
最近のパソコンには、クリックすればデジカメで撮った写真を自在に変化できるソフトが備わっている。シャープでない、背景の建物が傾いているなど、初歩的な修正には無くてはならないもので、その使用頻度から超重宝な存在。古い想いでの1枚となると故意にセピア色にして懐かしむ。秋空の青さを少し強調したい、花の色合いが実際より薄く写っている、などなど大変なお世話になっている。これらは理屈を知らなくてもクリックだけで楽しめる。
そんな楽しみの手助けをしてくれる方法が一つのソフトで60種類近く備わっている。一部しか使いきれないが、強烈な色合いだったりその逆も、スケッチ風やモザイクといろいろ。下手な1枚もこうして楽しむと以外と飽きないでクリックしている。そんな遊びの中でお気に入りの一つは「シネマスコープ」、クリックすると色合いが強めでワイドな1枚に変わり、たまには、いい写真だと勘違いさせてくれ、初めて観たシネスコ映画を思い出す。
シネマスコープと呼ぶ映画を初めて見たのは市内で最初のワイド画面の映画館が誕生して間もなくだった。タイトルは「長い灰色の線(The Long Gray Line)」。ニューヨーク州ウェストポイントにある陸軍士官学校の教官の自伝を映画化した1955(昭和30)年の作品。辞職辞令に不服の軍曹が旧知の大統領へ撤回を頼みに行き、古い思いで話をする・・・。幅広い黒ぶちに囲まれた四角い画面の白黒映画を思い切り壊す強烈な印象だったことを思い出す。
今では何もかも横長になった画面。パソコンにテレビはそれが当然になった。スマホやタブレットは縦横を問わないで見れるが、ワイド画面には違いない。こうした時代、シネマスコープなど死語扱いの域にきているとか。これは商標登録されているが、映画界の一つの時代の生きた証しとして忘れてはいけない。