昨夜8時25分頃だったか30分を過ぎていたかその頃の事だ電話があって「いま、ケイコフが息を引き取った」と。2日前に見舞った時「もうそんなに永くない」と覚悟はできていたつもりだったけどオロオロと泣いてしまった。あの日は龍馬の命日で今日は慎太郎の命日か。ケイコフの死んだ日を胸に刻み込もうと覚えておこうとそんな風に思ったのかもしれない。マーチンが誘いに来たので僕らはタンちゃんの運転する車で西へ急いだ。
この日は満月だった。僕は助手席で車の窓から満月を見ながら分からないように涙を流した。嗚咽を漏らさないようにと気を配りながら。僕が泣けばマーチンがもっと泣くだろうから僕が悲しめばマーチンがもっと悲しむだろうからと。マーチンはそれだけケイコフに寄りかかって生きてきてたから。暗い道なのに空だけはやけに明るく月そのものがケイコフのように光り輝いていた。満月の夜、僕とマーチンは最愛の姉を失った。心細さが車内を埋め尽くしている。誰にも埋められない空間をマーチンと手探りしている。
この日は満月だった。僕は助手席で車の窓から満月を見ながら分からないように涙を流した。嗚咽を漏らさないようにと気を配りながら。僕が泣けばマーチンがもっと泣くだろうから僕が悲しめばマーチンがもっと悲しむだろうからと。マーチンはそれだけケイコフに寄りかかって生きてきてたから。暗い道なのに空だけはやけに明るく月そのものがケイコフのように光り輝いていた。満月の夜、僕とマーチンは最愛の姉を失った。心細さが車内を埋め尽くしている。誰にも埋められない空間をマーチンと手探りしている。