニーに出席。収穫は特殊メークの第一人者リック・ベイカーの話が聞けたこと。彼が担当した『グレムリン』(84)や『マイティ・ジョー』(98)『メン・イン・ブラック』(97)の前で一枚。
副題の「IT'S ALIVE!」はフランケンシュタイン博士が、創造したモンスターに生命が宿った時に発した有名なセリフ。「自分たちが造ったキャラクターが動いた時の喜びははまさにそんな感じだ」とベイカー氏。彼らSFXの担い手も一種の創造主ということになるのか。
『メン・イン・ブラック3』(12)(2012.5.17.東宝東和試写室)
かつてK(トミー・リー・ジョーンズ)が捕らえた極悪エイリアンが宇宙刑務所を脱獄して地球へ。彼を追ってKとJ(ウィル・スミス)は過去にタイムスリップする。
着いたのは1969年。アポロ11号の月面着陸があり、万年Bクラスだったニューヨーク・メッツがワールドシリーズで優勝した年。相手のボルチモア・オリオールズの最後のバッターは、巨人でも活躍し、後にメッツの監督になるデーブ・ジョンソン! どちらのシーンもちゃんと映る。
つまり、69年は、ベトナム戦争下で、束の間の希望や奇跡が見えた年ということ。日本で言えば、東京オリンピックの開催、東海道新幹線の開通があった64年のようなエポックな年であり、そこにタイムスリップするというのがミソなのだ。
脚本はジョエル・コーエン。高層ビルからの落下シーンもあり、自作『未来は今』(94)をほうふつとさせるところもある。
見どころの一つは、Jが若き日のKと出会うところ。演じるジョシュ・ブローリンがいかにもジョーンズを若くしたかのような好演を見せる。逆にジョーンズは缶コーヒーのCMとイメージが重なる。KとJの“本当の出会い”が明かされ、ちょっとホロリとさせられる。
それにしても、リック・ベイカーらが創造したエイリアンたちは相変わらずグロいが笑える。