踏切で、レールに寄り添うように、小さな小さな菊が咲いている。ローカル線ジーゼルカーの風圧と車底についている諸設備になぜられながら伸びて来たのだろう。これ以上は伸びきれない環境に負けないで頑張っている。立冬の朝の鉄路はさぞ冷たかろう。それでも小さいながら息吹いている、その生命力に頭が下がる。
関東と関西だけで観測される木枯らし一番、今年は観測済み。紅葉や黄葉は盛りで美しいが今日は立冬、冬の始まりとなった。公園では松の木にコモ巻きが行われた。風物詩としての行事だが、啓蟄まで見られる。立春、立夏、立秋、そして立冬と季節の変わり目には「立つ」をつけてあらわす。立つには「新しい月、新しい季節が来る」という意味があることを知った。春夏秋冬に立、を付ける意味が分かった。
しばらくは昼夜の温度差が激しくなるから、体調不良に陥らないよう気配りが大切だ。夏の暑さには「土用のウナギ」という。冬のそれに似た食べ物、ウナギのようにこれだ、という品があるのだろうか。TVの料理番組で「体を温める食材」は紹介されていたが、これだ、という一品はなかった。
踏切そばの花壇には菊が一杯咲いている。そこから分かれたにしても好んで来たわけではなかろう。立冬を意識した訳ではなかろうが、金融政策変更で株価高騰と円安、これが立生、「新しい豊かな生活」につがることを願いたいが見通しは寒い。