
落葉(おちば)は「晩秋から冬にかけて散る落葉樹の葉。散り落ちた葉」。落葉(らくよう)は「植物の葉の落ちること。または、その落ちた葉」。同じ漢字2字だが読みがことなる。どちらを好むかと問われると困るが、後者の方がいい。前者は落ちるや散るという感じが強いからと理屈をつけておく。
落ち葉は晩秋から初冬の風情としては欠かせない情景の一つ。でも、最近の公園では掃き集められどこかへ運び去られていく。落ち葉に雨でも降ろうものなら後始末は大変だ。管理者としてはゴミ処分の一つの方法として急いで除くのだろう。綺麗な公園にはなるが今一つ季節的な足りなさを感じる。
雨に濡れた落ち葉、濡れ落ち葉という言葉も一時期はやった。定年になり、仕事も趣味も出かける先もなく一日中家にいる。そして何もかも妻にたよりきるばかりか離れようとしない、出かけようとすると妻に「わしも行く」とついてくる夫を表した。ある主婦が払っても落ちない葉のようだと「濡れ落ち葉」といった。これを聞いた評論家の樋口恵子氏が紹介し広まったという。定年まで勤めた夫への感謝や慰労の気持ちを感じない表現だと、今も思う。
茶色の落ち葉が続く道を歩く。昔、落ち葉は集めて畑の肥料になった。たき火の灰は畑に撒いて土に返した。樹木の一生を使いきって人は歴史を積んできた。そう思うと落ち葉に温もりを感じる。風が吹いている、明日も寒いという。この葉はどこに舞って行くのだろう。